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受け口の小児矯正~早期治療で得られる効果と適切な時期~

2025年09月23日

受け口(反対咬合)とは~お子さんの歯並びに関する基礎知識~

お子さんの歯並びで「受け口」が気になっているお父さん、お母さんは多いのではないでしょうか。受け口は歯科用語では「反対咬合」と呼ばれる状態です。正常な歯並びでは、上の前歯が下の前歯よりも2~3mm程度前に出ている状態が理想とされています。しかし、受け口の場合は逆に下の前歯が上の前歯よりも前に出てしまっています。

受け口(反対咬合)には大きく分けて2つのタイプがあります。それぞれの特徴を理解することが、適切な治療法を選ぶ第一歩となります。

①骨格性の反対咬合:上顎と下顎の骨格自体のバランスに問題があるタイプです。下顎が過剰に成長したり、上顎の成長が不十分だったりすることで生じます。このタイプは遺伝的な要素が強く、治療の難易度も高めです。

②歯槽性の反対咬合:歯の生え方や傾きに問題があるタイプです。上の前歯が内側に傾いて生えていたり、下の前歯が外側に傾いて生えたりしていることが原因です。骨格には大きな問題がないため、比較的治療しやすいとされています。

受け口はなぜ起こる?~原因と影響~

お子さんの受け口の原因は、先天的なものと後天的なものに分けられます。先天的な原因とは生まれつき持っている性質で、後天的な原因は生まれた後に何らかの影響で生じた性質のことを指します。

先天的な原因の代表例は遺伝です。親御さんが受け口の場合、お子さんも受け口になりやすい傾向があります。ただし、受け口そのものが遺伝するわけではなく、歯や顎のサイズ、骨格といった特徴が親から子へと受け継がれることで、結果的に受け口になる可能性が高まるのです。

一方、後天的な原因としては、お口周りの癖が大きく影響します。具体的には以下のような習慣が挙げられます。

  • ・指しゃぶりが長く続く
  • ・爪を噛む癖
  • ・唇を噛む癖
  • ・舌で歯を押す癖(舌癖)
  • ・口呼吸
  • ・頬杖をつく習慣

特に口呼吸は、アレルギーやアデノイド肥大などの疾患により鼻詰まりが引き起こされると誘発されやすくなります。鼻詰まりが長く続いて鼻で呼吸できない場合は、耳鼻咽喉科での診察も検討してみるとよいでしょう。

受け口を放置すると、見た目の問題だけでなく、さまざまな機能的な問題も生じる可能性があります。例えば、噛み合わせが悪いことで食べ物をうまく噛めなかったり、発音に影響が出たりすることがあります。また、口が閉じにくくなることで口呼吸が習慣化し、さらに歯並びが悪化するという悪循環に陥ることもあるのです。

お子さんの受け口が気になる場合は、早めに歯科医院で相談することをおすすめします。特に親御さんが受け口の場合は、お子さんの歯の生え方や噛み合わせの状況をこまめに確認するようにしましょう。

受け口の小児矯正はいつから始めるべき?~適切な治療開始時期~

「子どもの受け口、いつから治療を始めるべき?」

これは多くの親御さんが抱える疑問です。結論から言うと、受け口の種類や程度によって最適な治療開始時期は異なります。しかし、一般的には早期発見・早期治療が効果的とされています。

1~2歳頃に受け口が見られる場合でも、まだ乳歯が全て生えそろっていないため、噛み合わせが定まっていない状態です。この時期の受け口は、約半数のお子さんが自然に改善するとされています。

ですから、この頃は無理に治療を始めるよりも、歯ごたえのある食べ物をしっかり咀嚼させて顎を鍛えながら、経過を見守るのがよいでしょう。

乳歯が全て生えそろう3歳頃になっても受け口が改善しない場合は、矯正治療を検討する時期と言えます。特に骨格に原因がある受け口は、3~5歳頃から治療を始めることが推奨されています。なぜなら、3歳以降の受け口が自然に治る確率は10%以下と低く、早めに対処した方が効果的だからです。

歯並びに原因がある受け口の場合は、6~8歳頃に治療を始めても間に合うことが多いです。小児矯正では、顎の成長を上手く利用しながら治療を進めます。上顎の成長が止まるのは9~10歳頃とされていますので、それまでに治療を開始するのが理想的です。

どうですか?お子さんの年齢に合わせた治療時期が見えてきましたか?

矯正治療と聞くと、金属の装置を使った痛みを伴う治療をイメージされるかもしれません。しかし、小さなお子さんの場合は、取り外し可能なマウスピース型の装置を使用することも可能です。お子さんの負担を考慮した治療法も増えていますので、まずは専門医に相談してみることをおすすめします。

小児矯正の種類と特徴~お子さんに合った治療法~

受け口を治療するための小児矯正には、いくつかの方法があります。お子さんの年齢や受け口の種類、程度によって、最適な治療法が異なります。ここでは、代表的な治療法についてご紹介します。

①予防矯正

予防矯正は、歯並びが悪くなる「原因」を改善していく治療法です。従来、歯並びの問題は遺伝によるものという考えが主流でしたが、実は後天的な原因の方が多いとされています。

具体的には、お口周りの筋肉のトレーニングや舌の位置・機能の改善、姿勢の矯正などを行います。マウスピース型の装置を使用することもありますが、基本的には日常生活での習慣改善が中心となります。

予防矯正の大きなメリットは、将来の本格的な矯正治療の必要性を減らせる可能性があることです。早期に悪習慣を改善することで、歯並びの悪化を防ぎ、場合によっては矯正治療自体が不要になることもあります。

②床矯正

床矯正は、取り外し可能な装置(床装置)を使用する治療法です。この装置は、主に就寝時や家にいる時間に装着します。床装置には、歯列を広げるタイプ(拡大床)や、上顎の前方成長を促すタイプなど、目的に応じてさまざまな種類があります。

床矯正は、特に成長期のお子さんに効果的で、顎の成長をコントロールしながら歯並びを整えていきます。取り外しができるため、食事や歯磨きの際に不便さを感じることが少ないのも利点です。

③マウスピース型矯正装置

近年注目されているのが、透明なマウスピース型の矯正装置です。従来の金属製の装置と比べて目立ちにくく、取り外しも可能なため、お子さんの負担が少ないという特徴があります。

マウスピース型矯正装置は、歯列の拡大や前歯の配列などを改善するのに効果的です。従来のプレートタイプの装置と比べて違和感が少なく、使用しやすいというメリットがあります。ただし、適応症例や適応時期は限られるため、専門医による適切な診断が必要です。

④フェイスマスク・チンキャップ

骨格性の受け口に対しては、フェイスマスクやチンキャップといった装置が用いられることがあります。フェイスマスクは上顎の前方成長を促し、チンキャップは下顎の過剰な成長を抑制する効果があります。

これらの装置は就寝時や家にいる時間に装着するもので、顎の成長をコントロールすることで受け口を改善していきます。見た目のインパクトはありますが、成長期の骨格性の受け口に対しては非常に効果的な治療法です。

どの治療法が最適かは、お子さんの年齢や受け口の種類、程度によって異なります。また、治療期間や費用も治療法によって大きく変わってきます。まずは専門医による適切な診断を受け、お子さんに最適な治療法を選ぶことが大切です。

小児矯正のメリットとデメリット~知っておくべきポイント~

受け口の小児矯正には、さまざまなメリットがありますが、同時にデメリットや注意点も存在します。治療を検討する際には、これらをしっかりと理解した上で判断することが大切です。

小児矯正のメリット

小児矯正の最大のメリットは、成長期の顎の発達を利用できることです。子どもの顎は成長途上にあるため、適切な装置やトレーニングによって成長の方向をコントロールすることができます。これにより、将来的に歯を抜く必要がなくなったり、手術を回避できたりする可能性が高まります。

また、早期に治療を行うことで、噛み合わせの機能改善だけでなく、発音や呼吸の問題も解決できることがあります。特に口呼吸が習慣化している場合、鼻呼吸への改善を促すことで全身の健康にもプラスの影響をもたらします。

さらに、見た目の改善によるお子さんの心理的なメリットも見逃せません。受け口が原因でからかわれたり、コンプレックスを抱えたりすることを防ぎ、健全な自己肯定感の形成につながります。

小児矯正のデメリット・注意点

一方で、小児矯正にはいくつかのデメリットや注意点もあります。まず、治療期間が長期にわたることが多く、お子さんと保護者の協力が不可欠です。特に取り外し式の装置は、指示通りに装着しないと効果が得られません。

また、成長には個人差があるため、予測通りに顎が成長しないケースもあります。その場合、永久歯が生えそろった後に再度矯正治療(Ⅱ期治療)が必要になることもあります。

費用面では、Ⅰ期治療とⅡ期治療を合わせると、成人になってからの一度の矯正治療よりも高額になる可能性があります。ただし、Ⅰ期治療で完了すれば、むしろ費用を抑えられることもあります。

矯正装置の使用に伴うリスクとしては、装置の違和感や痛み、むし歯や歯周病のリスク増加、まれに歯根吸収(歯の根っこが溶けること)などが起こる可能性があります。これらのリスクを最小限に抑えるためには、定期的な通院と適切な口腔ケアが重要です。

小児矯正の流れ~治療開始から完了まで~

受け口の小児矯正を検討する際、治療の流れを理解しておくことで、心の準備ができ、不安も軽減されるでしょう。ここでは、一般的な小児矯正の流れについてご説明します。

矯正治療は一度始めると元に戻すことが難しいため、まずは専門医による適切な診断と治療計画の立案が非常に重要です。

①矯正相談

最初のステップは矯正相談です。この段階では、お子さんの歯並びや噛み合わせの状態、気になる点などについて歯科医師に相談します。医師からは、現在の状態や今後の見通し、治療の必要性などについての説明があります。

相談時には、お子さんの普段の習慣(指しゃぶりや口呼吸など)や成長の様子についても詳しく聞かれることがあります。これらの情報は適切な治療計画を立てる上で重要な手がかりとなります。

②資料取り(検査)

治療を進めることになった場合、次は詳細な検査を行います。具体的には、お口の中やお顔の写真撮影、レントゲン撮影、お口の中のスキャンなどが行われます。

特に重要なのが頭部X線規格写真(セファログラム)です。これは、顎の骨格や歯の位置関係を詳細に分析するための重要な資料となります。子どもの矯正では、顎の成長予測を行う上でも欠かせない検査です。

③診断・治療計画の説明

検査結果をもとに、医師から詳細な診断と治療計画の説明があります。受け口の種類や原因、推奨される治療法、治療期間、費用などについて具体的な説明を受けます。

この段階で不明点や疑問があれば、遠慮なく質問することが大切です。治療方針に納得した上で次のステップに進みましょう。

④治療開始

診断結果に基づいて、実際の治療が始まります。お子さんの年齢や受け口の状態によって、Ⅰ期治療(予防矯正)から始めるケースが多いです。

Ⅰ期治療では、主に取り外し式の装置を使用したり、お口周りの筋肉や舌のトレーニングを行ったりします。装置の使用方法や注意点についての説明を受け、定期的に通院して調整を行います。

Ⅰ期治療で改善が見られない場合や、永久歯が生えそろった段階で更なる治療が必要な場合は、Ⅱ期治療(本格矯正)に移行します。Ⅱ期治療では、固定式の装置やマウスピース型矯正装置を使用することが多いです。

⑤保定・メンテナンス

治療によって理想的な歯並びが得られた後も、その状態を維持するための「保定」という段階があります。保定装置を指示通りに使用することで、せっかく整えた歯並びの「後戻り」を防ぎます。

また、定期的なメンテナンスを受けることで、歯並びの状態を長期的に維持し、口腔内の健康を守ることができます。

まとめ~お子さんの笑顔のために~

受け口(反対咬合)の小児矯正について、その定義から原因、適切な治療開始時期、治療法、メリット・デメリット、治療の流れまで詳しく見てきました。

受け口は放置すると、見た目の問題だけでなく、噛み合わせや発音、呼吸にも影響を及ぼす可能性があります。特に骨格性の受け口は、成長とともに悪化することが多いため、早期発見・早期治療が重要です。

治療開始の適切な時期は、受け口の種類や程度によって異なりますが、一般的には以下のように考えられています。

  • ・骨格性の受け口:3~5歳頃からの治療が推奨
  • ・歯槽性の受け口:6~8歳頃からの治療でも対応可能
  • ・上顎の成長が止まる9~10歳までに治療を開始するのが理想的

小児矯正の大きなメリットは、成長期の顎の発達を利用できることです。これにより、将来的に歯を抜いたり手術を行ったりする必要性を減らせる可能性があります。また、早期に治療を行うことで、お子さんの心理的な負担も軽減できます。

一方で、治療期間が長くなることや、成長予測が難しいこと、費用面での負担などのデメリットもあります。これらを十分に理解した上で、お子さんに最適な治療法を選ぶことが大切です。

お子さんの歯並びや噛み合わせが気になる場合は、まずは専門医に相談してみましょう。適切な診断と治療計画に基づいた早期治療により、お子さんの健やかな成長と素敵な笑顔をサポートすることができます。

最後に、矯正治療は一度始めると元に戻すことが難しいため、信頼できる矯正歯科専門医を選ぶことが何より重要です。お子さんの将来を見据えた適切な判断と治療選択で、健康的な口腔環境を整えていきましょう。

 

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