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乳歯の虫歯が歯並びに影響?永久歯の健全な成長を守る6つのポイント

2026年01月29日

乳歯の虫歯が歯並びに影響?永久歯の健全な成長を守る6つのポイント

乳歯の虫歯を放置すると、永久歯の歯並びに影響が出る可能性があります

「乳歯はどうせ生え変わるから、虫歯になっても大丈夫」と考えていませんか?

実は、この考え方は大きな間違いです。乳歯の虫歯を放置すると、永久歯の歯並びや噛み合わせに深刻な影響を及ぼす可能性があります。乳歯は永久歯の「道しるべ」として重要な役割を果たしており、健全な永久歯列を育成するために欠かせない存在なのです。

乳歯は永久歯に比べてエナメル質が薄く、虫歯になりやすいという特徴があります。エナメル質の厚さは永久歯の半分ほどしかなく、虫歯菌から歯を守る力が弱いため、あっという間に虫歯が進行してしまうことも珍しくありません。さらに、乳歯の象牙質も永久歯より薄いため、虫歯菌が内部に侵入しやすく、神経まで達するスピードが速いのです。

この記事では、東京歯科大学で学んだ専門知識をもとに、乳歯の虫歯が永久歯に及ぼす影響と、健全な永久歯の成長を守るための6つのポイントについて詳しく解説します。お子さんの将来の口腔健康を守るために、ぜひ最後までお読みください。

乳歯の虫歯が永久歯に及ぼす5つの深刻な影響

乳歯の虫歯を放置すると、永久歯にさまざまな悪影響が及びます。

ここでは、特に重要な5つの影響について詳しく見ていきましょう。

永久歯の歯並びと噛み合わせが悪くなる

乳歯の虫歯が重症化して早期に抜け落ちてしまうと、永久歯が正しい位置に生えてこられなくなります。乳歯は永久歯が生えてくるスペースを確保する役割を担っており、早期に失われると隣接する歯が移動してしまうのです。その結果、永久歯が生えるスペースが狭くなり、歯並びや噛み合わせが悪くなってしまいます。

歯並びが悪くなると、将来的に歯列矯正が必要になるリスクが高まります。矯正治療には長期間と高額な費用がかかるため、乳歯の段階で適切なケアを行うことが重要です。

永久歯の発育不全や変色を引き起こす

乳歯の虫歯を放置していると、根っこの先に溜まったバイ菌が下から生えてくる永久歯に悪影響を及ぼします。これにより、永久歯の発育不全が引き起こされることがあります。

生えたての永久歯に白い斑点模様ができたり、茶色く着色した永久歯が生えてきたりする場合、これは「ターナー歯」または「エナメル質形成不全」と呼ばれる状態です。このような歯は虫歯菌の影響を受けやすく、将来的に虫歯になるリスクが高まります。

永久歯の虫歯リスクが高まる

乳歯の虫歯を放置すると、口の中の虫歯菌が増殖します。虫歯菌が多い環境では、新しく生えてきた健康な永久歯も虫歯になりやすくなってしまいます。

口腔内の細菌環境は、一度悪化すると改善が難しくなります。乳歯の段階から虫歯予防に取り組むことで、永久歯が生えてくる環境を清潔に保つことができるのです。

顎の発達が阻害される

乳歯は食べ物を噛むことで顎の骨の成長を促す重要な役割を担っています。虫歯で痛みがあると、子どもは痛みを避けるために片方の歯だけで噛む癖がついてしまいます。これにより、顎が十分に発達せず、顎のバランスが悪くなることがあります。

顎の発達が不十分だと、噛む力が弱くなるだけでなく、顔の歪みや発音障害につながる可能性もあります。成長期の顎の発達は、将来の口腔機能に大きく影響するため、乳歯の健康を保つことが極めて重要です。

口腔習癖を引き起こす

虫歯によって歯がむずがゆいと、子どもは指しゃぶりをしたり、舌を突き出したりする癖がつきやすくなります。また、虫歯によって前歯が欠如していると、舌癖などの口腔習癖を引き起こすことがあります。

これらの口腔習癖は、歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼし、さらなる歯列不正を招く原因となります。早期に虫歯を治療し、口腔習癖の発生を防ぐことが大切です。

乳歯の虫歯が進行しやすい4つの理由

なぜ乳歯は虫歯になりやすく、進行も早いのでしょうか?

その理由を理解することで、より効果的な予防策を講じることができます。

歯の質が未熟でやわらかい

乳歯はまだ歯の質が未熟でやわらかいという特徴があります。エナメル質が薄く、象牙質も永久歯に比べて脆弱なため、虫歯の進行が非常に早いのです。気づかないうちに神経まで虫歯菌が及んでしまうことも珍しくありません。

定期的な歯科検診を受けることで、初期の虫歯を早期に発見し、進行を防ぐことができます。

形態的に不潔域ができやすい

乳歯は噛み合わせの溝が深く、歯ブラシの毛先がしっかりと届きにくい形態をしています。この溝に虫歯菌や食べかすが溜まりやすく、虫歯のリスクが高まります。

奥歯の溝を埋める「シーラント」という予防処置を行うことで、虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。シーラントは、溝の部分を白い材料で詰めることで、虫歯菌の侵入を防ぐ効果的な方法です。

家族内での虫歯菌の感染

虫歯菌は家族からも感染します。生後間もなくから2歳半くらいまでの時期は特に感染しやすく、家族内での食事の際の口移しや箸・スプーンの共有などから感染することがあります。

保護者の方ご自身の口腔健康を大切にすることが、お子さんの口腔健康を守ることにもつながります。家族全員で定期的な歯科検診を受け、口腔内を清潔に保つことが重要です。

間食が多く、だらだら食べをしている

だらだらとおやつを食べていると、口の中に糖分が停滞するため、常に口が酸性の状態になってしまいます。酸性の状態が続くと、歯のエナメル質が溶けやすくなり、虫歯ができやすい環境になります。

おやつを食べる際は時間を決めて、だらだら食べをしないように注意しましょう。規則正しい食習慣を身につけることが、虫歯予防の基本です。

永久歯の健全な成長を守る6つのポイント

ここからは、お子さんの永久歯を健全に育てるための具体的な6つのポイントをご紹介します。

これらのポイントを実践することで、将来の歯のトラブルを大幅に減らすことができます。

1. 毎日の仕上げ磨きを習慣化する

子どもが自分で完璧に歯を磨くのは難しいため、大人の仕上げ磨きが非常に重要です。歯と歯の間や歯茎の周辺を注意深く磨いてあげましょう。

1日2回以上の歯磨きを習慣化し、特に就寝前の歯磨きは丁寧に行うことが大切です。小学校低学年のお子さんでも、まだまだ歯磨きが安定していない場合が多いため、保護者の方の仕上げ磨きを続けることをおすすめします。

2. フッ素入り歯磨き粉を使用する

フッ素は歯のエナメル質を強化し、虫歯の進行を防ぐ効果があります。年齢に合ったフッ素入り歯磨き粉の使用を習慣づけましょう。

歯科医院でのフッ素塗布も効果的です。定期的にフッ素塗布を受けることで、歯質を強化し、虫歯になりにくい歯を育てることができます。

3. 規則正しい食習慣をつける

だらだら食べを避け、食事と間食の時間を決めることが虫歯予防に効果的です。食事の後は口をゆすぐか、可能であれば歯磨きをする習慣をつけましょう。

また、やわらかい食べ物ばかりではなく、前歯を使ってしっかり噛む必要がある食べ物を取り入れることで、顎の発達を促すことができます。

4. 定期的な歯科検診を受ける

定期的な歯科検診を受けることで、初期の虫歯を早期に発見し、進行を防ぐことができます。3〜6ヶ月ごとの定期検診が推奨されています。

歯科検診では、虫歯のチェックだけでなく、歯磨き指導やセルフケアグッズの紹介も行われます。専門家のアドバイスを受けることで、より効果的な虫歯予防が可能になります。

5. シーラントで奥歯の溝を保護する

奥歯の噛み合わせの溝は虫歯になりやすい部分です。この溝を白い材料で埋める「シーラント」という予防処置を行うことで、虫歯のリスクを大幅に減らすことができます。

シーラントは生えたての永久歯に対して特に効果的です。永久歯が生えてきたら、早めに歯科医院でシーラント処置を受けることをおすすめします。

6. 口腔習癖の改善に取り組む

指しゃぶりや舌を突き出す癖、口呼吸などの口腔習癖は、歯並びや噛み合わせに悪影響を及ぼします。これらの習癖に気づいたら、早めに改善に取り組むことが大切です。

口呼吸は上顎の成長を妨げ、歯並び悪化の原因となるだけでなく、病原菌が喉の粘膜から直接取り込まれてしまうため、健康のためにも良くありません。鼻呼吸を促すトレーニングや、必要に応じて耳鼻咽喉科の受診も検討しましょう。

小児矯正で永久歯の健全な成長をサポート

乳歯の段階から歯並びや噛み合わせに問題がある場合、小児矯正を検討することも重要です。

小児矯正は、成長期の特性を利用して顎や歯のバランスを整える治療法です。

小児矯正のⅠ期治療とⅡ期治療

小児矯正は、大きく分けて「Ⅰ期治療」と「Ⅱ期治療」の2段階で行われます。Ⅰ期治療は、永久歯が生えそろう前の段階で行われ、主に顎の成長を促したり、歯並びが悪くなる原因を取り除いたりすることを目的としています。

歯並びの状態によっては、Ⅰ期治療だけで完了することも可能です。Ⅰ期治療だけで終わる場合、治療期間が短くなり、費用も少なくて済みます。ただし、口の状態によってはⅡ期治療が必要になるケースもあります。

歯並びが悪くなる原因を改善する

歯並びが悪くなる主な原因は、「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全です。普段何もしていない時に舌が常に歯に触れている「舌癖」や、口呼吸、逆嚥下などが歯並びを悪化させる要因となります。

Ⅰ期治療では、「歯列矯正用咬合誘導装置」という方法で、これらの原因を改善していきます。歯を直接動かすのではなく、悪い歯並びになってしまう「原因」をオリジナル装置やトレーニングで改善していく治療法です。

年齢に応じた治療アプローチ

小児矯正は、お子さんの年齢によって治療アプローチが異なります。0〜2歳では姿勢の訓練、3〜5歳ではインファントというマウスピース型装置の使用、6〜9歳では歯列矯正用咬合誘導装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。

成長発育期の子どもたちに焦点を絞り、正常な機能を有する健全な永久歯列の育成を行うことが小児矯正の目的です。個人差がありますが、小学校低学年がベストな開始時期とされています。

まとめ:乳歯の健康が永久歯の未来を決める

乳歯の虫歯は「どうせ生え変わるから」と軽視されがちですが、実は永久歯の歯並びや噛み合わせ、さらには顎の発達にまで深刻な影響を及ぼす可能性があります。

乳歯の虫歯を放置すると、永久歯が正しい位置に生えてこられなくなったり、発育不全を引き起こしたり、虫歯リスクが高まったりするなど、さまざまな問題が生じます。これらの問題は、お子さんの将来の口腔健康だけでなく、全身の健康や心理的な面にも影響を与える可能性があります。

永久歯の健全な成長を守るためには、毎日の仕上げ磨き、フッ素の活用、規則正しい食習慣、定期的な歯科検診、シーラント処置、口腔習癖の改善という6つのポイントが重要です。これらを実践することで、お子さんの歯を虫歯から守り、健康な永久歯列を育てることができます。

また、歯並びや噛み合わせに問題がある場合は、成長期の特性を利用した小児矯正も有効な選択肢です。早期に専門家に相談し、適切な時期に治療を開始することで、将来の矯正治療の負担を軽減できる可能性があります。

お子さんの歯に少しでも気になる点があれば、治療をするしないに関わらず、まずは一度歯科医院にご相談ください。専門家の目で診断することで、その後の歯の成長を予測し、最適な治療計画を立てることができます。

むらせ歯科茂原院では、お子さんの矯正歯科治療に特化したサービスを提供しています。口腔周囲筋の機能不全を改善する「歯列矯正用咬合誘導装置」を使用し、歯並びが悪くなる原因を根本から改善します。患者さんの身体的・経済的負担を軽減するため、可能な限りⅠ期治療で矯正を完了させることを目指していますが、必要に応じてⅡ期治療も実施します。

お子さんと親御さんに十分な説明を行い、納得いただいた上で治療を進めていますので、安心してご相談ください。お子さんの健康な永久歯列を育てるために、私たちが全力でサポートいたします。

 

大人の出っ歯改善|ワイヤーとマウスピース矯正の選び方完全ガイド

2026年01月29日

大人の出っ歯改善|ワイヤーとマウスピース矯正の選び方完全ガイド

出っ歯に悩む大人が増えている理由

鏡を見るたびに気になる前歯の突出感。

笑顔を見せるのをためらってしまう経験は、多くの方が抱えている悩みです。実は、12〜20歳の約40%が出っ歯の傾向にあるというデータがあり、大人になってから改善を考える方も少なくありません。出っ歯は「上顎前突」と呼ばれる状態で、見た目だけでなく口腔機能にも影響を及ぼします。

大人になってからの矯正治療は、決して遅くありません。

むしろ、自分の意思で治療を選択できる大人だからこそ、理想の歯並びを手に入れるチャンスなのです。現在では、ワイヤー矯正とマウスピース矯正という2つの主要な治療法があり、それぞれに特徴があります。この記事では、東京歯科大学大学院を修了した専門的な視点から、大人の出っ歯改善について詳しく解説していきます。

出っ歯とは何か|基準と症状を理解する

出っ歯かどうかを判断する基準として「オーバージェット」という指標があります。

これは上下の歯の前後の位置関係を表すもので、通常は上顎前歯が下顎前歯よりも2〜3mm前に出ています。この範囲内であれば正常ですが、4mm以上前に出ている場合に出っ歯と診断されます。真横から見た時、上と下の前歯の差が5mm以上あると出っ歯の傾向が強いといえるでしょう。

出っ歯の自覚症状チェックリスト

以下の症状に当てはまる場合、出っ歯の可能性があります。

  • 常に口が開いている状態で、意識しないと閉められない
  • 無理に口を閉じようとすると下唇の下に丸い皺ができる
  • 上唇がかなり前に飛び出して見える
  • 二本の前歯が異常に大きく見える

これらの症状は、患者さん自身が「歯が出ている」と感じやすいケースです。日本人は上顎前歯2本が隣の歯や下の歯よりも大きく、前歯2本が目立ちやすい傾向があります。

軽度と重度の出っ歯の違い

オーバージェットが6mm以上の場合は「重度」と判断されます。

軽度の出っ歯は、歯並びが原因で噛み合わせに異常はなく、抜歯せずに上下前歯の傾斜や位置の調整で治すことができる状態を指します。一方、重度の出っ歯では、抜歯を伴う歯科矯正治療や外科手術が必要になる場合もあります。厚生労働省の調査によると、12〜20歳の子どもの約6.5%がオーバージェットが6mm以上ある重度の出っ歯状態であることが分かっています。

出っ歯になる原因|先天的要因と後天的要因

出っ歯の原因は大きく分けて3つあります。

癖や習慣によって上顎が突き出している「歯性」、遺伝などにより上顎が出ている「骨格性」、そして上の前歯と上顎の両方が前突している「歯性と骨格性の混合型」です。それぞれの原因によって、適切な治療方法も異なってきます。

先天的な要因|遺伝と骨格の影響

骨格などの先天的な問題で出っ歯になることがあります。

顎の骨格のバランスが悪かったり、顎に対して歯のサイズが大きかったりすることは、出っ歯の原因の1つです。例えば、下顎に対して上顎が大きすぎる、反対に上顎に対して下顎が小さすぎるなどのケースが該当します。歯のサイズや顎のバランスは遺伝の影響を受けるため、親が出っ歯の場合は子どもも出っ歯になる可能性が高いといえます。

後天的な要因|生活習慣と口腔環境

幼少期からの生活習慣も出っ歯の原因になります。

口呼吸、舌で前歯を押す癖、指しゃぶり、唇や爪を噛む癖などがある場合、歯並びに影響を及ぼして出っ歯になることがあります。これらの癖が幼少期に解消されなければ、出っ歯になる可能性が高まるでしょう。また、大人になってからも、歯周病や歯ぎしり・食いしばり、噛み合わせの悪化、抜けた歯の放置、治療の中断などが原因で出っ歯になることもあります。

歯周病により歯を支える骨が弱くなると、噛み合わせの負担に耐えられず、歯が前に押し出されることがあります。

さらに、歯ぎしりや食いしばりを併発すると、出っ歯になるリスクが高まります。抜けた歯を放置していたり、虫歯治療を途中で中断したりすると、咀嚼時の負担などがうまく分散されずに出っ歯になる可能性があるため注意が必要です。

出っ歯を放置するリスク|健康への影響

出っ歯を放置すると、様々な問題が生じます。

見た目の問題だけでなく、口腔機能や全身の健康にも悪影響を及ぼす可能性があるため、早めの対処が重要です。

噛み合わせの悪化と歯の寿命

出っ歯は前歯が噛み合わない状態です。

この状態が慢性化すると、奥歯にばかり負担がかかって歯の擦り減りが起こり、さらに噛み合わせが悪化する可能性があります。食べ物の噛みづらさを感じたり、咀嚼不足により消化器官に負担をかけたりすることがあるでしょう。また、歯茎や顎にも負担がかかるので、歯周病や顎関節症の発症リスクも高めます。歯の寿命を縮めることにもつながるため、早急な対処が必要です。

虫歯・歯周病・口臭のリスク増加

出っ歯は前歯が突出している状態なので、唇をしっかり閉じられなかったり、口呼吸になったりしやすいです。

唾液には口内の細菌を洗い流す働きや、細菌の働きを抑制する働きがあります。口が開いたままになり口内が乾燥すると、虫歯や歯周病になりやすくなるため注意が必要です。また、ドライマウスを発症することで、口臭が悪化することも懸念されます。

発音障害と顔貌への影響

歯並びは発音に影響を与えるため、出っ歯により滑舌が悪くなることがあります。

歯並びの悪さから舌が動きづらくなるからです。滑舌が悪くなることで、ストレスを抱えたり、コンプレックスになったりする可能性があります。また、前歯が前に出ていることで、口元が突き出たように見えたり、唇が閉じられなかったりすることで、顔貌に悪影響を与えます。出っ歯にコンプレックスを抱える方も少なくありません。口元を手で隠す、引っ込み思案になるなど、精神的なストレスになることもあります。

ワイヤー矯正の特徴|確実性と適応範囲

ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという装置を付けて、ワイヤーの力で歯を動かしていく方法です。

平均的な治療期間は1年から3年程度が一般的ですが、個人差があります。ワイヤー矯正は装置から歯に継続的に力が加わるため、複雑な症例や大きく歯を動かす必要がある場合にも対応できます。月に1回程度の通院で、歯科医師がワイヤーを調整しながら治療を進めていきます。

ワイヤー矯正の適応症例

ワイヤー矯正は、軽度から重度まであらゆる不正咬合に対応できる万能な治療法です。

特に以下のような症例に効果的といえます。

  • 大きく歯を動かす必要がある場合
  • 奥歯を含めた全体的な咬み合わせの調整が必要な場合
  • 歯を回転させるなど複雑な動きが必要な場合
  • 抜歯を伴う治療が必要な場合

治療期間は症例の難易度によって大きく変わってきますが、確実に歯を動かせる信頼性の高い方法です。

ワイヤー矯正の種類と費用

ワイヤー矯正には主に3つの種類があります。

表側矯正は歯の表側にブラケットを装着する最も一般的な方法で、裏側矯正は歯の裏側にブラケットを装着するため外からは見えにくい特徴があります。ホワイトワイヤー矯正は白い素材を使用したワイヤーで目立ちにくくなっています。費用は約40〜100万円程度が基本になりますが、矯正治療は自費診療のため、歯並びの症状や治療内容によって異なります。

ワイヤー矯正の痛みと生活への影響

ワイヤー矯正は、ブラケットとワイヤーを歯につけて治療を行うため、矯正治療特有の痛みが生じることがあります。

矯正治療を始めた最初の数日間は、歯が動き始めるため圧力を感じて痛みを感じることが多いです。特に装置が歯に取り付けられた直後は、歯が少しずつ移動するため、違和感や軽い痛みを感じることがあります。また、歯の表や裏にブラケットがつくことで唇や舌に擦れて痛みを感じる方もいらっしゃいます。ワイヤーの調整後は、ワイヤーが変更されることで歯に新たな力が加わり、数日間は歯に圧迫感を感じ、痛みが伴うことがありますが、この痛みは通常数日以内に収まります。

装置がついたままの生活になるため、食事や歯磨きで不便を感じやすいです。

ブラケットが表についている場合は唇に当たり、裏の場合は舌に当たり、不快感を感じやすくなります。ただし、ワックスといわれるカバー材をブラケットに直接つけてカバーをし、擦れないようにすることで対処できます。

マウスピース矯正の特徴|快適性と審美性

マウスピース矯正は、透明なマウスピースを定期的に交換しながら歯を動かしていく治療方法です。

平均的な治療期間は2年から3年程度とされていますが、個人差があります。軽度の歯並びの乱れであれば、1年から1年半程度で終わることもあります。マウスピース矯正の特徴は、歯を少しずつ優しく動かしていくため、計画的に治療を進められる点です。

マウスピース矯正のメリット

マウスピース矯正の最大の特徴は、装置が透明で目立ちにくく、取り外しができるという点です。

会議や接客など、人と対面する機会が多い方にとって、この「目立ちにくさ」は大きなメリットとなります。具体的なメリットは以下の通りです。

  • 透明で目立たない
  • 取り外せるので衛生的
  • 小さな力で歯を動かすことが可能なので痛みが少ない
  • ワイヤー矯正で起こる装置による傷・口内炎のリスクが低い
  • 食事中には外せるため、普段通りの食事が可能
  • 通院回数が少ない

数メートル離れると装着していることがほとんど分からないほど目立ちません。

仕事の関係でワイヤー矯正を避けたいという理由でマウスピース矯正を選ばれる方が多くいらっしゃいます。見た目を最優先するなら、マウスピース矯正が圧倒的に優位と言えるでしょう。

マウスピース矯正の注意点と適応症例

マウスピース矯正は技術の進歩により対応できる症例が広がってきていますが、依然として限界があります。

装着時間をしっかり守ることが治療期間を予定通りに終えるための大切なポイントになります。マウスピースは1週間〜10日ごとに交換し、1日20時間以上つける必要があります。装着時間を守らないと計画通りに歯が動かないことがあるため、自己管理が重要です。

特に以下のような症例では効果が限定的な場合があります。

  • 大幅な歯の移動が必要な場合
  • 複雑な回転移動が必要な場合
  • 垂直方向の歯の移動(圧下・挺出)が必要な場合

ただし、インビザラインのようなマウスピース矯正は、前歯だけでなく奥歯も含めた全体矯正に対応しており、ほとんどの症例で治療が可能です。

マウスピース矯正の痛みと快適性

マウスピース矯正も矯正治療の一種であり、一定の痛みや不快感が生じることがあります。

新しいマウスピースに交換したばかりの時、歯に圧力がかかるため、数日間にわたって軽い痛みや不快感を感じることがあります。この痛みは通常、歯が移動し始めることによるもので、数日以内に収まることが多いです。マウスピースが歯にしっかりとフィットするように作られていますが、最初は少し違和感を感じることがあります。

マウスピース矯正は取り外し可能なので、食事中や歯磨き中には取り外せるため、通常のワイヤー矯正よりも快適に感じる人も多いです。

日常生活の快適さでは優れていますが、装着時間の自己管理が必要です。マウスピース矯正の方がワイヤー矯正治療に比べて痛みが少なく、治療中の生活においても比較的快適だと言われています。

ワイヤーとマウスピース矯正の比較|選び方のポイント

どちらの矯正方法を選ぶべきか?

これは多くの方が悩むポイントです。それぞれの特徴を理解し、自分のライフスタイルや治療目的に合った方法を選ぶことが大切です。

治療期間と効果の違い

一般的にはワイヤー矯正の方が歯の移動が早い傾向があります。

マウスピース矯正は2年から3年程度、ワイヤー矯正は1年から3年程度が目安となります。これは、ワイヤーを使った装置が歯にしっかりとした力を加え続けることで、効率的に歯を動かせるためです。ただし、治療期間には個人差があり、歯並びの状態によっても異なります。

症例によっては、マウスピース矯正でも十分に対応でき、計画的に治療を進めることができます。

軽度〜中等度の歯並びの乱れの場合、マウスピース矯正なら1年〜3年程度、ワイヤー矯正は1年半から2年半程度で終わることがありますが、いずれも個人差があります。重度の症例では、ワイヤー矯正の方が確実に治療を進められるケースが多くなります。

見た目と日常生活への影響

見た目を最優先するなら、マウスピース矯正が圧倒的に優位です。

ワイヤー矯正は金属製のブラケットとワイヤーを使用するため、どうしても目立ってしまいます。特に表側矯正では、会話や笑顔の際に装置が見えるため、人によっては気にされる方も多いでしょう。近年では白いセラミック製のブラケットや透明なブラケットも選べるようになり、従来の金属製よりは目立ちにくくなっています。

マウスピース矯正は透明なプラスチック製のため、数メートル離れると装着していることがほとんど分からないほど目立ちません。

日常生活への影響では、ワイヤー矯正は装置がついたままの生活になるため、食事や歯磨きで不便を感じやすいです。マウスピース矯正は食事や清掃時に取り外せるため、日常生活の快適さでは優れています。ただし、装着時間の自己管理が必要です。

費用と通院頻度の比較

費用面では、両者ともに約40〜100万円程度が基本になります。

矯正治療は自費診療のため、歯並びの症状や治療内容によって異なります。マウスピース矯正の場合、部分矯正で10〜70万円、全体矯正で70〜100万円が相場となっています。ワイヤー矯正の場合、唇側マルチブラケット矯正で770,000円〜880,000円程度が目安です。

通院頻度では、ワイヤー矯正は月に1回程度の通院が必要です。

マウスピース矯正は通院回数を最小限に抑えられるため、仕事や育児で忙しい方でも続けやすい特徴があります。無駄のない治療プランにより、来院回数を減らしつつ効果的に治療を進められるため、通院の負担を軽減した治療を受けられます。

治療の流れと期間|矯正治療のステップ

矯正治療はどのように進むのでしょうか?

治療の流れを理解しておくことで、安心して治療を受けることができます。

初診相談から治療開始まで

まずは矯正相談から始まります。

歯並びの不安や疑問点などについてお伺いし、最適な矯正治療プラン、時期、金額などについて詳しく説明します。多くの歯科医院では無料相談に対応しており、歯科医師によるカウンセリングと合わせて、口腔内スキャナーを用いた簡易的な口腔内チェックも行われます。

相談から治療へ進む方には、現在のお口の状態や身体の状態などを詳しく把握するための検査を行います。

検査では、お口やお顔の写真の撮影、レントゲン撮影、お口の内のスキャンを行います。資料取りを行ってから2週間後、再度来院して資料の診断結果について説明を受けます。この診断では、患者さんの現在の歯並びやお口の状態について詳しく説明され、治療の流れや費用などについて案内されます。

治療中の管理と調整

診断の結果を踏まえて、治療に移ります。

ワイヤー矯正の場合は、すべての歯に矯正装置を装着し、理想的な歯並び、かみ合わせを目指す治療を行います。月に1回程度の通院で、歯科医師がワイヤーを調整しながら治療を進めていきます。再診料は5,500円/月程度が一般的です。

マウスピース矯正の場合は、1週間〜10日ごとにマウスピースを交換し、1日20時間以上装着します。

口腔内スキャナーによってスキャンしたデータを元に、治療のスタートからゴールまで事前にシミュレーションを行います。シミュレーションを元に作成した計画に沿って治療が進んでいくため、無駄な微調整が不要です。通院回数を最小限に抑えられるため、仕事や育児で忙しい方でも続けやすい特徴があります。

保定期間とメンテナンス

矯正治療後は保定治療が必要です。

きれいに並んだ歯並びを維持するための治療で、歯並びは永久的なものではありません。歯は加齢変化で徐々にでこぼこが出てくるものなのです。アンチエイジングの意味でも、きれいに並んだ歯をずっときれいに維持するためには保定装置を用いたメインテナンスが必要になります。

保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや噛み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。

再診料は3,300円/月程度が一般的で、リテーナー紛失・破損時の作り替えには6,600円程度かかります。治療後のメンテナンスをしっかり行うことで、理想の歯並びを長く維持することができます。

矯正治療のリスクと副作用|知っておくべきこと

矯正治療には様々なメリットがありますが、リスクや副作用も存在します。

治療を始める前に、これらをしっかり理解しておくことが重要です。

一般的なリスクと副作用

矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間〜1、2週間で慣れてきます。

歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。

治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。

したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。また、歯が動くと隠れていたむし歯があることが判明することもあります。

歯と骨に関するリスク

歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。

ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。ごくまれに歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。

治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。

治療の経過によっては当初予定していた治療計画を変更する可能性があります。歯の形の修正や咬み合わせの微調整を行う可能性があります。矯正歯科装置を誤飲する可能性があります。

治療後の注意点

矯正歯科装置を外す際にエナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。

動的治療が終了し装置が外れた後に現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす必要性が生じる可能性があります。動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。

あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。

治療後に親知らずの影響で歯並びや咬み合せに変化が生じる可能性があります。また、加齢や歯周病などにより歯並びや咬み合せが変化することがあります。矯正歯科治療は一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。

まとめ|理想の笑顔を手に入れるために

大人の出っ歯改善には、ワイヤー矯正とマウスピース矯正という2つの選択肢があります。

ワイヤー矯正は確実性が高く、あらゆる症例に対応できる万能な治療法です。一方、マウスピース矯正は目立ちにくく、日常生活への影響が少ない特徴があります。どちらを選ぶかは、あなたのライフスタイル、治療目的、歯並びの状態によって異なります。

治療期間は一般的にマウスピース矯正で2〜3年、ワイヤー矯正で1〜3年程度ですが、個人差があります。

費用は両者ともに約40〜100万円程度が基本となり、症例によって異なります。重要なのは、専門的な診断を受け、自分に最適な治療法を選択することです。出っ歯を放置すると、噛み合わせの悪化、虫歯・歯周病のリスク増加、発音障害など様々な問題が生じる可能性があります。

矯正治療は決して遅くありません。

むらせ歯科茂原院では、患者さん一人ひとりの身体的・経済的負担を軽減するため、最適な治療プランをご提案しています。まずは無料相談で、あなたの歯並びの状態を確認し、理想の笑顔を手に入れる第一歩を踏み出してみませんか。専門的な知識と経験を持つ歯科医師が、あなたの悩みに寄り添い、最適な治療法をご提案いたします。

 

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子どもの歯ぎしりは成長の証?小児歯科医が教える原因と対策

夜中に響く「ギリギリ」という音・・・それは成長のサイン?

夜、お子さんの寝室から「ギリギリ」という歯ぎしりの音が聞こえてきたことはありませんか?

あまりにも大きな音に、「歯が削れてしまうのでは」「何か病気なのでは」と心配になる親御さんは少なくありません。実際、小児歯科の診察室でも「子どもの歯ぎしりが心配で」と相談に来られる方が多くいらっしゃいます。

結論から申し上げると、子どもの歯ぎしりの多くは「成長の過程で起こる生理現象」であり、過度に心配する必要はありません。むしろ、次に生えてくる歯の位置や顎の位置を決めようとする、成長に必要な行動なのです。

とはいえ、すべての歯ぎしりが問題ないわけではありません。この記事では、小児歯科医の視点から、子どもの歯ぎしりの原因、見守るべきケースと受診すべきケース、そして家庭でできる対策について詳しく解説していきます。

子どもの歯ぎしりはいつから始まる?どのくらいの子がしているの?

子どもの歯ぎしりは、上下の前歯が生えそろってくる「生後8カ月ごろ」から始まります。

この時期、赤ちゃんは上下の歯が初めて接触することで、歯ぎしりの音を出し始めるのです。その後、1歳くらいで奥歯が生えてきて、2歳半にかけて乳歯が生え揃う過程で、脳がかみ合わせを整えようとするため、歯ぎしりの回数が増えることがあります。

世界の子どもの約5~50%が歯ぎしりを経験

研究によると、世界の小児人口の5~50%に歯ぎしりが見られると報告されています。この結果の幅が広い理由は、ほとんどが親の報告に基づいているため、研究そのものが難しいことにあります。

日本国内でも、子どもの10人に2~3人が睡眠中に歯ぎしりや食いしばりをしているといわれています。つまり、決して珍しい現象ではないのです。

中学生くらいまで続くことも

子どもの歯ぎしりは、中学生くらいまで続くこともあります。

ただし、年齢とともに自然に減少する傾向にあることが分かっています。これは、永久歯への生え変わりが完了し、かみ合わせが安定してくるためです。興味深いことに、年齢とともに減少するという研究結果には、「単に夜間に親が子どもの寝室を訪れる頻度が減ったから」という考察もあるようです。

子どもの歯ぎしりの原因とは?大人とは違うメカニズム

大人の歯ぎしりは、ストレスや睡眠時無呼吸症候群、顎関節症などとの関連が指摘されています。

しかし、子どもの場合は大人とは異なるメカニズムで歯ぎしりが起こることが多く、病気が原因である可能性は少ないため、治療が必要になることはほとんどありません。

成長に伴う生理的な原因

子どもの歯ぎしりの主な原因は、「成長に伴うかみ合わせの変化への順応」です。具体的には以下のような理由があります。

  • 顎の位置を決めるため・・・歯が生えてくる際に、歯ぎしりをすることで顎の位置を決めていると考えられています
  • 永久歯のスペースを作るため・・・乳歯が全て生えそろった後の歯ぎしりは、永久歯が生えてくる際にスペースを作る目的があるとされています
  • かみ合わせの調整・・・乳歯から永久歯への生え変わりの期間中、上下の歯が一時的にきちんと噛み合っていない場合に、歯や顎の位置を調整しようとして無意識のうちに歯ぎしりが起こります
  • 歯が生えるときの痛みへの対応・・・乳歯が永久歯に生え変わる時期に、歯が生えるときの痛みへの対応として歯ぎしりが起こることもあります

睡眠周期との関係

大阪大学の研究によって、子どもの歯ぎしりの発生メカニズムが世界で初めて解明されました。

この研究では、明らかな睡眠の病気がなく、発達にも問題のない6歳から15歳の子どもに睡眠検査を実施したところ、歯ぎしりをする子どもでは、レム睡眠に向けてノンレム睡眠が浅くなり交感神経系活動が高まる間に歯ぎしりが集中して発生し、睡眠周期ごとの歯ぎしりの増減があることが分かりました。

また、約90%の歯ぎしりが短い覚醒や体動とともに発生することも明らかになっています。つまり、健康な子どもでは、歯ぎしりは睡眠周期に伴う脳内活動の変化に対して、歯ぎしりをする顎の神経機構が過剰に反応することで生じる可能性があるのです。

心理的ストレスも影響する

大人と同様、子どももストレスによって歯ぎしりをすることがあります。

学校でのテストや決められた行動が大きなストレスになって歯ぎしりという症状が出ている可能性もあります。親や兄弟と仲が悪いといったことも、歯ぎしりや食いしばりを起こすための十分なストレスになり得ます。また、責任感が強い子、神経症を患っている子に多いという報告もあります。

さらに、睡眠時間が8時間未満や頻繁に目が覚める子には歯ぎしりが多いようです。睡眠時に電気をつけたり、物音を立てたりすることも好ましくありません。受動喫煙に晒されている場合も、歯ぎしりが多くなるという研究結果もあります。

歯並びや骨格は関係ない?

興味深いことに、歯列の状態や顔面の骨格の形態などは、子どもの歯ぎしりには影響がないと考えられています。

したがって、子どものブラキシズム(歯ぎしりや食いしばりの総称)を抑制する目的で、矯正治療などを行うことは科学的に支持されていません。

見守るべきケースと受診すべきケース・・・判断のポイント

子どもの歯ぎしりの多くは成長の過程で起こる生理現象であり、基本的には様子を見ることで問題ありません。

しかし、すべての歯ぎしりが「様子見」で良いわけではありません。ここでは、見守るべきケースと受診すべきケースの判断ポイントを解説します。

基本的には様子を見て大丈夫なケース

以下のような場合は、過度に心配せず、成長の一環として見守ってあげてください。

  • 音は大きいが、歯に目立った異常がない
  • 日中の様子に変わりがなく、元気に過ごしている
  • 食事や会話に支障がない
  • 歯のすり減りが軽度である
  • 顎や顔に痛みを訴えない

激しい音で歯ぎしりしていても、あわてて受診する必要はありません。実際に歯が削れていたり、歯が欠けたりすることはほとんどないのです。

歯科医院への受診を検討すべきケース

一方で、以下のような症状が見られる場合は、早めに小児歯科を受診することをおすすめします。

  • 歯が必要以上にすり減っている・・・エナメル質が欠けたり、歯が異常にすり減っている場合
  • 歯がぐらぐらしている・・・歯ぎしりによって歯に負担がかかりすぎている可能性があります
  • 朝起きた後、顎や顔に痛みがある・・・顎関節への負担が大きい可能性があります
  • 食事中に歯が痛む・・・歯や歯茎にダメージが及んでいる可能性があります
  • 頻繁に出血する、血が止まらない・・・歯が歯ぐきに当たって血が出ることがあります
  • 不正咬合(受け口など)が見られる・・・歯ぎしりだけでなくかみ合わせの問題がある場合、矯正治療が必要になることがあります
  • 永久歯に生え変わった後も激しい歯ぎしりが続く・・・中学生を過ぎても頻繁に激しい歯ぎしりをしている場合

将来への影響も考慮する

子どもの頃に歯ぎしりが多いと、将来、顎関節症を発症する可能性が3倍高くなるという報告があります。

永久歯に全て生え変わるころ、すなわち中学生を過ぎても激しい歯ぎしりをしょっちゅうしているようであれば、永久歯に破壊的なダメージを与えたり、顎関節症の原因となったりする可能性があるため、注意が必要です。

家庭でできる歯ぎしり対策と予防法

子どもの歯ぎしりに対して、現在のところ科学的に根拠がある治療法はありません。

基本的には経過観察をすることになりますが、家庭でできる対策もいくつかあります。ここでは、過剰な歯ぎしりを軽減させるために実践できる方法をご紹介します。

良質な睡眠環境を整える

睡眠時間が8時間未満や頻繁に目が覚める子には歯ぎしりが多いという報告があります。

以下のような点に注意して、お子さんの睡眠環境を整えてあげましょう。

  • 十分な睡眠時間を確保する(8時間以上が目安)
  • 就寝時は部屋を暗くする(電気をつけたままにしない)
  • 静かな環境を作る(物音を立てない)
  • 規則正しい生活リズムを心がける
  • 寝る前のスマートフォンやタブレットの使用を控える

ストレスを溜めさせない工夫

歯ぎしりはストレスを発散するのに必要な行動である、とも言われています。

ある程度の歯ぎしりは、ストレス発散のためにむしろ行った方が良いとも考えられています。しかし、あまりに過剰なストレスがかかっている場合、その歯ぎしりが強く起こりすぎてしまい、歯を傷めてしまう可能性もあります。

普段からお子さんのメンタル面にも注意を払い、ストレスがたまりすぎていないか、ということをよく見てあげてください。問題があればストレスをどうやったら解消してあげられるか、という心理面からのアプローチも大切です。

日中の癖を直す

日中に上下の歯を食いしばる、カチカチと歯を合わせる、ギリギリとこすり合わせるというような癖がある場合、眠っている間に歯ぎしりをより引き起こしやすくなると言われています。

また、上下の歯を無駄に合わせるのは、歯へダメージを与え、様々な不快症状を起こす原因にもなります。そのような癖がある場合には、それが良くないことであると説明し、早めにやめさせるようにしましょう。

受動喫煙を避ける

受動喫煙に晒されている場合も、歯ぎしりが多くなるという研究結果があります。

お子さんの健康のためにも、家庭内での喫煙は控えることをおすすめします。

歯科医院での治療法・・・ナイトガードとマウスピース

大半の小児は、小児期以降に徐々に歯ぎしりが減少していくことが分かっています。

しかし、明らかな睡眠障害やストレスなどの心理的要因がある場合、または歯がすり減って痛い場合や顎関節症が生じているレベルであれば、歯科医院で対処療法を受けることができます。

ナイトガード(マウスピース)の装着

歯ぎしりや食いしばりによって顎や歯が痛くなったり、歯のすり減りが激しい場合は、対策として「ナイトガード」が処方される場合があります。

ナイトガードは透明なプラスチック製のマウスピースで、就寝中にだけ装着します。子どもの歯に合うように作られており、形はアスリートが運動時の歯の保護のために使うマウスピースに似ています。最初は慣れが必要ですが、歯ぎしりや食いしばりによるダメージから歯を守る効果があります。

ごくまれなケースですが、歯ぎしりによる歯のすり減りがひどい時は、3歳以降の幼児期に歯型をとってマウスピースを作ることがあります。幼児期はあごの成長や生え変わりがあるため、成長に合わせてマウスピースを作り替える必要があります。

マウスピース装着の注意点

ただし、マウスピースを装着することは顎の成長を阻害することに繋がるため、一般的には推奨されていません。

幼児期の成長は早く、半年もたたずにサイズが合わなくなり使えなくなることもあるため、定期的に歯科医院でチェックしてもらう必要があります。また、夜だけでなく昼間も頻繁に歯ぎしりや食いしばりが起こらない限りは、顎関節症を発症しない場合が多いです。

むらせ歯科茂原院の小児矯正アプローチ

むらせ歯科茂原院では、子どもの矯正治療に特化したサービスを提供しています。

子どもの矯正治療は「Ⅰ期治療」と「Ⅱ期治療」の2段階で行われますが、歯並びの状態によってはⅠ期治療のみで完了することもあります。Ⅰ期治療では、歯並びが悪くなる原因である「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全を改善する「歯列矯正用咬合誘導装置」を使用します。

具体的には、口呼吸や舌癖などの問題を解決することで、歯並びの改善を目指します。年齢によって治療アプローチが異なり、0~2歳では姿勢の訓練、3~5歳ではインファントというマウスピース型装置の使用、6~9歳では歯列矯正用咬合誘導装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。

患者さんの身体的・経済的負担を軽減するため、可能な限りⅠ期治療で矯正を完了させることを目指していますが、必要に応じてⅡ期治療も実施します。治療開始前には、お子さんと親御さんに十分な説明を行い、納得いただいた上で治療を進めています。

まとめ・・・子どもの歯ぎしりは成長の証、でも注意すべきサインも

子どもの歯ぎしりは、多くの場合、成長に伴う生理的な現象であり、過度に心配する必要はありません。

上下の前歯が生えそろう生後8カ月ごろから始まり、中学生くらいまで続くこともありますが、年齢とともに自然に減少する傾向にあります。子どもの歯ぎしりは、次に生えてくる歯の位置や顎の位置を決めようとする、成長に必要な行動なのです。

ただし、歯が必要以上にすり減っている、顎や顔に痛みがある、不正咬合が見られるなどの場合は、早めに小児歯科を受診することをおすすめします。また、家庭でできる対策として、良質な睡眠環境を整える、ストレスを溜めさせない、日中の癖を直すなどの工夫も有効です。

音が激しい時は大人が耳栓をするなど、長い目で見守ってあげることも大切です。お子さんの成長を温かく見守りながら、気になる症状があれば専門家に相談する、というバランスの取れた対応を心がけましょう。

むらせ歯科茂原院では、お子さんの歯並びや歯ぎしりに関する無料相談を実施しています。少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談ください。専門的な視点から、お子さん一人ひとりに最適なアドバイスをさせていただきます。

 

子どもの食事と歯並びの関係|噛む力を育てる習慣で不正咬合を予防

2026年01月29日

子どもの食事と歯並びの関係|噛む力を育てる習慣で不正咬合を予防

子どもの歯並びは食事習慣で決まる

お子さんの歯並びが気になっている親御さんは少なくありません。

実は、歯並びの良し悪しは遺伝だけで決まるわけではないのです。日常の食事習慣や噛み方が、お子さんの歯並びに大きな影響を与えています。不正咬合の原因のうち、遺伝的な要素は全体の3割程度にすぎず、残りの7割は日常生活における習慣などの後天的な要因とされています。

特に上顎の骨は6歳までに約80%成長するといわれており、この時期の食事習慣が将来の歯並びを左右するのです。現代の食生活では柔らかい食べ物が増え、噛む回数が減少しています。その結果、顎が十分に発達せず、歯が並ぶスペースが不足して不正咬合になりやすくなっています。

噛む力が育つメカニズムとは

噛むという行為は、単に食べ物を砕くだけではありません。

お口周りの筋肉を使うことによって、歯がキレイに並ぶための顎の骨を育てることができます。硬い食べ物を食べる時は顎の上下運動を行うだけでなく、奥歯を横に動かして食べ物をすりつぶし、舌や喉の筋肉を使って飲み込みます。この一連の動作が、顎の成長を促すのです。

一方、柔らかい食べ物ばかりを食べていると、顎の上下運動のみで食べ物を噛み砕くことができてしまいます。そのため、咀嚼や嚥下に必要な筋肉が発達せず、顎の成長も進まなくなります。顎の成長が不十分だと、永久歯が並ぶスペースが不足して、歯が重なり合ったり、傾いて生えたりする「叢生(そうせい)」になる可能性が高まります。

口腔周囲筋の重要性

歯並びが悪くなる原因は「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全です。

普段何もしていない時に、舌が常に歯に触れている状態を「舌癖」といいます。つまり、常に歯に対して一定の力が与えられている状態です。こんな小さな力でも、長期間続くと歯並びは崩れてしまいます。舌先は上の前歯のつけねの少し手前あたりに当たっている状態が正しい位置です。

また、口呼吸も歯並びに悪影響を及ぼします。口呼吸をしていると舌が適切な位置からずれるため、唇や頬から歯にかかる力のバランスが崩れて歯並びが悪くなる原因になります。舌は上顎に密着した状態が正しい位置ですが、口呼吸の場合は舌が下がり、内側から歯を押す力が弱まります。

食事中の姿勢も影響する

食事のときの姿勢は噛む力と密接な関係があります。

足がブラブラしたままで食事をしているとしっかりと噛むことができません。「噛む」ことは顎の発達を促すためにとても大切なので、十分に噛めないことで顎の発育が悪くなる可能性があるのです。顎が小さいために歯が並ぶスペースが不足すると、行き場をなくした歯が傾いて生えるなど、歯並びが悪化するリスクが高まります。

また、背筋が左右どちらかに傾いた状態で食べていると片側の歯ばかりで噛むため、よく使う側の顎が、あまり使わない側の顎よりも発達します。その結果、顎のバランスが崩れ、噛み合わせが悪化するリスクが高まります。

歯並びに良い食べ物と食事の工夫

歯並びに良い影響を与える食べ物として、食感と栄養素の2つのポイントがあります。

よく噛んで食べる必要のあるもの

玄米ご飯や麦ごはん、根菜類や果物、線維性の葉物や豆類など、よく噛んで食べるメニューを積極的にお食事に取り入れましょう。

これらの食材は、噛む回数を自然と増やし、お口周りの筋肉を使うことによって、歯がキレイに並ぶための顎の骨を育てることができます。また、汁ものは水分が多すぎると、具を流し込んで飲むことがクセになりやすいので注意が必要です。具だくさんにして汁気を少なめによそえば、自然に噛む回数も増やせます。

お食事で積極的に摂りたい栄養素

カルシウムは歯の構成成分で、強い歯を作るには必須の栄養素です。

また、虫歯に対抗する「再石灰化」というはたらきを促す作用もあります。乳製品(ヨーグルト、チーズ等)、小魚、大豆、ゴマ、ひじき、卵などに豊富に含まれています。カルシウムを吸収するにはビタミンDが必要です。不足している状態だと、せっかくカルシウムを摂っても体に吸収されないことになるので、カルシウムと合わせて摂りましょう。

ビタミンDは魚類(鮭、イワシ、しらす、ぶり等)、きのこ類(干しシイタケ、マイタケ、エリンギ等)、卵、キクラゲなどに含まれています。また、ビタミンDはアレルギー症状を抑えるはたらきもあります。アレルギー性鼻炎による口呼吸を予防することで、お口周りの成長を促すことができます。

注意が必要な食べ物と食習慣

糖分の多い食品

乳歯の虫歯は進行が速く、治療開始が遅れてしまうとその後の歯並びにも悪影響を及ぼしてしまいます。

ですので、虫歯菌のエサとなる「糖分」の摂り方に気を付けることが重要です。甘いお菓子の中でも、チョコレートやクッキー、ソフトキャンディーなどは歯に付着しやすいため、特に注意が必要です。食べた後は歯磨きをして、食べかすがいつまでもお口に残らないようにしましょう。

酸性の強い飲み物

歯は酸に弱いため、酸性の強い飲み物をダラダラと飲んでしまうことで虫歯になりやすいお口になってしまいます。

特に、夏場になるとスポーツドリンクやジュースなどを飲む機会も増えるかと思います。おやつとして摂る場合は良いのですが、これらは酸性度が強いだけでなく糖分も含まれているため、水分補給目的としての使用はさけましょう。夏場の水分補給も、お水かお茶がベストです。

柔らかいものに偏った食事

柔らかい食べ物ばかりを食べていたり、よく噛まずに飲み込む癖があったりすると、口周りの筋肉が十分に発達しません。

その結果、顎の成長が妨げられ、歯並びに悪影響を及ぼします。現代の食生活の変化により、柔らかい食べ物を好む傾向が強まりました。その結果、顎を十分に使わなくなり、顎が小さく成長することで歯が並びきらず、不正咬合が発生しやすくなっています。

食卓での正しい姿勢をつくる対策

整った歯並びを目指すために意識したい、食卓での姿勢。ポイントは、足をつけて踏ん張れるようにすること、そして、背筋をまっすぐにキープすることです。

子どもの足元はこまめにチェックしよう

背の低い子どもを大人用のイスに座らせると足が地面につきません。

適切な高さの足置き台を用意するか、子ども用のステップ付きのイスに座らせ足元を安定させましょう。また、子どもの成長は早いので「いつの間にか足置き台やステップの高さが合わなくなっていた」ということも。定期的にチェックし、ぴったりの高さになるよう調整することも大切です。

食事中のテレビには気をつけて

食事中にテレビをつけっぱなしにしていると、子どもがテレビに気を取られ、背筋が傾いてしまうことがあります。

横を向いたまま食べ続ける、食事中にしょっちゅう後ろを振り返っている、といった場合、正面を向いて食べられるよう環境設定が必要です。よく噛むことを意識するためにも食事中はテレビを消しておくのが理想ですが、どうしても見せたい場合は、テレビの位置と座る場所を工夫しましょう。

テーブルの高さと距離にも気配りを

テーブルが高すぎたりテーブルまでの距離が遠かったりすると、食べにくさをカバーしようと不自然な姿勢になり、背筋が傾いてしまいます。

テーブルの高さは、ひじが机の上に無理なくのせられる程度が目安です。子どもの座高は低いため、大人と同じイスを使う場合は、クッションなどで座る部分の高さを上げると良いでしょう。また、テーブルと身体の間は、握りこぶし1個分が入る程度の距離をあけます。一人でイスに座れる年齢のお子さんの場合も子ども任せにはせず、大人が確認してあげましょう。

年齢に応じた歯並び予防のアプローチ

お子さんの年齢によって、歯並び予防のアプローチは異なります。

0歳~2歳の時期

歯並びはお口だけの問題ではなく、座り方、姿勢、抱っこの仕方が原因で悪くなってしまうことがあります。

この時期は、親御さんと一緒にお子さんの正しい「姿勢」を獲得する訓練を行います。乳房(母乳)哺育を心がけることも大切です。哺乳ビンを使用する場合は、噛むタイプの乳首を利用することで、お口周りの筋肉の発達を促すことができます。

3歳~5歳の時期

この時期から、より積極的な予防が可能になります。

外遊びや身体を動かし、よく歩かせることで食欲増進につながります。また、噛まないとのみこめないメニュー(和食中心)にすることで、自然と噛む回数を増やすことができます。踏み台つきのイスを用意し、ひとくち30回を心がけることも効果的です。

6歳~9歳の時期

永久歯が生え始めるこの時期は、歯並び予防において特に重要な時期です。

大きな声を出しながら全身運動になるような遊びをすることで、下あごが動き、過蓋咬合の予防になります。例えば、だるまさんがころんだ、鬼ごっこ、潮干狩り、海遊びなど、家族でアウトドアで休日を過ごすと大きな声を出し、身体を動かしてお腹が空くので、歯並び対策になります。

むらせ歯科の小児矯正アプローチ

食事習慣の改善だけでは不十分な場合、専門的な矯正治療が必要になることがあります。

むらせ歯科では、子供の矯正治療を2段階(I期治療とII期治療)で提供しています。I期治療では歯並びが悪くなる原因である「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全に着目し、歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)を使用して改善します。この装置は歯を直接動かすのではなく、悪い歯並びになる原因をオリジナル装置やトレーニングで改善する方法です。

年齢に応じた治療アプローチ

0〜2歳では姿勢の訓練を行います。

3〜5歳ではインファントという取り外し可能なマウスピース型装置を1日2回10〜20分使用します。6〜9歳ではマイオブレーストレーナーという装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。家庭でのトレーニング継続が重要で、専任スタッフの指導とオリジナルアプリケーションによる支援があります。

患者様の負担を抑える治療方針

むらせ歯科では「歯並びを創造」することと同時に「患者様の肉体的負担・経済的負担を抑える」ことを重視しています。

そのため、可能な限りI期治療で完了するよう治療を進めています。I期治療後も必要に応じてII期治療を行い、歯並びの仕上げを行います。矯正治療の費用は症状や治療内容によって異なりますが、約22〜110万円(税込)かかります。

まとめ|今日から始める歯並び予防

子どもの歯並びは、遺伝だけでなく日々の食事習慣や噛み方によって大きく左右されます。

よく噛んで食べる必要のある食材を取り入れ、カルシウムやビタミンDなどの栄養素を積極的に摂ることで、健康な歯と顎の発達を促すことができます。また、食事中の正しい姿勢を保つことも重要です。足をしっかりつけて踏ん張れるようにし、背筋をまっすぐにキープすることで、バランスよく噛む習慣が身につきます。

すでに歯並びが気になる場合は、早めに矯正歯科を受診することをおすすめします。大人の歯(前歯)が生えてきたら、治療するしないにかかわらず一度ご相談にお越しください。プロの目で診断することで、今後どのように歯が動いていくのかを予測でき、治療が必要になるか否か、治療開始時期はいつ頃がいいかなどをお話しさせて頂きます。

お子さんの健やかな成長と美しい歯並びのために、今日から食事習慣を見直してみませんか?

 

矯正専門医が解説|装置トラブル時の応急処置と正しい対応方法

2026年01月29日

矯正専門医が解説|装置トラブル時の応急処置と正しい対応方法

矯正治療中のトラブル、突然の不安をどう乗り越えるか

矯正治療を受けている方なら、誰もが一度は経験する「装置のトラブル」。

ワイヤーが外れた、ブラケットが取れた、装置が口の中に刺さって痛い・・・そんな予期せぬ出来事に直面したとき、どう対処すればいいのか分からず不安になりますよね。特に夜間や休日、旅行先など、すぐに歯科医院へ駆け込めない状況では、その不安はさらに大きくなります。

矯正装置は歯並びを整えるための重要な道具ですが、日常生活の中で様々な力が加わるため、トラブルが起きることは決して珍しくありません。実際、矯正治療を受けている患者さんの約1割が、治療期間中に何らかの装置トラブルを経験しているというデータもあります。

しかし、正しい知識と対処法を知っていれば、慌てることなく冷静に対応できます。

この記事では、矯正専門医の視点から、装置トラブルが起きたときの応急処置と正しい対応方法について詳しく解説します。トラブルの種類別の対処法、絶対に避けるべき行動、そして歯科医院への連絡タイミングまで、実践的な情報をお届けします。

矯正装置トラブルの種類と見分け方

矯正治療中に起こりうるトラブルは、装置の種類や部位によって異なります。

まず、どこで何が起きているのかを正確に把握することが、適切な対処への第一歩です。ここでは、よくあるトラブルのパターンと、その見分け方について説明します。

ワイヤーが外れた場合の特徴

ワイヤー矯正で最も多いトラブルの一つが「ワイヤーの外れ」です。ワイヤーには「アーチワイヤー」と「リガチャーワイヤー」の2種類があり、それぞれ役割が異なります。アーチワイヤーは歯を動かす主要なワイヤーで、リガチャーワイヤーはブラケットとアーチワイヤーを固定する細いワイヤーです。

アーチワイヤーが外れた場合、奥歯の部分でワイヤーの端が飛び出してくることが多く、頬や歯茎に当たって痛みを感じます。一方、リガチャーワイヤーが外れた場合は、ブラケットの横でねじれた部分が飛び出してチクチクとした違和感があります。

どちらのワイヤーが外れたのかを確認することで、適切な応急処置を選択できます。

ブラケットが外れた場合の症状

ブラケットは歯の表面に接着されている小さな装置です。固い食べ物を噛んだり、強い衝撃を受けたりすると外れることがあります。特に、銀歯やセラミックなどの被せ物がある歯は、天然歯と比べて外れやすい傾向があります。

ブラケットが外れると、装置が宙ぶらりんの状態になり、口の中で回転したり動いたりします。完全に外れた場合は、ワイヤーから外れて口の中で遊離することもあります。痛みはそれほど強くないことが多いですが、違和感や不快感は感じるでしょう。

外れたブラケットは保管しておき、次回の診察時に持参することが大切です。

装置が口の中に当たって痛い場合

矯正装置を付けてから数日間は、装置が唇や頬の内側に当たって痛みを感じることがあります。これは装置に慣れていないための一時的な症状ですが、ワイヤーの端が飛び出している場合や、ブラケットが外れて位置がずれている場合は、粘膜を傷つけて口内炎ができることもあります。

特に奥歯の部分でワイヤーが飛び出していると、頬の粘膜に刺さって強い痛みを感じます。この場合は、早めの対処が必要です。

自宅でできる応急処置の具体的な方法

装置トラブルが起きたとき、すぐに歯科医院へ行けない状況もあります。

そんなときに知っておきたいのが、自宅でできる応急処置の方法です。ここでは、トラブルの種類別に、安全で効果的な応急処置の手順を詳しく説明します。ただし、これらはあくまでも一時的な対処法であり、後日必ず歯科医院で適切な処置を受けることが前提です。

ワイヤーが外れたときの対処法

アーチワイヤーが外れた場合、まずは元の位置に戻せるかどうかを確認します。清潔な手で、そっとワイヤーをブラケットに差し込んでみてください。元の位置に戻せた場合は、矯正用ワックスでワイヤーとブラケットを固定しておきます。

元の位置に戻せない場合や、ワイヤーの端が飛び出して頬や歯茎に当たっている場合は、矯正用ワックスを米粒大くらいの大きさに丸めて、飛び出している部分を覆います。ワックスを付ける前に、ティッシュなどで該当部分を軽く乾燥させると、ワックスがくっつきやすくなります。

どうしてもワイヤーが粘膜に刺さって痛い場合は、爪切りやニッパーなどで飛び出した部分を慎重にカットすることもできますが、口の中を傷つけないよう十分注意が必要です。自分で切るのが難しい場合は、無理をせず歯科医院へ連絡しましょう。

リガチャーワイヤーが外れた場合は、割り箸の先や爪楊枝などを使って、飛び出した部分をアーチワイヤーの下側に押し込みます。これだけで違和感がかなり軽減されます。

ブラケットが外れたときの対処法

ブラケットが外れた場合、無理に引っ張ったり取り除いたりしないでください。ブラケットが完全に外れてワイヤーから離れた場合は、清潔なティッシュに包んで保管し、次回の診察時に持参します。

ブラケットがワイヤーに引っかかったまま宙ぶらりんになっている場合は、矯正用ワックスでブラケットを歯に固定しておきます。これにより、ブラケットが口の中で動いて不快感を感じることを防げます。

外れたブラケットの位置がずれると治療計画に影響するため、できるだけ早めに歯科医院を受診することが大切です。

装置が口の中に当たって痛いときの対処法

装置が唇や頬の内側に当たって痛い場合、矯正用ワックスが最も効果的です。痛みを感じる部分に当たる装置の上に、ワックスを付けてカバーします。ワックスは柔らかいので、装置と粘膜の間のクッションとなり、痛みや違和感を軽減してくれます。

口内炎ができてしまった場合は、口内炎用の軟膏を塗ることも有効です。また、氷嚢で皮膚の上から冷やしたり、氷を口の中で転がして冷やしたりすると、痛みが和らぎます。

痛みがひどくて我慢できない場合は、市販の鎮痛剤を服用しても構いません。ただし、痛みが長引く場合は、装置が合っていない可能性もあるため、歯科医院に相談してください。

絶対に避けるべき行動とそのリスク

装置トラブルが起きたとき、焦って自己判断で対処すると、かえって状況を悪化させることがあります。

ここでは、絶対に避けるべき行動と、それによって生じるリスクについて説明します。正しい知識を持つことで、取り返しのつかない失敗を防ぐことができます。

自分でワイヤーを切る・外すリスク

ワイヤーが飛び出して痛いからといって、自己判断でワイヤーを大きくカットしたり、完全に外したりするのは危険です。ワイヤーは歯を動かすための重要な装置であり、勝手に外すと治療計画が大きく狂ってしまいます。

また、ワイヤーを切る際に口の中を傷つけたり、切ったワイヤーの破片を誤って飲み込んだりするリスクもあります。どうしても自分で対処する必要がある場合は、飛び出した部分を最小限だけ慎重にカットし、すぐに歯科医院へ連絡してください。

装置を無理に元に戻そうとするリスク

外れたブラケットや装置を無理に元の位置に戻そうとすると、歯や歯茎を傷つける可能性があります。また、装置を誤った位置に固定してしまうと、歯が間違った方向に動いてしまい、治療期間が延びる原因になります。

装置が外れた場合は、応急処置として固定するだけにとどめ、正しい位置への再装着は必ず歯科医師に任せましょう。

トラブルを放置するリスク

「少しの違和感だから大丈夫」「次の診察日まで待てばいい」と考えて、装置トラブルを放置するのは避けてください。放置すると、以下のようなリスクがあります。

  • 歯並びの後戻りが起こり、治療期間が延びる
  • 装置が粘膜を傷つけ、口内炎や炎症が悪化する
  • 外れた装置を誤って飲み込む可能性がある
  • 治療計画が狂い、追加費用が発生する

一般的には、次の診察日まで4〜5日程度であれば、そのままでも問題ないケースが多いですが、10日以上空く場合は後戻りのリスクが高まります。自己判断せず、必ず歯科医院へ連絡して指示を仰ぐことが大切です。

歯科医院への連絡タイミングと伝えるべき情報

装置トラブルが起きたら、まず歯科医院へ連絡することが最優先です。

しかし、「どのタイミングで連絡すればいいのか」「何を伝えればいいのか」と迷う方も多いでしょう。ここでは、歯科医院への連絡タイミングと、スムーズな対応のために伝えるべき情報について説明します。

すぐに連絡すべきケース

以下のような状況では、できるだけ早く歯科医院へ連絡してください。

  • ワイヤーが粘膜に深く刺さって出血している
  • 強い痛みがあり、市販の鎮痛剤でも効かない
  • 装置を誤って飲み込んでしまった
  • ブラケットが複数個外れた
  • アーチワイヤーが完全に外れてしまった

これらのケースでは、緊急対応が必要になることもあるため、すぐに連絡して状況を伝えましょう。

次の診察日まで待てるケース

以下のような状況では、応急処置をした上で、次の診察日に対処してもらうことも可能です。

  • リガチャーワイヤーが少し飛び出している程度
  • ブラケットが1個だけ外れたが、痛みはない
  • 矯正用ワックスで対処できる程度の違和感

ただし、次の診察日まで10日以上空く場合は、念のため連絡して相談することをおすすめします。

歯科医院に伝えるべき情報

歯科医院へ連絡する際は、以下の情報を伝えるとスムーズです。

  • 外れた部分(奥歯、前歯、ブラケット、ワイヤーなど)
  • 何が外れたのか(アーチワイヤー、リガチャーワイヤー、ブラケットなど)
  • いつ外れたのか(日時)
  • 痛みや違和感の有無と程度
  • 出血や腫れの有無
  • 自分で行った応急処置の内容

これらの情報があれば、歯科医師が状況を正確に判断し、適切な指示を出すことができます。

矯正治療中の装置トラブルを予防する日常のケア

装置トラブルは完全に防ぐことはできませんが、日常のケアで発生リスクを減らすことは可能です。

ここでは、矯正治療中に気をつけるべき生活習慣と、装置を長持ちさせるためのポイントについて説明します。

食事で気をつけるべきこと

矯正装置を付けていても、ほとんどの食べ物は食べられますが、以下の点に注意が必要です。

  • 前歯で噛みちぎったり、噛み切ったりしない(りんご、肉などは小さく切ってから奥歯で噛む)
  • 固い食べ物は避けるか、小さく切って食べる(せんべい、ナッツ、氷など)
  • 粘着性の高い食べ物は控える(キャラメル、ガム、餅など)

食事の後は必ず歯磨きをして、装置の周りに食べ物が詰まらないようにしましょう。汚れが溜まると、むし歯や歯周病のリスクが高まります。

歯磨きで気をつけるべきこと

矯正装置を付けていると、汚れが溜まりやすく、むし歯や歯周病になりやすくなります。以下のポイントを意識して、丁寧に歯磨きをしてください。

  • 歯ブラシはいつも持ち歩き、食事の後は必ず歯磨きをする
  • ブラケットと歯茎の間、ワイヤーの下もよく磨く
  • 歯間ブラシやタクトブラシを使って、細かい部分の汚れを落とす
  • 鏡で汚れがしっかり落ちたかどうかを確認する

歯磨きの際に装置を強くこすりすぎると、ブラケットが外れる原因になるため、適度な力加減で磨くことが大切です。

装置に触らない・いじらない

矯正装置を付けてから数日間は、痛みや違和感がありますが、指や舌で触ると装置が壊れる原因になります。慣れるまでは違和感があっても、できるだけ触らないようにしましょう。

また、スポーツをする際は、マウスガードを使用するなど、装置を保護する工夫も大切です。

まとめ|正しい知識と対応で安心の矯正治療を

矯正治療中の装置トラブルは、誰にでも起こりうることです。

大切なのは、トラブルが起きたときに慌てず、正しい応急処置を行い、速やかに歯科医院へ連絡することです。自己判断で装置を外したり、トラブルを放置したりすると、治療期間が延びたり、追加費用が発生したりするリスクがあります。

矯正用ワックスは、装置トラブル時の強い味方です。常に持ち歩いておくと、いざというときに安心です。また、日常の食事や歯磨きに気をつけることで、装置トラブルの発生リスクを減らすことができます。

矯正治療は長期間にわたる治療ですが、正しい知識と対応を身につけることで、安心して治療を続けられます。トラブルが起きたときは、一人で悩まず、すぐに歯科医院へ相談してください。私たち矯正専門医は、患者さんが安心して治療を受けられるよう、全力でサポートします。

むらせ歯科茂原院では、矯正治療中のトラブルにも迅速に対応しています。お子さんの矯正治療では、Ⅰ期治療とⅡ期治療の2段階で行い、可能な限りⅠ期治療で完了させることで、患者さんの身体的・経済的負担を軽減しています。歯並びが悪くなる原因である「口腔周囲筋の機能不全」を改善する歯列矯正用咬合誘導装置を使用し、根本的な原因からアプローチします。

矯正治療に関するご相談や、装置トラブルでお困りの際は、お気軽にむらせ歯科茂原院へお問い合わせください。経験豊富な専門医が、一人ひとりに合わせた最適な治療とサポートを提供いたします。

 

インプラントを長持ちさせるメンテナンス完全ガイド|頻度・費用相場・セルフケアと周囲炎予防

2026年01月25日

インプラント治療を受けた後、「これで一生安心」と思っていませんか?

実は、インプラントを長持ちさせるためには、治療後のメンテナンスが極めて重要です。適切なケアを怠ると、せっかく高額な費用をかけて埋め込んだインプラントが数年で使えなくなってしまうこともあります。

インプラントの平均寿命は約10〜15年とされていますが、メンテナンス次第で20年、30年と長く使い続けることも可能です。逆に、ケアを怠れば10年を待たずに問題が発生するリスクも高まります。

本記事では、インプラントを長持ちさせるために必要なメンテナンスの頻度、費用相場、セルフケアの方法、そして最も注意すべき「インプラント周囲炎」の予防法について、歯科医師の視点から詳しく解説します。

インプラントのメンテナンスが必要な理由

インプラントは人工物のため、虫歯にはなりません。

しかし、だからといって歯磨きやメンテナンスを怠ってよいわけではありません。インプラントを取り囲む歯茎や顎の骨は、患者さん自身の生身の組織です。これらの組織が健康でなければ、インプラントは長持ちしないのです。

インプラントを長持ちさせるため

インプラントの寿命は、定期的なメンテナンスやクリーニングを受けるかどうかによって大きく変わります。過去には最長40年インプラントを保てたという例もあるほど、メンテナンス次第で半永久的に使い続けられる可能性もあるのです。

入れ歯が3〜5年程度、ブリッジが7〜8年程度で寿命を迎えるのに対し、インプラントは適切なメンテナンスを行えば10〜15年、さらにはそれ以上の長期使用が可能です。この点からも、メンテナンスの重要性が理解できるでしょう。

インプラント周囲炎の予防のため

インプラント周囲炎は、インプラント特有の「歯周病」です。

インプラント周辺に歯垢や歯石が蓄積することにより歯周病菌が増殖し、一般的な歯周病よりも進行が早く、放置されると炎症はどんどん進行していき、顎の骨が破壊されてしまいます。その結果、インプラントを支えきれなくなり、最悪の場合インプラントがグラグラする、抜け落ちるなどの危険が高まります。

神経が通っていないインプラントは痛みも感じにくいことから早期発見が難しいとされています。そのため、定期的なメンテナンスを受けて予防・早期発見することが非常に重要なのです。

残っている健康な歯を維持するため

インプラント周囲炎になってしまうと、残っている自分の歯にも影響が出ます。歯周病は放っておくとお口全体に広がっていくからです。

メンテナンスではインプラント以外にも、残っている他の歯や歯茎などお口の状態をトータルでチェックするとともに、クリーニングや歯石の除去を行ってもらえます。つまり、メンテナンスによって残っている健康な歯を維持し、失うリスクを大幅に軽減することができるのです。

トラブル時に保証を受けられる可能性が高い

インプラント治療では、患者さんの治療後の不安や金銭的負担を軽減するために「保証制度」を設けている歯科医院がほとんどです。

この保証というのは、日常生活でインプラントが欠けたり割れたり、抜けたりした場合に、再治療の費用を無料または減額するというものです。ただし、この保証を受けるための条件として、「定期的なメンテナンスを受けていること」が求められています。つまり、メンテナンスを受けていない場合、保証を受けられない可能性が高いのです。

インプラントは自由診療でただでさえ高額な治療となります。保証が受けられないと金銭的負担も大きくなるため、万が一の不具合に備えてメンテナンスをしっかり受けておく必要があるでしょう。

出典高田歯科医院「インプラントのメンテナンス費用と寿命を延ばすメンテナンスの必要性」(2025年12月)より作成

インプラントのメンテナンス頻度と費用相場

では、実際にどのくらいの頻度でメンテナンスを受ければよいのでしょうか?

メンテナンスの頻度

インプラント治療後のメンテナンス頻度は、患者さんの口腔内の状態によって異なりますが、一般的には3〜6カ月に1回の通院が推奨されています。

治療直後は口腔内の状態が安定していないため、1〜2カ月に1回程度の頻度で通院し、経過観察を行うことが多いです。その後、状態が安定してくれば、3〜6カ月に1回のペースに移行します。

ただし、喫煙習慣がある方や歯周病のリスクが高い方、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、より頻繁なメンテナンスが必要になる場合があります。

メンテナンスの費用相場

インプラントのメンテナンスは自由診療となるため、費用は歯科医院によって異なります。

一般的な費用相場は、1回あたり3,000〜5,000円程度です。高い場合でも、基本的には10,000円前後でおさまることが多いでしょう。メンテナンスの内容には、口腔内のチェック、クリーニング、レントゲン撮影、噛み合わせの確認などが含まれます。

年間で考えると、3カ月に1回のメンテナンスを受けた場合、年間12,000〜20,000円程度の費用がかかる計算になります。この費用を高いと感じるかもしれませんが、インプラントを長持ちさせ、再治療の高額な費用を避けるためには必要な投資と言えるでしょう。

出典高田歯科医院「インプラントのメンテナンス費用と寿命を延ばすメンテナンスの必要性」(2025年12月)より作成

インプラント周囲炎とは?症状と進行段階

インプラント周囲炎は、インプラント治療後に最も注意すべき病気です。

インプラント周囲炎の定義

インプラント周囲炎とは、インプラント治療後、インプラントの周りの歯茎や顎の骨に炎症が起きる病気です。インプラント周囲炎は歯周病の一種であり、お口の中にひそむ歯周病菌(カビ菌など)によって炎症がひき起こされます。

天然歯に起きる歯周病と同じメカニズムで発症しますが、インプラント周囲炎の進行速度は天然歯の歯周病に比べて約10〜20倍速いという特徴があります。これは、インプラントには天然歯のような「歯根膜」という刺激を受け取るクッションがないため、炎症が直接骨に伝わりやすいためです。

インプラント周囲炎の症状

インプラント周囲炎は自覚症状が出にくいため、早期発見が難しい病気です。進行度別に症状をまとめると、以下のようになります。

軽度の症状

  • 歯磨きの時にたまに血が出るが、どこから血が出るか分からない
  • インプラントを歯磨きするとたまに痛む

中度の症状

  • 歯磨きをするとインプラントから血が出る
  • インプラントの歯茎が腫れたような感じがする
  • 食事の時にたまにインプラントで噛むと違和感がある

重度の症状

  • インプラントを触るとグラグラする
  • インプラントを触ると血と膿が出る
  • インプラントで噛むと違和感や痛みがある
  • 卵や玉ねぎが腐ったような強い口臭がする
  • 歯茎が大きく下がりインプラントのアバットメントが露出する

もし少しでも当てはまる症状があれば、すぐに歯科医院に相談し検診を受けましょう。

インプラント周囲粘膜炎との違い

インプラント周囲粘膜炎は、歯肉炎がインプラントで起こっている状態を言います。インプラントの周りの歯茎が炎症を起こしており、歯茎が赤く腫れていることを指します。

歯茎のみ炎症し、顎の骨が溶けないのが特徴です。インプラント周囲炎の初期の状態でもあるので、このままだとインプラント周囲炎へと進行していきます。この段階で適切な処置を受けることが、インプラントを長持ちさせる鍵となります。

出典あわた歯科医院「『インプラント周囲炎』に注意!セルフケアと定期メンテナンスで予防」(2023年12月)より作成

インプラント周囲炎の原因

インプラント周囲炎を予防するためには、まず原因を理解することが大切です。

セルフケア・メンテナンス不足

インプラント周囲炎を発症する主な原因は、毎日のセルフケア(歯磨き+歯間清掃)不足、および歯科医院で受ける定期メンテナンスの不足です。

セルフケア・メンテナンスが不足すると口腔状態が不衛生になるほか、磨き残した歯垢によってお口の中で歯周病菌が増殖し、インプラントと歯茎の境目にある歯周ポケットの内部に歯周病菌が侵入しやすくなります。歯周ポケットに侵入した歯周病菌はポケットの内部で毒素を出し、歯茎や顎の骨の炎症をひき起こします。

生活習慣

喫煙習慣や歯ぎしりなどの生活習慣は、インプラント周囲炎のリスクを高めます。

喫煙すると血管の収縮が起こり、血管内に酸素が上手く運ばれなくなります。そうすると栄養が歯茎に届きにくくなってしまいます。また、身体の免疫能力も落としてしまうので、歯周病に感染した時に発症がしやすくなってしまうのです。

歯ぎしりもまた、歯周病を進行させます。歯ぎしりは自分の無意識で行っていることがほとんどで、無意識の力はとても強く、通常の食事の2〜3倍の力が加わります。普通の歯は、歯への刺激を受け取ってくれる「歯根膜」というものがありますが、インプラントにはこれがないので、直接刺激が顎の骨に伝わります。この刺激が炎症につながり、インプラント周囲炎を引き起こします。

糖尿病

糖尿病は、インプラント周囲炎のリスクを高める全身疾患の一つです。

糖尿病により血糖値が高い状態が続くと、身体の免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。また、傷の治りも遅くなるため、インプラント周囲炎が発症しやすく、進行も早くなる傾向があります。糖尿病の方は、血糖値のコントロールとともに、より頻繁なメンテナンスが必要になります。

出典ヴェリタスインプラントサロン横浜「インプラント周囲炎とは?原因や治療法・セルフケアの仕方を紹介」より作成

インプラントを長持ちさせるセルフケアの方法

インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアが欠かせません。

毎日の歯磨きをしっかりと行う

インプラント治療を行い人工歯根を埋め込んだ後には、歯の部分にあたる上部構造が人工物となりますので、虫歯になることはありません。しかし、インプラント治療後に歯磨きを怠ってしまうとお口の中の歯垢(プラーク)が増えることで歯が汚れ、不衛生な状態となってしまいます。

インプラントも天然の歯と同じように汚れがつくので、インプラント治療後には天然の歯と同じように「毎日の歯磨きをしっかりと行うこと」が最も大切なセルフケアのポイントとなります。

「正しい磨き方」で歯を磨く

インプラント治療後のセルフケアで最も大切な「毎日の歯磨き」ですが、歯磨きを行う際には正しい磨き方で歯を磨くことが重要です。

歯ブラシの毛先を使い細かく歯ブラシを振動させて磨く

インプラント治療後に行う歯磨きの方法としては、歯磨きをする時に歯ブラシの毛先の部分を優しく歯の表面にあてながら、細かく歯ブラシを振動させて磨くようにする方法がおすすめです。これは、通常の歯磨きの際にも基本となる磨き方ですが、インプラント治療後にも同様に清掃効果の高い磨き方となります。

歯ブラシは「親指・人差し指・中指」で持つようにする

歯ブラシを持つ時には、親指・人差し指、そして中指の3本の指でペンを軽く持つようにすることで、小刻みに歯ブラシを動かしやすくなります。3本の指で歯ブラシを持つ方法は歯磨きの際に必要以上に力が入りすぎるのを防ぐことができ、歯と歯茎の境目など、細かい部分も磨きやすくなる優れた方法の一つです。

歯を磨く時には「順番を決めて」磨く

プラークの取り残しを防ぐため、歯を磨く時には「順番を決めて」磨くことをおすすめします。歯を磨く順番は患者さんによってそれぞれ異なりますが、磨き残しを防ぐためには上あごの歯の裏側を磨く時に「ぐるっと一周して裏側だけを磨く」ようにする方法がおすすめです。同様にして歯のかみ合わせの部分や歯の表側も一周させ、その部分だけを磨くことで、磨き残しが出にくくなります。

デンタルフロスや歯間ブラシを使う

歯と歯のすき間にある汚れを落とすには、歯ブラシを使って行う歯磨きだけでは不十分です。

歯と歯のすき間に溜まったプラークや食べカスは、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで効果的に汚れを落とすことができます。特にインプラントと天然歯の間、インプラント同士の間は汚れが溜まりやすいため、丁寧にケアすることが大切です。

歯磨き粉を使う場合は「細かい粒子」の物を選ぶ

インプラント治療後に行う歯磨きの時に、粒の粗い「つぶつぶタイプ」などの歯磨き粉を使ってしまうと歯磨き粉の粒子が埋め入れたインプラントと歯茎の間に入り込み、炎症を起こしてしまう恐れがあります。

そのためインプラント治療後に行う歯磨きでは粒子が細かい歯磨き粉を使うようにするか、デンタルリンスなどの洗口剤を利用して歯磨きを行いましょう。なお、歯磨き粉や洗口剤は必ずしも歯磨きの際には必要な物ではありませんので、何も使わずに水で歯ブラシを濡らして歯磨きをするのもおすすめの方法です。

外出先でも常に歯を磨くようにする

外出先や勤務先などでおやつや食事を食べた後には、必ず歯を磨くようにしましょう。

毎食後に歯磨き+歯間清掃をするのがベストですが、時間が取れない・忙しい場合は寝る前の歯磨き+歯間清掃だけはしっかり行うようにしましょう。就寝中は唾液の分泌が減少し、細菌が繁殖しやすい環境になるため、寝る前のケアは特に重要です。

出典あいデンタルクリニック「インプラント歯周炎を防ぐ!-セルフケア7つのポイント」より作成

歯科医院で受けるメンテナンスの内容

セルフケアだけでは限界があります。

歯科医院で受ける定期メンテナンスは、インプラントを長持ちさせるために欠かせません。

口腔内のチェック

メンテナンスでは、まずインプラントの状態や周辺組織のチェックを行います。インプラントがしっかり固定されているか、歯茎に炎症がないか、噛み合わせに問題がないかなどを確認します。

また、残っている天然歯の状態もチェックし、虫歯や歯周病の早期発見に努めます。お口全体の健康状態を把握することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

プロフェッショナルクリーニング

歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングでは、セルフケアでは取り除けない歯石や頑固な汚れを専用の器具を使って除去します。

インプラント周辺は特に丁寧にクリーニングし、歯周ポケット内部の清掃も行います。この処置により、インプラント周囲炎のリスクを大幅に軽減することができます。

レントゲン撮影

定期的にレントゲン撮影を行い、インプラントを支える顎の骨の状態を確認します。

骨の吸収が進んでいないか、インプラント周囲炎の兆候がないかなど、目視では確認できない部分をチェックします。早期に問題を発見することで、適切な対応が可能になります。

噛み合わせの調整

噛み合わせのバランスが崩れると、インプラントに過度な負担がかかり、周囲の骨や歯茎にダメージを与える可能性があります。

メンテナンスでは噛み合わせの状態を確認し、必要に応じて調整を行います。特に歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、マウスピースの作成を提案されることもあります。

ブラッシング指導

患者さん一人ひとりの口腔内の状態に合わせて、効果的なブラッシング方法を指導します。

磨き残しが多い部分や、改善すべきポイントを具体的にアドバイスすることで、セルフケアの質を高めることができます。インプラント周辺の清掃方法や、デンタルフロス・歯間ブラシの使い方なども丁寧に説明します。

むらせ歯科茂原院のインプラントメンテナンスシステム

当院では、科学的根拠に基づいたオリジナルのメンテナンスシステムを導入しています。

患者さんオリジナルのメンテナンスプログラム

患者さんごとにカスタマイズしたメンテナンスプログラムを作成し、口の状態やインプラントの管理を徹底して守っています。

患者さんの口腔内の状態、生活習慣、全身の健康状態などを総合的に評価し、最適なメンテナンス頻度や内容を提案します。喫煙習慣がある方や糖尿病の方など、リスクが高い方にはより頻繁なメンテナンスを推奨しています。

インプラント周囲炎の予防と管理

インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病と同様の病気ですが、進行が10〜20倍速いという特徴があります。

当院では、この危険性を十分に理解した上で、予防に力を入れています。定期的なメンテナンスにより、インプラント周囲炎の早期発見・早期治療を実現し、患者さんのインプラントを長期的に守ります。

安心の10年保証システム「ガイドデント」

当院では10年の保証期間を設けています。

さらに、当院はインプラント第三者保証機関「ガイドデント」に認定されているので、一般的には保証対象にならないケースでも保証できます。偶発的な事故(交通事故など)も保証の対象となり、引っ越しした場合でも全国の認定医院で同じ条件で保証を受けることができるのが特徴です。

ただし、この保証を受けるためには、定期的なメンテナンスを受けていることが条件となります。

まとめ

インプラントを長持ちさせるためには、治療後のメンテナンスが極めて重要です。

定期的な歯科医院でのメンテナンスと、毎日のセルフケアを継続することで、インプラントの寿命を大幅に延ばすことができます。メンテナンスの費用は1回あたり3,000〜5,000円程度、頻度は3〜6カ月に1回が一般的です。この投資により、高額な再治療を避け、インプラントを20年、30年と長く使い続けることも可能になります。

特に注意すべきは、進行が早い「インプラント周囲炎」です。セルフケア不足や喫煙習慣、歯ぎしりなどがリスク要因となります。毎日の正しい歯磨き、デンタルフロスや歯間ブラシの使用、定期的なメンテナンスにより、インプラント周囲炎を予防することができます。

当院では、患者さん一人ひとりに合わせたメンテナンスプログラムを提供し、インプラントを長期的に守るサポートを行っています。インプラント治療を受けた方、これから受ける予定の方は、ぜひ定期的なメンテナンスの重要性を理解し、実践していただきたいと思います。

インプラントは適切なケアにより、一生涯使い続けることも夢ではありません。あなたの大切なインプラントを守るために、今日から正しいメンテナンスを始めましょう。

 

歯列矯正の痛みはいつまで続く?痛みを減らすコツと受診の目安(セルフケア付き)

2026年01月24日

 

歯列矯正の痛み、本当のところは?

「矯正治療って、やっぱり痛いんですよね……」

カウンセリングでこの質問をいただくたびに、患者さんの不安な表情が目に浮かびます。歯列矯正を検討している方の多くが、痛みへの恐怖心から治療をためらっているのが現状です。実際、インターネットや友人から「矯正は痛い」という情報を耳にすると、一歩踏み出すのが怖くなってしまいますよね。

しかし、ここで知っておいていただきたいことがあります。現代の矯正治療は、技術の進歩により痛みのコントロールが格段に向上しているということです。確かに痛みがゼロというわけではありませんが、「耐えられないほどの痛み」が続くことはほとんどありません。

東京歯科大学での臨床経験を通じて、私は数多くの患者さんの矯正治療に携わってきました。その経験から言えるのは、痛みの感じ方には個人差があり、適切な対処法を知っていれば快適に治療を続けられるということです。この記事では、矯正治療における痛みのメカニズムから具体的な対処法まで、詳しくお伝えしていきます。

矯正治療で痛みを感じる3つのタイミング

 

矯正治療中の痛みは、主に3つのタイミングで現れます。それぞれのタイミングで痛みの性質や強さが異なりますので、順番に見ていきましょう。

装置を初めて装着したとき

最も痛みを感じやすいのは、矯正装置を初めて装着した直後です。これまで動かなかった歯に、初めて矯正力が加わる瞬間だからです。

矯正力は20〜100グラム程度の非常に弱い力を持続的にかけます……これは1円玉20〜100枚程度の重さということです。決して強い力ではないのですが、多くの方が「歯が浮くような感覚」や「噛むとジンと響くような痛み」を経験します。これは、歯が動き始めるときに歯の周りの組織が反応しているためです。

痛みのピークは装着から1〜2日目で、多くの方は4〜6時間後あたりから違和感が出始めます。その後は徐々に落ち着き、3日ほどでふだん通りの食事ができるようになる方がほとんどです。初めての経験で不安になる方も多いのですが、これは歯が正常に動いている証拠でもあります。

ワイヤー調整・マウスピース交換のとき

ワイヤー矯正では月に1回程度の調整があります。

ワイヤーを曲げて矯正力を付与すると、3〜4日でその力が消費されていきます。装置による痛みのピークもそれくらいの時期にやってくるため、残りの期間は比較的安静に過ごすことが可能です。厳密には10〜14日くらいまで痛みや違和感が残るものの、不快症状に悩まされるのはワイヤー調整後の数日間に限られます。

マウスピース矯正の場合は、新しいマウスピースに交換するたびに軽い痛みや違和感が出ることがあります。ただし、最初の装着時のように強く痛むことは少なく、「またちょっと来たな」くらいの感覚で済む方が大半です。マウスピース矯正は段階的に歯を動かしていくため、一度に加わる力が比較的小さく、痛みもマイルドになる傾向があります。

食事をするとき

矯正治療中は食事のときに痛みを感じることも多いです。

歯に対して常に圧力がかかっている状態であり、炎症反応が生じています。歯の根の周りに存在している「歯根膜」というセンサーも普段より敏感になっているのです。歯根膜は普段、食べ物の硬さなどを感知して噛む力を精密にコントロールしてくれていますが、矯正装置による圧力で外からの刺激に敏感となっており、少し噛むだけでも強い痛みが生じます。

特に硬いものや弾力のあるものを噛むときに痛みが強くなります。そのため、矯正治療中は食事の内容を工夫することが大切になってきます。

痛みはいつまで続くのか?

「この痛み、いつまで我慢すればいいんだろう……」

矯正中の歯の痛みの感じ方には個人差がありますが、ずっと続くわけではありません。痛みを感じやすいのは、調整日の翌日から3日後ほどです。1週間も経てば、痛みは気にならなくなります。

痛みのピークは「2日〜3日」となるのが一般的です。もちろん個人差はありますが、多くの方は1週間程度で少しずつ落ち着いてきます。万が一、2週間経っても食事が噛めないほどの痛みが継続する場合には、歯科医院に連絡を入れるようにしましょう。何か装置に問題がある可能性や、予想以上に強い力がかかっている可能性があります。

ワイヤー矯正の場合、調整後の数日間が最も痛みが強く、時間が経てば経つほど痛みも和らいでいきます。そのため、痛みが強いとしても一時的なものであり、常に痛いわけではありません。次の調整日までの間は、比較的快適に過ごせる期間が続きます。

装置が当たる痛みについて

歯が動く痛みとは別に、装置が口内に当たる痛みもあります。

ワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤーの端が粘膜を刺激して痛みを生じさせることがあります。その状態が長く続くと口内炎ができて、痛みが助長されます。頬の内側が大きく腫れると、今度は誤って粘膜を噛んでしまう「誤咬」が起こりやすくなるため要注意です。

表側矯正の場合は装置が頬の粘膜に当たるため、頬に口内炎ができたりすることがあります。裏側矯正の場合は舌側に装置が付くため舌に口内炎ができたり話すときに当たる感じがあったりします。装置が当たる痛みは、歯が動く痛みとは異なり、装置に慣れるまで続くことがあります。ただし、多くの方は2〜3週間で慣れてきます。

痛みを和らげる7つの対処法

矯正中の痛みは慣れていくものですが、痛すぎて困っている方もいるでしょう。ここでは、痛みを和らげるための具体的な対処法を7つご紹介します。

柔らかいものを選んで食べる

痛みで噛むことが難しい場合は、柔らかい食材を選ぶようにしましょう。例えば、お豆腐やスクランブルエッグ、マッシュポテトやアボカドなどがおすすめです。焼いていない食パンやお粥、スープやヨーグルトなども、歯にかかる負担が少なくて済みます。

また、調理方法を工夫するのも効果的です。リンゴや大根などは、すり下ろすと食べやすくなること間違いなし。大きめの食材は、小さめの「一口サイズ」にカットしてみると良いでしょう。痛みが強い時期は、栄養バランスを保ちながらも食べやすさを優先することが大切です。

矯正用ワックスを使用する

ワイヤー矯正の装置が頬や舌にあたって痛い場合は、歯科医院でもらえる矯正用ワックスで保護すると痛みが和らぎます。ワイヤーが頬に刺さっているときに痛みはそのまま放置していると出血することもあります。

矯正用ワックスは適量をまるめ、痛みがでている箇所の装置にそっと押し付けるようにして使用します。ただし、食事や歯磨きで簡単に外れてしまうので、痛みがでている期間はワックスを付け替える必要があります。常に持ち歩いておくと、外出先でも対応できて安心です。

痛み止めを服用する

どうしても耐えられないほどの痛みが続く場合は、歯科医院に相談して痛み止めを処方してもらうのがおすすめです。

しかし、あまり何度も服用してしまうと「歯の動き」が遅くなってしまったり、正しい位置に動かなかったりする可能性もゼロではありません。必ず、担当の医師に相談した上で、容量を守って服用するようにしましょう。痛み止めは「どうしても必要なとき」の最終手段として考えておくと良いでしょう。

患部を冷やす

痛みが生じる場合は炎症が起きている証拠ですので、冷やすのが効果的です。保冷剤や氷などで、痛い部分を冷やしてください。ただし、冷やしすぎると矯正力が薄れてしまいますので、短時間にしてください。

お風呂上りや寝る前など、身体が温まると痛みがでやすいので、痛みで眠れないときに有効です。冷やす時間は10〜15分程度を目安にし、長時間冷やし続けないように注意しましょう。

お湯を口に含む

逆に、温かいお湯を口に含むことで痛みが和らぐこともあります。血行が良くなることで、炎症が早く治まる場合があるためです。ただし、熱すぎるお湯は避け、人肌程度の温度にしましょう。

冷やすのと温めるのは、どちらが効果的かは個人差があります。両方試してみて、自分に合った方法を見つけることが大切です。

口内炎予防の栄養を摂る

口内炎の影響で噛むことが難しい場合には、ビタミンB2やB6を豊富に含んだ食材を取り入れるのがポイント。

例えば、レバーや納豆、マグロやバナナなどには、口内炎を回復させるための栄養素が多く含まれているのでおすすめです。痛みが出る前に食べることで、口内炎予防にもつながります。矯正治療中は、普段以上に栄養バランスに気を配ることが大切です。

歯科医院で相談する

さまざまな処置を施しても痛みが軽減されない場合や、痛みに不安を覚える場合は、医師に相談するようにしましょう。自己判断せずワイヤーの調整やマウスピースの確認など、適切な処理を受けると痛みの原因もわかり安心です。

遠慮せずに相談することが、快適な矯正治療を続けるための鍵となります。担当医は、患者さんの痛みに寄り添い、最適な対処法を提案してくれます。

ワイヤー矯正とマウスピース矯正、痛みの違いは?

「どっちの方が痛くないですか?」

矯正治療を検討されている方から、よくいただくご質問のひとつです。実際、どちらの治療法にも「歯が動く痛み」はありますが、その出方や感じ方には違いがあります。

ワイヤー矯正の痛みの特徴

ワイヤー矯正では、歯の表面に「ブラケット」という小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かしていきます。このワイヤーの調整によって、部位によって局所的に大きな力がかかったり、あまりかからないところに分かれたりするようになっているため、初回装着時や毎月のワイヤー調整後といったタイミングで、特に歯ならびが悪い箇所を中心に「ズキッ」「ジンジン」とした痛みが出やすくなります。

また、ブラケットやワイヤーの端が粘膜に当たって口内炎ができたり、頬や唇の裏に違和感を覚えることもあります。ワイヤー矯正は、比較的強い力で歯を動かすことができるため、治療期間が短くなる傾向がありますが、その分痛みも強く感じることがあります。

マウスピース矯正の痛みの特徴

マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを使って歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。ワイヤー矯正と比較して、透明で目立たず、取り外しができるという特徴があります。

痛みに関しては、ややマイルドでジワジワした圧を感じることが多いです。マウスピースを変えるごとに痛みを感じることがあると言われていますが、ワイヤー矯正ほど局所的な強い痛みは少ない傾向にあります。段階的に少しずつ歯を動かしていくため、一度に加わる力が小さく、痛みも比較的穏やかです。

また、マウスピース矯正では装置が粘膜に当たる痛みはほとんどありません。ただし、歯茎に当たることがあったり、装着時に頬の粘膜を巻き込んでしまい痛みがあることもあります。全体的には、ワイヤー矯正よりも痛みが少ないと感じる方が多いようです。

むらせ歯科の矯正治療〜痛みに配慮した治療体制

むらせ歯科では、日本矯正歯科学会の有資格者が矯正治療を担当しています。専門教育を受け、しっかり臨床経験を積んだ医師による質の高い治療を提供しているため、痛みのコントロールにも配慮した治療が可能です。

透明で目立ちにくいマウスピース矯正「インビザライン」

むらせ歯科では、透明な装置を口にはめ、何度か新しいものに交換しながら徐々に歯を移動させるマウスピース型矯正装置「インビザライン」を導入しています。取り外し可能ですので、食べたい物がなんでも食べられ、食後の歯磨きや装置の洗浄も簡単に行うことができます。

ワイヤー矯正と比較して、装置が粘膜に当たる痛みが少ないというメリットがあります。ただし、装置を装着する判断は患者様に一任されるため、装置を付ける時間が短く、つけない期間があった場合は、治療期間が長くなってしまうというデメリットも存在します。1日20時間以上の装着が推奨されていますので、しっかりと装着時間を守ることが大切です。

患者さんとのコミュニケーションアプリ

むらせ歯科では、患者さんと医院とのコミュニケーションアプリを導入しています。どのくらい歯が動いているのかなどをスライドショーで確認できたり、マウスピースの交換時期を教えてくれる機能が付与されています。

このアプリにより、患者さんは治療の進捗を視覚的に確認でき、安心して治療を続けることができます。また、痛みや違和感があった際にも、アプリを通じて気軽に相談できる体制が整っています。患者さんと医院とのコミュニケーションを円滑にすることで、サービス精度の向上にもつながっています。

虫歯・歯周病予防の徹底

矯正治療中は「器具」をお口の中に入れますので、汚れが付きやすく、虫歯や歯周病になってしまう可能性が高まります。せっかく歯並びが綺麗になったのに、虫歯や歯周病になってしまい、お口の「審美性」「機能性」がおかしくなってしまったら本末転倒ですよね。

むらせ歯科では、矯正治療を行う前の初期処置(虫歯治療・歯周病治療・抜歯)、矯正治療中の虫歯予防・歯周病予防が適切に対処できます。矯正専門で行っている医院は、これらに対応していないところが多いため、虫歯や歯周病に関しては他の医院で処置する必要があり、患者様への負担が多くなることがあります。歯を綺麗に並べることだけではなく、虫歯や歯周病予防の処置をしっかり行えるかどうかも医院選びの判断基準として重要です。

顎関節症への配慮

不正咬合(悪い歯並び)の多くは顎関節にトラブルを持つ方が多いため、患者さんの希望がある場合は、むらせ歯科では矯正治療に入る前にスプリント療法(別途費用11万円(税込み))を行い、歯並びを綺麗に整えるだけではなく、顎関節症の改善も同時に行っていきます。

これにより、顎関節症に由来する不定愁訴(頭痛/肩こりなど)、顎の痛み/疲れ、歯ぎしり改善、顎の異音などの症状改善が期待できます。歯並びだけでなく、顎関節の健康にも配慮した総合的な治療を提供しています。

受診の目安〜こんなときは歯科医院へ

矯正治療中の痛みは、ある程度は避けられないものです。しかし、以下のような症状がある場合は、すぐに歯科医院に連絡を入れるようにしましょう。

  • 2週間経っても食事が噛めないほどの痛みが継続する
  • 眠れないほどの強い痛みがある
  • 装置が外れたり、ワイヤーが飛び出したりしている
  • 口内炎が大きく腫れて出血している
  • 歯茎が大きく腫れている
  • 発熱や頭痛を伴う痛みがある

これらの症状は、装置の不具合や感染症の可能性があります。自己判断せず、早めに歯科医院を受診することが大切です。

また、痛みが強くて日常生活に支障をきたしている場合も、遠慮せずに相談しましょう。担当医は、患者さんの痛みに寄り添い、適切な対処法を提案してくれます。我慢しすぎることなく、気になることがあればすぐに相談することが、快適な矯正治療を続けるための秘訣です。

まとめ〜痛みと上手に付き合いながら理想の歯並びへ

歯列矯正の痛みは、確かに避けられないものです。

しかし、痛みのピークは2〜3日程度で、1週間も経てば落ち着いてくることがほとんどです。また、柔らかい食事を選ぶ、矯正用ワックスを使用する、痛み止めを服用するなど、適切な対処法を知っていれば、痛みを和らげながら快適に治療を続けることができます。

現代の矯正治療は、技術の進歩により痛みのコントロールが格段に向上しています。特にマウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比較して痛みが少ない傾向にあり、装置が粘膜に当たる痛みもほとんどありません。透明で目立ちにくく、取り外しも可能なため、日常生活への影響も最小限に抑えられます。

むらせ歯科では、日本矯正歯科学会の有資格者による専門的な治療、透明で目立ちにくいマウスピース矯正「インビザライン」の導入、虫歯・歯周病予防の徹底、顎関節症への配慮など、総合的なアプローチで患者さんのニーズに応える矯正歯科治療を提供しています。患者さんとのコミュニケーションアプリを活用し、治療の進捗を視覚的に確認できる体制も整えています。

「人前で笑うことにためらってしまう」「こどもの歯並びが気になる」といった方は、ぜひ一度むらせ歯科にご相談ください。痛みへの不安も含めて、丁寧にカウンセリングいたします。理想の歯並びを手に入れて、自信を持って笑える毎日を手に入れましょう。

矯正治療は、人生を変える大きな一歩です。痛みと上手に付き合いながら、一緒に理想の歯並びを目指していきましょう。東京歯科大学での経験を活かし、患者さん一人ひとりに寄り添った治療を提供してまいります。

 

歯列矯正の費用相場はいくら?分割払い・デンタルローン・医療費控除までまとめて解説

2026年01月23日

歯列矯正の費用相場とは?治療方法別に解説

歯列矯正を検討する際、最も気になるのが「費用」ではないでしょうか。

美しい歯並びを手に入れたいと思っても、実際にどれくらいの費用がかかるのか分からないと不安ですよね。矯正治療は一般的に高額になりがちですが、治療方法や範囲によって大きく異なります。

近年では、歯列矯正の平均費用は約66.8万円とされています。ただし、前歯だけの「部分矯正」と奥歯まで含めた「全体矯正」では、約30万円もの差があることが分かっています。

表側矯正(ワイヤー矯正)の費用相場

表側矯正は、歯の表面に矯正装置を取り付ける最も一般的な方法です。

費用相場は30〜130万円程度となっています。この方法は歴史が長く、多くの症例に対応できるため、幅広い歯並びの問題に適用可能です。ただし、装置が目立つという点がデメリットとして挙げられます。

裏側(リンガル)矯正の費用相場

裏側矯正は、歯の裏側に装置を取り付ける方法です。

費用相場は40〜170万円程度と、表側矯正よりも高額になります。装置が外から見えないため、見た目を気にする方に人気がありますが、技術的に難易度が高いため、費用も高くなる傾向にあります。

マウスピース矯正の費用相場

マウスピース矯正は、透明なマウスピース型の装置を定期的に交換しながら歯並びを整える方法です。

費用相場は10〜100万円程度と幅があります。部分矯正であれば比較的安価に始められますが、全体矯正の場合は80〜100万円程度かかることもあります。取り外しができるため、食事や歯磨きがしやすいというメリットがあります。

出典登戸グリーン歯科・矯正歯科「歯列矯正の費用と保険適用条件〜2025年最新ガイド」(2025年)より作成

子供の矯正治療の費用と特徴

子供の矯正治療は、大人の矯正とは異なる特徴があります。

一般的に子供の矯正治療は2段階で行われ、前半の治療を「I期治療」、後半の治療を「II期治療」といいます。可能であればI期治療で終了した方が、期間も短く済み、費用もそれほどかかりません。

I期治療の内容と費用

I期治療では、歯並びが悪くなる原因である「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全に着目します。

歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)を使用して改善していきます。この装置は歯を直接動かすのではなく、悪い歯並びになる原因をオリジナル装置やトレーニングで改善する方法です。

年齢に応じたアプローチがあり・・・0〜2歳では姿勢の訓練、3〜5歳ではインファントという取り外し可能なマウスピース型装置を1日2回10〜20分使用、6〜9歳ではマイオブレーストレーナーという装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。

家庭でのトレーニング継続が重要で、専任スタッフの指導とオリジナルアプリケーションによる支援があります。

II期治療の内容と費用

I期治療が終わり、顎の補正が完了しても、歯並びそのものがでこぼこしていたり、歯が回転して生えていたり、上下の噛み合わせが良くなかったりすることがあります。

その場合に、仕上げのII期治療を行います。本格矯正には唇側マルチブラケット矯正(ワイヤー型)とマウスピース矯正(インビザライン)の2種類があります。矯正治療の費用は症状や治療内容によって異なりますが、約22〜110万円(税込)かかります。

保険適用される歯列矯正の条件

歯列矯正は基本的に「自由診療」となるため、保険適用外の治療です。

多くの方が審美的な目的で矯正を希望されるからです。しかし、例外的に保険が適用されるケースもあります。厚生労働省が定める特定の条件を満たす場合、健康保険の適用対象となります。

厚生労働省が定める疾患の場合

厚生労働省が定める特定の疾患がある場合、日常生活に支障をきたすため、保険適用の矯正治療を受けることができます。

2025年6月現在、該当する疾患は64種類あります。代表的なものとしては、唇顎口蓋裂、ダウン症候群、ゴールデンハー症候群などが挙げられます。これらの疾患は先天性のものが多く、口腔内の機能に影響を与えるため、健康上の理由から矯正治療が必要とされています。

永久歯萌出不全と顎変形症の場合

永久歯萌出不全とは、永久歯が適切な時期に生えてこない状態を指します。

前歯の永久歯が3本以上生えてこず、歯列不正や不正咬合が生じるおそれがある場合に保険が適用されます。また、顎変形症とは、上下の顎の位置や形状に異常があり、不正咬合を引き起こす疾患です。顎変形症の場合、噛み合わせの問題から食べ物をしっかり噛めなかったり、発音がしづらくなるなど、口腔機能に問題が生じます。

保険適用の条件としては、「顎口腔機能診断施設」として指定された医療機関で診断を受け、矯正治療に加えて顎の骨を切るなどの外科手術が必要と判断されることが条件です。

出典登戸グリーン歯科・矯正歯科「歯列矯正の費用と保険適用条件〜2025年最新ガイド」(2025年)より作成

分割払いとデンタルローンの活用方法

歯列矯正の費用は高額になるため、一括払いが難しい方も多いでしょう。

そこで活用したいのが、分割払いやデンタルローンです。これらを利用することで、月々の負担を抑えながら矯正治療を受けることができます。

院内分割払いとは?

院内分割払いは、歯科医院が独自に提供する分割払いシステムです。

手数料や金利が比較的低く設定されていることが多く、審査も比較的緩やかです。ただし、分割回数に制限がある場合や、治療期間中に全額を支払う必要がある場合もあります。各歯科医院によって条件が異なるため、事前に確認することが大切です。

デンタルローンのメリット

デンタルローンは、患者が支払うべき治療費を信販会社が立替払いをして、その立替分を患者が分割で信販会社に返済していくものです。

信販会社が立替払いをした金額は、その患者のその立替払いをした年(歯科ローン契約が成立した時)の医療費控除の対象になります。院内分割よりも分割回数を多く設定できることが多く、月々の支払額を抑えられるメリットがあります。ただし、金利や手数料がかかるため、総支払額は一括払いよりも高くなります。

デンタルローンと医療費控除の関係

デンタルローンを利用した場合でも、医療費控除を受けることができます。

信販会社が立替払いをした金額は、その立替払いをした年の医療費控除の対象となります。ただし、歯科ローンに係る金利および手数料相当分は医療費控除の対象になりません。デンタルローンを利用した場合には、患者の手もとに歯科医の領収書がない場合があると考えられますが、この場合には、医療費控除を受けるときの支出を証明する書類として、歯科ローンの契約書や信販会社の領収書を保存してください。

出典国税庁「No.1128 医療費控除の対象となる歯の治療費の具体例」(令和7年4月1日現在法令等)より作成

医療費控除で費用負担を軽減する方法

医療費控除とは、1年間に支払った医療費の合計が一定金額(原則10万円)を超えた場合、所得税が還付される制度です。

医療費が高額になった場合に、納めた税金の一部が返金されます。矯正治療費だけでなく、通院費用(交通費)も含まれます。

医療費控除の対象となる費用

医療費控除の対象となる費用には、診察代、検査代、矯正装置料、矯正器具の調整料・処置料、治療に必要な医薬品の費用、通院のための交通費(交通公共機関)が含まれます。

基本的に治療に必要となるものは全て医療費として含めることができます。お子様の治療を受ける場合は付き添い人の交通費まで対象になります。ただし、これは公共交通機関を使った場合に限られます。個人の自動車で通った際のガソリン代などは対象外となるので注意してください。

医療費控除額の計算方法

医療費控除額は、総医療費から保険金等で補填された額と10万円(総所得200万円以上の場合)を引いた金額です。

総所得200万円未満の場合は、総医療費から保険金等と総所得×5%を引いた金額となります。算出された「医療費控除額」に、自分の所得に応じた所得税率をかけると還付金の目安がわかります。

e-Taxで確定申告する方法

医療費控除を受けるには、確定申告が必要です。

e-Taxを使えば、自宅からオンラインで申告でき、手間が少なくスピーディーです。必要書類は、源泉徴収票、医療費の領収書、医療費控除の明細書(国税庁サイトで作成可能)、マイナンバーカード(カード方式で申告する場合)です。e-Taxで申告する場合、領収書の提出は不要ですが、税務署から求められたときに提示できるよう、手元に整理して保管しておきましょう。

申告内容を税務署が確認後、指定口座に所得税の還付金が振り込まれます。

出典矯正歯科ネット「【2026年度版】高額な矯正治療費を確定申告(医療費控除)e-Taxを活用」(2026年)より作成

矯正治療のメリットとデメリット

歯列矯正を始める前に、メリットとデメリットを理解しておくことが大切です。

治療には一定の期間と費用がかかりますので、十分に検討してから決断しましょう。

矯正治療のメリット

矯正治療の最大のメリットは、噛み合わせが整うことです。

正しい噛み合わせになると、食べ物をしっかり噛めるようになり、消化吸収も良くなります。また、歯並びが整うと歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病になりにくくなります。さらに、見た目の改善により、自信を持って笑えるようになるという心理的なメリットもあります。

矯正治療のデメリットと注意点

矯正治療のデメリットとしては、抜歯が必要な場合があることが挙げられます。

また、自費診療で高額になることや、歯根吸収が起こる可能性があることなどがあります。治療中は矯正装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。

ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことや、歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。

まとめ:歯列矯正の費用を賢く抑える方法

歯列矯正の費用は、治療方法や範囲によって大きく異なります。

平均的には約66.8万円程度ですが、表側矯正で30〜130万円、裏側矯正で40〜170万円、マウスピース矯正で10〜100万円程度と幅があります。子供の矯正治療では、I期治療とII期治療の2段階で行われ、約22〜110万円(税込)かかります。

保険適用されるケースは限られていますが、厚生労働省が定める64種類の疾患や、永久歯萌出不全、顎変形症などの場合は保険が適用されます。

費用負担を軽減する方法として、分割払いやデンタルローンの活用、医療費控除の申請があります。デンタルローンを利用した場合でも医療費控除の対象となり、e-Taxで簡単に確定申告できます。医療費控除は医療費を支払った翌年から5年間申告可能なので、忘れずに申請しましょう。

矯正治療を検討している方は、まず歯科医院で相談し、自分に合った治療方法と支払い方法を選ぶことが大切です。美しい歯並びと健康な口腔環境を手に入れるために、計画的に治療を進めていきましょう。

むらせ歯科では、子供の矯正治療を2段階(I期治療とII期治療)で提供しています。歯並びを創造することと同時に、患者様の肉体的負担・経済的負担を抑えることを重視し、可能な限りI期治療で完了するよう治療を進めています。大人の歯が生えてきたタイミングでの相談を推奨しており、プロの目で診断することで今後の歯の動きを予測し、適切な治療開始時期を提案しています。

矯正治療に関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

 

すきっ歯・前歯のガタガタは小児矯正でどう治す?原因別に装置と方針を解説

2026年01月21日

 

お子さんの前歯に隙間が目立ったり、ガタガタと重なり合って生えてきたりすると、親御さんとしては「このまま放っておいていいのだろうか」と心配になりますよね。

実は、子どもの歯並びは成長過程で一時的に隙間ができたり、乱れたりすることがあります。しかし、原因によっては早期の治療介入が必要なケースも存在します。

小児矯正では、歯並びが悪くなる「原因」そのものにアプローチすることで、将来的な歯並びの問題を予防し、お子さんの肉体的・経済的負担を最小限に抑えることができます。

この記事では、すきっ歯や前歯のガタガタといった歯並びの問題について、その原因から治療方法、装置の種類、治療開始時期まで、歯科医師の視点から詳しく解説していきます。

子どものすきっ歯・前歯のガタガタとは?

子どもの歯並びの問題は、大きく分けて「すきっ歯(空隙歯列)」と「前歯のガタガタ(叢生)」の2つのパターンがあります。

「すきっ歯」は、歯と歯の間に隙間がある状態で、正式には「空隙歯列(くうげきしれつ)」や「歯間離開歯(しかんりかいし)」といいます。特に前歯の中心に隙間がある状態は「正中離開(せいちゅうりかい)」と呼ばれます。

一方、「前歯のガタガタ」は歯が重なり合って生えている状態で、専門用語では「叢生(そうせい)」といいます。永久歯が生えるスペースが不足しているために起こります。

発育空隙について・・・一時的なすきっ歯は正常

乳歯が生え揃った後、顎の成長によって一時的に歯列に隙間ができることがあります。これを「発育空隙(はついくくうげき)」といい、「みにくいアヒルの子の時期」とも呼ばれます。

永久歯は乳歯よりも大きいため、永久歯がスムーズに生え変わるために必要なスペースなのです。永久歯が生え揃うことによって、少しずつ隙間は埋まっていきます。

乳歯の段階できれいに隙間なく並んでいると、永久歯になった時に歯が並ぶスペースがなくなり、歯並びが乱れてしまう可能性が高まります。

治療が必要なケースと経過観察で良いケース

すべてのすきっ歯や前歯のガタガタが治療を必要とするわけではありません。

乳歯のすきっ歯は永久歯がきれいに生えてくるための大切なスペースなので、基本的には経過観察となります。また、永久歯と乳歯が混ざって生える「混合歯列期(8〜10歳)」の上前歯は、ほとんどの場合が一時的にすきっ歯になりますが、犬歯が生えてくることで徐々に埋まっていきます。

しかし、真ん中の歯に3mm以上の隙間があるケースや、犬歯が生えた後も隙間が閉じないケース、必要以上に隙間が大きい場合などは、矯正治療が必要になることがあります。

すきっ歯・前歯のガタガタになる原因

子どもの歯並びが悪くなる原因は、先天的な要因と後天的な要因に分けられます。原因を特定することで、適切な治療方針を立てることができます。

口腔周囲筋の機能不全

歯並びが悪くなる最大の原因は「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全です。

普段何もしていない時に、舌が常に歯に触れている状態を「舌癖(ぜつへき)」といいます。つまり、常に歯に対して一定の力が与えられている状態です。こんな小さな力でも、長期間続くと歯並びは崩れてしまいます。

正しい舌の位置は、舌先が上の前歯のつけねの少し手前あたりに当たっている状態です。舌が低い位置にあると、上顎の成長を妨げ、歯並び悪化の原因となります。

口呼吸の影響

口で呼吸していると舌は低位になり、上顎の成長を妨げます。また、病原菌が喉の粘膜から直接取りこまれてしまうため、健康のためにも良いことではありません。

正常な呼吸は鼻で行いますが、口呼吸が癖になっている子どもが多くみられます。口呼吸になる原因の中でも、舌が正しい位置に置かれず下がってしまう「低位舌」が多く、これは口周りの筋力低下だけでなく、上顎前突(出っ歯)や空隙歯列(すきっ歯)などの不正咬合を引き起こす要因になります。

指しゃぶりなどの悪習癖

3歳以降も頻繁に指しゃぶりを続けていると、前歯の裏側に力が加えられるため、すきっ歯や出っ歯の原因になります。

指しゃぶりは、生後2〜4ヶ月頃から始まる行為で、最初は遊びとして始まり、幼児においては気持ちを落ち着かせるために行うことが多いです。3歳頃も頻繁に指しゃぶりをしている場合は、改善したほうがよいかもしれません。

他に気を紛らわせる遊びをしたり、指しゃぶりをしなかったことを褒めたりして、徐々に頻度を減らしていくことが大切です。

歯と顎の大きさのバランス

顎の大きさに対して歯が小さい場合は、すきっ歯になることがあります。逆に、歯のサイズが大きく顎が小さい場合には、叢生などガタガタの歯並びになってしまいます。

歯の大きさと顎の大きさがアンバランスなお子さまは、矯正治療が必要になる可能性が高まります。

先天的な要因

生まれつき歯の本数が少ない「先天性欠損」や、歯のサイズが小さい「矮小歯(わいしょうし)」の場合は、歯が並ぶ土台部分に余分なスペースができるため、すきっ歯になりやすくなります。

逆に、歯の本数が生まれつき多い「過剰歯」は、歯茎の中に埋まったまま生えてこない可能性が高く、その埋まった歯が邪魔をして永久歯が正常に生えず、歯間に隙間ができる場合があります。過剰歯は上顎前歯部分に多く、正中離開などになりやすい傾向があります。

上唇小帯の異常

上唇と歯茎をつなぐ上唇小帯(ヒダ)は、赤ちゃんの頃は太くて長いのですが、成長に伴って少しずつ小さくなっていきます。しかし、稀に正常に退縮をしない場合があり、永久歯が生える際に邪魔となってすきっ歯になる場合があります。

すきっ歯・前歯のガタガタを放置するリスク

子どもの歯並びの問題を放置すると、さまざまなデメリットが生じます。

虫歯・歯周病のリスク増加

歯と歯の間に隙間があったり、歯が重なり合っていたりすると、食べかすが詰まりやすくなり、適切なケアも難しくなることから虫歯や歯周病の発症リスクが高くなってしまいます。

治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いており、歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。ハミガキを適切に行ってお口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。

発音障害

歯の間から空気が漏れるため、正しい発音ができない場合があります。特に「さ行」や「た行」を発音する際に歯と歯の隙間から空気が漏れてしまい、言葉がうまく伝えることができず、滑舌が悪く聞こえることがあります。

見た目のコンプレックス

すきっ歯は、国によって「美人」や「幸運の歯」と言われることもありますが、日本では「まぬけ顔」「貧乏に見える」など悪い印象をもたれるため、コンプレックスに感じる人が多くみられます。

年を重ねるごとに症状が悪化することが多く、歯の隙間が目立つため、コンプレックスに感じる方も多くいらっしゃいます。特に前歯のすきっ歯の場合は、口を開けるとすぐに目につき、人と会話することに消極的になる可能性があります。

小児矯正の治療開始時期

「いつから矯正を始めればいいのか」は、親御さんからよく受ける質問です。

お子さんのすきっ歯の治療開始時期については、上の前歯が生え変わる7歳頃が一般的ですが、成長に伴う一時的なすきっ歯(発育空隙)であれば、永久歯が生え揃うにつれて自然と隙間が埋まることも多く、治療が必要ないこともあります。

年齢別のアプローチ

むらせ歯科では、年齢に応じた段階的なアプローチを行っています。

0歳〜2歳・・・歯並びはお口だけの問題ではなく、座り方、姿勢、抱っこの仕方が原因で悪くなってしまうことがあります。親御さんと一緒にお子様の正しい「姿勢」を獲得する訓練を行います。

3歳〜5歳・・・インファントという取り外しできるマウスピース型の装置を1日2回10分〜20分利用することで、顎の成長を促し、歯並びが悪くなる原因を除去していきます。

6歳〜9歳・・・マイオブレーストレーナーという取り外し式の装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。歯並びが悪くなる口呼吸、舌の突き出し、指しゃぶりなどを改善します。

早期相談の重要性

特にお子様の歯並びの場合、親御さんが「矯正した方がいいかな?」と思った時は、適切な治療開始時期を逃してしまっていることが多々あります。

大人の歯(前歯)が生えてきたら、治療するしないにかかわらず一度ご相談にお越しください。プロの目で診断することで、今後どのように歯が動いていくのかを予測できますので、治療が必要になるか否か、治療開始時期はいつ頃がいいかなどをお話しさせて頂きます。

小児矯正の治療方法と装置

小児矯正は、一般的に2段階で行われます。前半の治療を「I期治療」、後半の治療を「II期治療」といいます。

I期治療・・・原因にアプローチする予防矯正

I期治療では、歯を直接動かすのではなく、悪い歯並びになってしまう「原因」をオリジナル装置やトレーニングで改善していく治療法になります。

むらせ歯科では「歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)」という方法を採用しています。これは、歯並びが悪くなる原因である「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全に着目した治療法です。

マイオブレーストレーナーという取り外し式の装置と舌・口・呼吸の訓練を組み合わせることで、歯並びが悪くなる口呼吸、舌の突き出し、指しゃぶりなどを改善します。

ご自宅でのトレーニングの重要性

トレーニングというと「難しそう」「続けられるかな……」と不安に思われるかもしれません。トレーニング自体は難しくはありませんし、痛みも一切伴いません。しかし、「継続」が大切になります。

このトレーニングを行わないと効果が半減してしまうため、お子様に継続してもらうため、親御さんの協力が必要となります。

トレーニング方法は、専門のトレーニングを受けた専任スタッフがお伝えします。また、ご自宅でも精度の高いトレーニングを実施してもらうため、ご自宅のパソコンや携帯で閲覧できるオリジナルアプリケーションをダウンロードし、アニメのキャラクターと一緒に楽しくトレーニングができる環境を整えています。

II期治療・・・歯並びの仕上げ

I期治療が終わり、顎(アゴ)の補正が完了しても、歯並びそのものがでこぼこしていたり、歯が回転して生えていたり、上下の噛み合わせが良くなかったりすることがあります。その場合に、仕上げのII期治療を行います。

本格矯正には、「唇側マルチブラケット矯正(ワイヤー型)」と「マウスピース矯正(インビザライン)」の2種類があります。

唇側マルチブラケット矯正は、歯にワイヤー型の装置を取り付けて行う治療です。すべての歯に矯正装置を装着し、理想的な歯並び、かみ合わせを目指す治療です。

マウスピース矯正(インビザライン)は、透明なマウスピース型の矯正装置を定期的に取り換えながら、歯並びを整える治療です。マウスピース矯正のみ矯正中のホワイトニングが可能です。

可能な限りI期治療で完了を目指す方針

矯正治療は一定の期間と費用が掛かりますので、可能であればI期治療で終了した方が好ましいです。期間も短く済み、費用もそれほど掛かりませんので。

むらせ歯科は、「歯並びを創造」することを第一に考えていますが、それと同じレベルで「患者様の肉体的負担・経済的負担を抑える」ことも重要視しています。そのため、可能な限りI期治療で完了するよう治療を進め、どうしてもII期治療まで必要な場合は、しっかりとお子さんと親御さんにご説明させて頂き治療を進めていきます。

矯正治療の費用と流れ

矯正治療の費用は症状や治療内容によって異なりますが、約22〜110万円(税込)ほどかかります。自費診療となるため、健康保険の対象外です。

治療の流れ

①矯正相談・・・歯並びの不安や疑問点などについて、お伺いし、最適な矯正治療プラン、時期、金額などについて、詳しくご説明します。当院に通院されている患者様については、相談料はかかりません。

②資料取り・・・現在のお口の状態や身体の状態などを詳しく把握するための検査を行わせていただきます。検査では、お口やお顔の写真の撮影、レントゲン撮影、お口の内のスキャンを行います。

③診断・・・資料取りを行っていただいてから2週間後、再度ご来院頂いて資料の診断結果についてご説明させていただきます。この診断では、患者様の現在の歯並びやお口の状態について詳しくご説明させていただき、治療の流れや費用などについてご案内させていただきます。資料取り・診断料は33,000円(税込)です。

④治療開始・・・診断の結果を踏まえて、治療に移ります。永久歯が生えそろう前のお子様の治療の場合、予防矯正から始める場合があります。予防矯正の料金は440,000円、再診料は3,300円/月です。

⑤メンテナンス・保定治療・・・きれいに並んだ歯並びを維持するための治療です。歯並びというのは、永久的なものではありません。歯は、加齢変化で徐々にでこぼこがでてくるものなのです。きれいに並んだ歯をずっときれいに維持するためには保定装置を用いたメインテナンスが必要になります。

医療費控除の活用

矯正治療は費用が高くなりがちですが、確定申告の医療費控除を活用することで所得税還付を受けて結果的に費用負担を軽減できます。控除対象には治療費だけでなく通院にかかる交通費も含まれ、家族分の費用も合算できます。

還付金は実際に支払った医療費と所得税率に応じて計算されます。申告は医療費を支払った翌年から5年間可能で、分割払いで支払った場合も実際に支払った年度ごとに控除できます。

矯正治療のメリットとリスク

矯正治療のメリット

矯正治療には多くのメリットがあります。

まず、噛み合わせが整うことで、食べ物をしっかりと噛めるようになり、消化吸収が良くなります。また、歯磨きがしやすくなることで、虫歯や歯周病になりにくくなります。

見た目の改善も大きなメリットです。歯並びが整うことで、笑顔に自信が持てるようになり、お子さんの心理的な負担も軽減されます。

矯正治療に伴うリスクと副作用

矯正治療にはいくつかのリスクや副作用も存在します。

矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間〜1、2週間で慣れてきます。

歯の動き方には個人差があり、予想された治療期間が延長する可能性があります。また、矯正歯科装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院など、矯正歯科治療には患者さんの協力が必要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。

歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことや、歯を動かすことで神経が障害を受けて壊死することがあります。

矯正歯科装置などにより金属等のアレルギー症状が出ることがあります。治療中に顎関節の痛み、音が鳴る、口が開けにくいなどの症状が生じることがあります。

動的治療が終了し装置が外れた後に保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや、咬み合せの「後戻り」が生じる可能性があります。あごの成長発育により咬み合せや歯並びが変化する可能性があります。

まとめ

お子さんのすきっ歯や前歯のガタガタは、原因を正しく特定し、適切な時期に適切な治療を行うことで、将来的な歯並びの問題を予防できます。

小児矯正では、歯を直接動かすのではなく、歯並びが悪くなる「原因」そのものにアプローチすることで、お子さんの肉体的・経済的負担を最小限に抑えることができます。

むらせ歯科では、「歯並びを創造」することと「患者様の負担を抑える」ことを同等に重視し、可能な限りI期治療で完了するよう治療を進めています。

大人の歯(前歯)が生えてきたら、治療するしないにかかわらず、まずは一度ご相談ください。プロの目で診断することで、お子さんの歯並びの将来を予測し、最適な治療開始時期をご提案させていただきます。

お子さんの笑顔と健康な歯並びのために、早めのご相談をお待ちしております。

 

小児矯正の「第一期・第二期」って何が違う?治療内容・通う期間・始め方を整理

2026年01月20日

お子さんの歯並びが気になり始めたとき、「矯正治療はいつから始めればいいの?」と悩まれる親御さんは少なくありません。小児矯正には「第一期治療(Ⅰ期治療)」と「第二期治療(Ⅱ期治療)」という2つの段階があり、それぞれ目的や治療内容が大きく異なります。

この記事では、小児矯正の第一期・第二期の違いについて、治療内容や通院期間、始めるタイミングまで詳しく解説します。

お子さんに最適な治療を選ぶために、まずは基本的な知識を整理していきましょう。

小児矯正の「第一期・第二期」とは?基本的な考え方

小児矯正は、お子さんの成長段階に合わせて2つの治療期間に分けられます。

第一期治療(Ⅰ期治療)は、乳歯と永久歯が混在する「混合歯列期」に行う治療です。一方、第二期治療(Ⅱ期治療)は、永久歯がすべて生え揃った後に行う本格的な矯正治療を指します。

この2段階に分ける理由は、子どもの顎の成長を最大限に活用するためです。

第一期治療では、顎の骨格を整えることで、永久歯がきれいに並ぶための「土台作り」を行います。第二期治療では、その土台の上に生え揃った永久歯を細かく調整し、美しい歯並びと正しい噛み合わせを完成させます。

すべてのお子さんが両方の治療を必要とするわけではありません。歯並びの状態によっては、第一期治療だけで完了するケースもあれば、第二期治療から始めるケースもあります。

第一期治療と第二期治療の主な違い

第一期治療と第二期治療の違いを簡単にまとめると、以下のようになります。

  • 第一期治療・・・顎の成長を利用した「骨格の調整」が中心
  • 第二期治療・・・永久歯を直接動かす「歯列の調整」が中心

第一期治療は、成長期だからこそできる治療法です。顎の骨がまだ柔らかく成長している時期に介入することで、将来的な抜歯のリスクを減らしたり、治療期間を短縮できたりする可能性があります。

一方、第二期治療は成人矯正と同じ方法で行われます。ワイヤー矯正やマウスピース矯正を使い、一本一本の歯を理想的な位置へと移動させていきます。

第一期治療(Ⅰ期治療)の内容と特徴

第一期治療は、永久歯が生え始める6歳から11歳頃に行われることが多い治療です。

この時期は「混合歯列期」と呼ばれ、乳歯と永久歯が混在しています。顎の成長が活発な時期でもあるため、矯正治療を始めるタイミングとして非常に重要です。

第一期治療の主な目的

第一期治療の最大の目的は、「歯並びが悪くなる原因」を取り除くことです。

歯並びが悪くなる主な原因は、「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全にあります。具体的には、口呼吸や舌癖(舌で歯を押す癖)、指しゃぶりなどの習慣が、歯並びに悪影響を与えます。

例えば、普段何もしていないときに舌が常に歯に触れている状態を「舌癖」といいます。このような小さな力でも、長期間続くと歯並びは崩れてしまいます。

第一期治療では、これらの原因を「歯列矯正用咬合誘導装置」という方法で改善していきます。歯を直接動かすのではなく、悪い歯並びになってしまう「原因」をオリジナル装置やトレーニングで改善していく治療法です。

年齢別の治療アプローチ

第一期治療は、お子さんの年齢によって取り組み方が異なります。

0歳~2歳では、歯並びはお口だけの問題ではなく、座り方や姿勢、抱っこの仕方が原因で悪くなることがあります。この時期は、親御さんと一緒にお子さんの正しい「姿勢」を獲得する訓練を行います。

3歳~5歳では、インファントという取り外しできるマウスピース型の装置を使用します。1日2回、10分~20分利用することで、顎の成長を促し、歯並びが悪くなる原因を除去していきます。

6歳~9歳では、歯列矯正用咬合誘導装置という取り外し式の装置と、舌・口・呼吸の訓練を行います。歯並びが悪くなる口呼吸、舌の突き出し、指しゃぶりなどを改善します。

第一期治療の期間と通院頻度

第一期治療の治療期間は、症状によって異なりますが、おおむね1年半から4年程度です。

通院頻度は、原則として1~2か月に1度の割合です。通院時には、口腔内のチェックや装置の調整を行います。

第一期治療が完了した後は、永久歯がきれいに並んでいればそれ以上の治療は不要です。ただし、顔の成長や歯の生え変わりを観察し続ける必要があります。永久歯の並びが理想的でない場合には、調整として第二期治療に進むことがあります。

第二期治療(Ⅱ期治療)の内容と特徴

第二期治療は、永久歯がすべて生え揃った後に行う本格的な矯正治療です。

一般的に、第二大臼歯が生える小学校高学年から中学生くらいの時期に開始します。この治療は、成人矯正と同じ方法で行われます。

第二期治療の主な目的

第二期治療の目的は、永久歯の歯並びや噛み合わせをしっかりと作り上げることです。

第一期治療が完了しても、歯並びが悪かったり、歯が回転して生えていたり、上下の歯がしっかりと噛み合っていなかったりする場合に、第二期治療を行います。

第一期治療を受けていた場合、第二期治療では歯の移動距離が短くなったり、治療期間が短縮されたりする可能性があります。第一期治療で顎の骨格を整えておくことで、第二期治療の負担を減らすことができるのです。

第二期治療で使用する装置

第二期治療では、大きく分けて2種類の治療法があります。

ワイヤー矯正(唇側マルチブラケット矯正)は、金属のワイヤーやブラケットの装置を歯の表面に固定する方法です。歯にブラケットという器具を取り付け、そこにワイヤーを通して歯列矯正を行います。

歯の裏側にブラケットをつける裏側矯正とは異なり、発音が不明瞭になったり、しゃべりにくくなったりするデメリットを防げます。ただし、ワイヤーが表に出るため、見た目が気になる場合もあります。

マウスピース型矯正装置(インビザライン)は、透明なマウスピース型の矯正装置を定期的に取り換えながら、歯並びを整える治療です。取り外しが可能なため、食事や歯磨きがしやすく、見た目も目立ちません。

ただし、装着時間を守らなければ効果が得られないため、お子さん本人と保護者の協力が不可欠です。

第二期治療の期間と通院頻度

第二期治療の治療期間は、症状によって異なりますが、おおむね1年から3年程度です。

通院頻度は、第一期治療と同様に1~2か月に1度の割合です。状況によっては、口腔内のチェックや器具の調整を行います。

矯正器具の装着期間が終了した後は、保定期間を設けます。保定装置(リテーナー)を用いて、歯が元の状態に戻ろうとする「後戻り」を防ぎます。保定期間は一般的に3年程度必要です。

第一期治療だけで終わる場合と第二期治療が必要な場合

すべてのお子さんが第一期治療と第二期治療の両方を必要とするわけではありません。

歯並びの状態によっては、第一期治療だけで完了することが可能です。第一期治療だけで終わる場合、治療期間が短くなり、費用も少なくて済みます。

第一期治療だけで完了するケース

第一期治療で顎の成長を適切にコントロールし、口腔周囲筋の機能を改善できた場合、永久歯が自然にきれいに並ぶことがあります。

特に、軽度の歯並びの乱れや、顎の成長バランスの問題が早期に改善された場合は、第一期治療だけで治療が完了する可能性が高くなります。

ただし、第一期治療終了後も、顔の成長や歯の生え変わりを観察し続ける必要があります。定期的な検診を受けることで、問題が生じた場合に早期に対応できます。

第二期治療が必要になるケース

第一期治療が完了しても、以下のような状態が見られる場合は、第二期治療が必要になります。

  • 永久歯が斜めに生えている
  • 歯が回転して生えている
  • 上下の歯がしっかりと噛み合っていない
  • 歯並びに凸凹が残っている

第一期治療で顎の骨格を整えていても、個々の歯の位置が理想的でない場合は、第二期治療で細かく調整する必要があります。

また、第一期治療を受けずに、第二期治療から矯正を始めるケースもあります。永久歯が生え揃った後に歯並びの問題が明らかになった場合や、第一期治療を必要としない症例の場合です。

小児矯正を始めるタイミングと相談の重要性

小児矯正を始める最適なタイミングは、お子さんの歯並びの状態によって異なります。

一般的には、永久歯が生え始める6歳から7歳頃に一度、矯正歯科医に相談することが推奨されています。この時期に専門医の診断を受けることで、早期治療が必要かどうかを判断できます。

早期治療が望ましいケース

歯並びの状態によっては、早期治療が望ましい場合があります。

受け口(反対咬合)は、早期治療が特に重要です。受け口は歯そのものではなく、顎の骨に問題が起きているため、下顎の成長を終えた状態では治療が困難になります。6歳から8歳までに受診するのが望ましいとされています。

出っ歯(上顎前突)も、早期治療が効果的です。上顎の成長は10歳でほぼストップするため、成長が止まる前に矯正歯科で受診することが推奨されます。成長を終えてから治療を開始した場合、非抜歯での治療が難しくなる可能性があります。

これらのケースでは、顎の発育が正常な状態になるよう早めに導くことが大切です。

矯正相談の流れ

矯正治療を検討する際は、まず矯正相談から始めます。

矯正相談では、歯並びの不安や疑問点について詳しくお伺いし、最適な矯正治療プラン、時期、金額などについて説明します。治療をするしないに関わらず、まずは一度相談にお越しいただくことをおすすめします。

相談から治療へ進む方には、現在のお口の状態や身体の状態などを詳しく把握するための検査(資料取り)を行います。検査では、お口やお顔の写真の撮影、レントゲン撮影、お口の内のスキャンを行います。

資料取りを行ってから2週間後、再度ご来院いただいて資料の診断結果についてご説明します。この診断では、患者さんの現在の歯並びやお口の状態について詳しくご説明し、治療の流れや費用などについてご案内します。

親御さんが判断するのは難しい

親御さんが矯正をする時期を判断するのは難しいと思います。

少しでも歯並びが気になったときには、治療をするしないに関わらず、まずは一度ご相談にお越しください。プロの目で診断することで、その後、歯がどのように移動していくのかを予測し、治療が必要なのか、治療開始期間などについて丁寧に説明させていただきます。

先天的な欠損歯や埋伏歯など、検査してみないとわからない症例もあります。早めに相談することで、将来の治療の選択肢を広げ、お子さんの健康や生活の質を守る第一歩となります。

小児矯正の費用と保定治療について

小児矯正の費用は、歯並びの症状や治療内容によって異なります。

一般的に、矯正治療は自費診療となるため、費用は約40万円から100万円程度が基本になります。第一期治療と第二期治療を合わせると、成人矯正より高額になる場合もあります。

治療段階別の費用目安

予防矯正(第一期治療)の料金は、約44万円程度です。再診料は月額3,300円です。装置を紛失・破損した場合には、1個ごとに別途9,000円が必要になります。

本格矯正(第二期治療)の料金は、治療方法によって異なります。

唇側マルチブラケット矯正(ワイヤー型)の場合、料金は77万円から88万円程度です。再診料は月額5,500円です。予防矯正から移行した場合は、33万円程度となります。

マウスピース矯正(インビザライン)の場合、料金は88万円から110万円程度です。再診料は月額5,500円です。治療期間短縮装置を使用する場合は、別途5万5,000円が必要です。

保定治療の重要性

矯正治療後は、保定装置を用いたメンテナンスが必要です。

きれいに並んだ歯並びを維持するための治療が、保定治療です。歯並びは永久的なものではなく、加齢によって徐々にでこぼこが出てくるものです。

保定装置を指示通り使用しないと、歯並びや噛み合わせの「後戻り」が生じる可能性があります。アンチエイジングの意味でも、きれいに並んだ歯をずっときれいに維持するためには保定装置を用いたメンテナンスが必要になります。

保定治療の再診料は月額3,300円です。リテーナーを紛失・破損した場合の作り替えは、6,600円です。

小児矯正のメリットとリスク

小児矯正には多くのメリットがありますが、同時にリスクや注意点も存在します。

治療を始める前に、メリットとデメリットの両方を理解しておくことが大切です。

小児矯正のメリット

小児矯正の主なメリットは、以下の通りです。

見た目の改善によって、お子さんの自信や学校生活への適応に良い影響を与えることがあります。多感な年頃になると見た目に対する意識が高まり、特に歯並びが気になるようになります。早期に治療を開始すれば、心理的な負担を減らすことにもつながります。

虫歯や歯周病のリスク低減も重要なメリットです。歯並びが整うことで、歯磨きがしやすくなり、食べ物が溜まりにくくなります。

噛み合わせの改善によって、咀嚼効率が向上します。正しい噛み合わせは、消化機能の向上や顎関節への負担軽減にもつながります。

口腔機能の改善も期待できます。口呼吸の改善や発音の改善など、歯並び以外の健康面にも良い影響があります。

将来の治療負担の軽減も大きなメリットです。第一期治療で顎の骨格を整えておくことで、第二期治療が短期間・軽度で済むケースがあります。また、永久歯の抜歯を避けられる可能性も高まります。

小児矯正のリスクと注意点

小児矯正には、以下のようなリスクや注意点があります。

治療期間が長くなることがあります。乳歯期から始めると、数年単位での通院が必要になります。

再治療の可能性も考慮する必要があります。顎や歯の成長は個人差が大きいため、中高生以降に本格矯正(第二期治療)が必要になることもあります。

お子さんの協力が不可欠です。取り外し式の装置は、装着時間を守らなければ効果が得られません。お子さん本人と保護者の協力がないと、治療が進まないこともあります。

費用面の負担も考慮が必要です。第一期治療・第二期治療を合わせると、成人矯正より高額になる場合があります。

矯正装置による違和感や痛みが生じることがあります。装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがありますが、一般的には数日間から1、2週間で慣れてきます。

虫歯や歯周病のリスク増加にも注意が必要です。治療中は矯正装置が歯の表面に付いているため食物が溜まりやすく、また歯が磨きにくくなります。適切なハミガキを行い、お口の中を常に清潔に保つことが大切です。

まとめ:お子さんに最適な治療を選ぶために

小児矯正の第一期治療と第二期治療は、それぞれ異なる目的と役割を持っています。

第一期治療は、顎の成長を利用した「骨格の調整」が中心で、歯並びが悪くなる原因を取り除くことを目指します。第二期治療は、永久歯を直接動かす「歯列の調整」が中心で、美しい歯並びと正しい噛み合わせを完成させます。

すべてのお子さんが両方の治療を必要とするわけではなく、歯並びの状態によっては第一期治療だけで完了することもあります。一方で、第二期治療から始めるケースもあります。

小児矯正を始める最適なタイミングは、お子さんの歯並びの状態によって異なります。少しでも歯並びが気になったときには、まずは一度矯正歯科医に相談することをおすすめします。

専門医の診断を受けることで、お子さんに最適な治療方法や開始時期を見極めることができます。早めの相談が、将来の治療の選択肢を広げ、お子さんの健康や生活の質を守る第一歩となります。

お子さんの健やかな成長と美しい笑顔のために、適切な時期に適切な治療を選択していきましょう。

むらせ歯科茂原院では、お子さんの矯正治療について無料相談を実施しています。

お子さんの歯並びが気になる方、矯正治療について詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。経験豊富な専門医が、お子さん一人ひとりに最適な治療プランをご提案いたします。

患者さんの身体的・経済的負担を軽減するため、可能な限り第一期治療で矯正を完了させることを目指していますが、必要に応じて第二期治療も実施します。治療開始前には、お子さんと親御さんに十分な説明を行い、納得いただいた上で治療を進めています。

お子さんの未来の笑顔のために、今できることから始めてみませんか?

 

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