インプラントを長持ちさせるメンテナンス完全ガイド|頻度・費用相場・セルフケアと周囲炎予防
2026年01月25日
インプラント治療を受けた後、「これで一生安心」と思っていませんか?
実は、インプラントを長持ちさせるためには、治療後のメンテナンスが極めて重要です。適切なケアを怠ると、せっかく高額な費用をかけて埋め込んだインプラントが数年で使えなくなってしまうこともあります。
インプラントの平均寿命は約10〜15年とされていますが、メンテナンス次第で20年、30年と長く使い続けることも可能です。逆に、ケアを怠れば10年を待たずに問題が発生するリスクも高まります。
本記事では、インプラントを長持ちさせるために必要なメンテナンスの頻度、費用相場、セルフケアの方法、そして最も注意すべき「インプラント周囲炎」の予防法について、歯科医師の視点から詳しく解説します。
インプラントのメンテナンスが必要な理由

インプラントは人工物のため、虫歯にはなりません。
しかし、だからといって歯磨きやメンテナンスを怠ってよいわけではありません。インプラントを取り囲む歯茎や顎の骨は、患者さん自身の生身の組織です。これらの組織が健康でなければ、インプラントは長持ちしないのです。
インプラントを長持ちさせるため
インプラントの寿命は、定期的なメンテナンスやクリーニングを受けるかどうかによって大きく変わります。過去には最長40年インプラントを保てたという例もあるほど、メンテナンス次第で半永久的に使い続けられる可能性もあるのです。
入れ歯が3〜5年程度、ブリッジが7〜8年程度で寿命を迎えるのに対し、インプラントは適切なメンテナンスを行えば10〜15年、さらにはそれ以上の長期使用が可能です。この点からも、メンテナンスの重要性が理解できるでしょう。
インプラント周囲炎の予防のため
インプラント周囲炎は、インプラント特有の「歯周病」です。
インプラント周辺に歯垢や歯石が蓄積することにより歯周病菌が増殖し、一般的な歯周病よりも進行が早く、放置されると炎症はどんどん進行していき、顎の骨が破壊されてしまいます。その結果、インプラントを支えきれなくなり、最悪の場合インプラントがグラグラする、抜け落ちるなどの危険が高まります。
神経が通っていないインプラントは痛みも感じにくいことから早期発見が難しいとされています。そのため、定期的なメンテナンスを受けて予防・早期発見することが非常に重要なのです。
残っている健康な歯を維持するため
インプラント周囲炎になってしまうと、残っている自分の歯にも影響が出ます。歯周病は放っておくとお口全体に広がっていくからです。
メンテナンスではインプラント以外にも、残っている他の歯や歯茎などお口の状態をトータルでチェックするとともに、クリーニングや歯石の除去を行ってもらえます。つまり、メンテナンスによって残っている健康な歯を維持し、失うリスクを大幅に軽減することができるのです。
トラブル時に保証を受けられる可能性が高い
インプラント治療では、患者さんの治療後の不安や金銭的負担を軽減するために「保証制度」を設けている歯科医院がほとんどです。
この保証というのは、日常生活でインプラントが欠けたり割れたり、抜けたりした場合に、再治療の費用を無料または減額するというものです。ただし、この保証を受けるための条件として、「定期的なメンテナンスを受けていること」が求められています。つまり、メンテナンスを受けていない場合、保証を受けられない可能性が高いのです。
インプラントは自由診療でただでさえ高額な治療となります。保証が受けられないと金銭的負担も大きくなるため、万が一の不具合に備えてメンテナンスをしっかり受けておく必要があるでしょう。
出典高田歯科医院「インプラントのメンテナンス費用と寿命を延ばすメンテナンスの必要性」(2025年12月)より作成
インプラントのメンテナンス頻度と費用相場
では、実際にどのくらいの頻度でメンテナンスを受ければよいのでしょうか?
メンテナンスの頻度
インプラント治療後のメンテナンス頻度は、患者さんの口腔内の状態によって異なりますが、一般的には3〜6カ月に1回の通院が推奨されています。
治療直後は口腔内の状態が安定していないため、1〜2カ月に1回程度の頻度で通院し、経過観察を行うことが多いです。その後、状態が安定してくれば、3〜6カ月に1回のペースに移行します。
ただし、喫煙習慣がある方や歯周病のリスクが高い方、歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、より頻繁なメンテナンスが必要になる場合があります。
メンテナンスの費用相場
インプラントのメンテナンスは自由診療となるため、費用は歯科医院によって異なります。
一般的な費用相場は、1回あたり3,000〜5,000円程度です。高い場合でも、基本的には10,000円前後でおさまることが多いでしょう。メンテナンスの内容には、口腔内のチェック、クリーニング、レントゲン撮影、噛み合わせの確認などが含まれます。
年間で考えると、3カ月に1回のメンテナンスを受けた場合、年間12,000〜20,000円程度の費用がかかる計算になります。この費用を高いと感じるかもしれませんが、インプラントを長持ちさせ、再治療の高額な費用を避けるためには必要な投資と言えるでしょう。
出典高田歯科医院「インプラントのメンテナンス費用と寿命を延ばすメンテナンスの必要性」(2025年12月)より作成
インプラント周囲炎とは?症状と進行段階

インプラント周囲炎は、インプラント治療後に最も注意すべき病気です。
インプラント周囲炎の定義
インプラント周囲炎とは、インプラント治療後、インプラントの周りの歯茎や顎の骨に炎症が起きる病気です。インプラント周囲炎は歯周病の一種であり、お口の中にひそむ歯周病菌(カビ菌など)によって炎症がひき起こされます。
天然歯に起きる歯周病と同じメカニズムで発症しますが、インプラント周囲炎の進行速度は天然歯の歯周病に比べて約10〜20倍速いという特徴があります。これは、インプラントには天然歯のような「歯根膜」という刺激を受け取るクッションがないため、炎症が直接骨に伝わりやすいためです。
インプラント周囲炎の症状
インプラント周囲炎は自覚症状が出にくいため、早期発見が難しい病気です。進行度別に症状をまとめると、以下のようになります。
軽度の症状
- 歯磨きの時にたまに血が出るが、どこから血が出るか分からない
- インプラントを歯磨きするとたまに痛む
中度の症状
- 歯磨きをするとインプラントから血が出る
- インプラントの歯茎が腫れたような感じがする
- 食事の時にたまにインプラントで噛むと違和感がある
重度の症状
- インプラントを触るとグラグラする
- インプラントを触ると血と膿が出る
- インプラントで噛むと違和感や痛みがある
- 卵や玉ねぎが腐ったような強い口臭がする
- 歯茎が大きく下がりインプラントのアバットメントが露出する
もし少しでも当てはまる症状があれば、すぐに歯科医院に相談し検診を受けましょう。
インプラント周囲粘膜炎との違い
インプラント周囲粘膜炎は、歯肉炎がインプラントで起こっている状態を言います。インプラントの周りの歯茎が炎症を起こしており、歯茎が赤く腫れていることを指します。
歯茎のみ炎症し、顎の骨が溶けないのが特徴です。インプラント周囲炎の初期の状態でもあるので、このままだとインプラント周囲炎へと進行していきます。この段階で適切な処置を受けることが、インプラントを長持ちさせる鍵となります。
出典あわた歯科医院「『インプラント周囲炎』に注意!セルフケアと定期メンテナンスで予防」(2023年12月)より作成
インプラント周囲炎の原因
インプラント周囲炎を予防するためには、まず原因を理解することが大切です。
セルフケア・メンテナンス不足
インプラント周囲炎を発症する主な原因は、毎日のセルフケア(歯磨き+歯間清掃)不足、および歯科医院で受ける定期メンテナンスの不足です。
セルフケア・メンテナンスが不足すると口腔状態が不衛生になるほか、磨き残した歯垢によってお口の中で歯周病菌が増殖し、インプラントと歯茎の境目にある歯周ポケットの内部に歯周病菌が侵入しやすくなります。歯周ポケットに侵入した歯周病菌はポケットの内部で毒素を出し、歯茎や顎の骨の炎症をひき起こします。
生活習慣
喫煙習慣や歯ぎしりなどの生活習慣は、インプラント周囲炎のリスクを高めます。
喫煙すると血管の収縮が起こり、血管内に酸素が上手く運ばれなくなります。そうすると栄養が歯茎に届きにくくなってしまいます。また、身体の免疫能力も落としてしまうので、歯周病に感染した時に発症がしやすくなってしまうのです。
歯ぎしりもまた、歯周病を進行させます。歯ぎしりは自分の無意識で行っていることがほとんどで、無意識の力はとても強く、通常の食事の2〜3倍の力が加わります。普通の歯は、歯への刺激を受け取ってくれる「歯根膜」というものがありますが、インプラントにはこれがないので、直接刺激が顎の骨に伝わります。この刺激が炎症につながり、インプラント周囲炎を引き起こします。
糖尿病
糖尿病は、インプラント周囲炎のリスクを高める全身疾患の一つです。
糖尿病により血糖値が高い状態が続くと、身体の免疫機能が低下し、感染症にかかりやすくなります。また、傷の治りも遅くなるため、インプラント周囲炎が発症しやすく、進行も早くなる傾向があります。糖尿病の方は、血糖値のコントロールとともに、より頻繁なメンテナンスが必要になります。
出典ヴェリタスインプラントサロン横浜「インプラント周囲炎とは?原因や治療法・セルフケアの仕方を紹介」より作成
インプラントを長持ちさせるセルフケアの方法

インプラントを長持ちさせるためには、毎日のセルフケアが欠かせません。
毎日の歯磨きをしっかりと行う
インプラント治療を行い人工歯根を埋め込んだ後には、歯の部分にあたる上部構造が人工物となりますので、虫歯になることはありません。しかし、インプラント治療後に歯磨きを怠ってしまうとお口の中の歯垢(プラーク)が増えることで歯が汚れ、不衛生な状態となってしまいます。
インプラントも天然の歯と同じように汚れがつくので、インプラント治療後には天然の歯と同じように「毎日の歯磨きをしっかりと行うこと」が最も大切なセルフケアのポイントとなります。
「正しい磨き方」で歯を磨く
インプラント治療後のセルフケアで最も大切な「毎日の歯磨き」ですが、歯磨きを行う際には正しい磨き方で歯を磨くことが重要です。
歯ブラシの毛先を使い細かく歯ブラシを振動させて磨く
インプラント治療後に行う歯磨きの方法としては、歯磨きをする時に歯ブラシの毛先の部分を優しく歯の表面にあてながら、細かく歯ブラシを振動させて磨くようにする方法がおすすめです。これは、通常の歯磨きの際にも基本となる磨き方ですが、インプラント治療後にも同様に清掃効果の高い磨き方となります。
歯ブラシは「親指・人差し指・中指」で持つようにする
歯ブラシを持つ時には、親指・人差し指、そして中指の3本の指でペンを軽く持つようにすることで、小刻みに歯ブラシを動かしやすくなります。3本の指で歯ブラシを持つ方法は歯磨きの際に必要以上に力が入りすぎるのを防ぐことができ、歯と歯茎の境目など、細かい部分も磨きやすくなる優れた方法の一つです。
歯を磨く時には「順番を決めて」磨く
プラークの取り残しを防ぐため、歯を磨く時には「順番を決めて」磨くことをおすすめします。歯を磨く順番は患者さんによってそれぞれ異なりますが、磨き残しを防ぐためには上あごの歯の裏側を磨く時に「ぐるっと一周して裏側だけを磨く」ようにする方法がおすすめです。同様にして歯のかみ合わせの部分や歯の表側も一周させ、その部分だけを磨くことで、磨き残しが出にくくなります。
デンタルフロスや歯間ブラシを使う
歯と歯のすき間にある汚れを落とすには、歯ブラシを使って行う歯磨きだけでは不十分です。
歯と歯のすき間に溜まったプラークや食べカスは、デンタルフロスや歯間ブラシを使うことで効果的に汚れを落とすことができます。特にインプラントと天然歯の間、インプラント同士の間は汚れが溜まりやすいため、丁寧にケアすることが大切です。
歯磨き粉を使う場合は「細かい粒子」の物を選ぶ
インプラント治療後に行う歯磨きの時に、粒の粗い「つぶつぶタイプ」などの歯磨き粉を使ってしまうと歯磨き粉の粒子が埋め入れたインプラントと歯茎の間に入り込み、炎症を起こしてしまう恐れがあります。
そのためインプラント治療後に行う歯磨きでは粒子が細かい歯磨き粉を使うようにするか、デンタルリンスなどの洗口剤を利用して歯磨きを行いましょう。なお、歯磨き粉や洗口剤は必ずしも歯磨きの際には必要な物ではありませんので、何も使わずに水で歯ブラシを濡らして歯磨きをするのもおすすめの方法です。
外出先でも常に歯を磨くようにする
外出先や勤務先などでおやつや食事を食べた後には、必ず歯を磨くようにしましょう。
毎食後に歯磨き+歯間清掃をするのがベストですが、時間が取れない・忙しい場合は寝る前の歯磨き+歯間清掃だけはしっかり行うようにしましょう。就寝中は唾液の分泌が減少し、細菌が繁殖しやすい環境になるため、寝る前のケアは特に重要です。
出典あいデンタルクリニック「インプラント歯周炎を防ぐ!-セルフケア7つのポイント」より作成
歯科医院で受けるメンテナンスの内容
セルフケアだけでは限界があります。
歯科医院で受ける定期メンテナンスは、インプラントを長持ちさせるために欠かせません。
口腔内のチェック
メンテナンスでは、まずインプラントの状態や周辺組織のチェックを行います。インプラントがしっかり固定されているか、歯茎に炎症がないか、噛み合わせに問題がないかなどを確認します。
また、残っている天然歯の状態もチェックし、虫歯や歯周病の早期発見に努めます。お口全体の健康状態を把握することで、トラブルを未然に防ぐことができます。
プロフェッショナルクリーニング
歯科衛生士によるプロフェッショナルクリーニングでは、セルフケアでは取り除けない歯石や頑固な汚れを専用の器具を使って除去します。
インプラント周辺は特に丁寧にクリーニングし、歯周ポケット内部の清掃も行います。この処置により、インプラント周囲炎のリスクを大幅に軽減することができます。
レントゲン撮影
定期的にレントゲン撮影を行い、インプラントを支える顎の骨の状態を確認します。
骨の吸収が進んでいないか、インプラント周囲炎の兆候がないかなど、目視では確認できない部分をチェックします。早期に問題を発見することで、適切な対応が可能になります。
噛み合わせの調整
噛み合わせのバランスが崩れると、インプラントに過度な負担がかかり、周囲の骨や歯茎にダメージを与える可能性があります。
メンテナンスでは噛み合わせの状態を確認し、必要に応じて調整を行います。特に歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、マウスピースの作成を提案されることもあります。
ブラッシング指導
患者さん一人ひとりの口腔内の状態に合わせて、効果的なブラッシング方法を指導します。
磨き残しが多い部分や、改善すべきポイントを具体的にアドバイスすることで、セルフケアの質を高めることができます。インプラント周辺の清掃方法や、デンタルフロス・歯間ブラシの使い方なども丁寧に説明します。
むらせ歯科茂原院のインプラントメンテナンスシステム

当院では、科学的根拠に基づいたオリジナルのメンテナンスシステムを導入しています。
患者さんオリジナルのメンテナンスプログラム
患者さんごとにカスタマイズしたメンテナンスプログラムを作成し、口の状態やインプラントの管理を徹底して守っています。
患者さんの口腔内の状態、生活習慣、全身の健康状態などを総合的に評価し、最適なメンテナンス頻度や内容を提案します。喫煙習慣がある方や糖尿病の方など、リスクが高い方にはより頻繁なメンテナンスを推奨しています。
インプラント周囲炎の予防と管理
インプラント周囲炎は、天然歯の歯周病と同様の病気ですが、進行が10〜20倍速いという特徴があります。
当院では、この危険性を十分に理解した上で、予防に力を入れています。定期的なメンテナンスにより、インプラント周囲炎の早期発見・早期治療を実現し、患者さんのインプラントを長期的に守ります。
安心の10年保証システム「ガイドデント」
当院では10年の保証期間を設けています。
さらに、当院はインプラント第三者保証機関「ガイドデント」に認定されているので、一般的には保証対象にならないケースでも保証できます。偶発的な事故(交通事故など)も保証の対象となり、引っ越しした場合でも全国の認定医院で同じ条件で保証を受けることができるのが特徴です。
ただし、この保証を受けるためには、定期的なメンテナンスを受けていることが条件となります。
まとめ
インプラントを長持ちさせるためには、治療後のメンテナンスが極めて重要です。
定期的な歯科医院でのメンテナンスと、毎日のセルフケアを継続することで、インプラントの寿命を大幅に延ばすことができます。メンテナンスの費用は1回あたり3,000〜5,000円程度、頻度は3〜6カ月に1回が一般的です。この投資により、高額な再治療を避け、インプラントを20年、30年と長く使い続けることも可能になります。
特に注意すべきは、進行が早い「インプラント周囲炎」です。セルフケア不足や喫煙習慣、歯ぎしりなどがリスク要因となります。毎日の正しい歯磨き、デンタルフロスや歯間ブラシの使用、定期的なメンテナンスにより、インプラント周囲炎を予防することができます。
当院では、患者さん一人ひとりに合わせたメンテナンスプログラムを提供し、インプラントを長期的に守るサポートを行っています。インプラント治療を受けた方、これから受ける予定の方は、ぜひ定期的なメンテナンスの重要性を理解し、実践していただきたいと思います。
インプラントは適切なケアにより、一生涯使い続けることも夢ではありません。あなたの大切なインプラントを守るために、今日から正しいメンテナンスを始めましょう。






