子どもの歯が欠けた・ぶつけたときの応急処置と受診の目安
2026年04月28日
「転んで前歯が欠けた!」「ボールが顔に当たって歯がグラグラしている…」
そんな緊急事態に、保護者の方はどう対応すればよいのでしょうか。
子どもの歯のトラブルは、突然やってきます。遊んでいる最中、スポーツ中、ちょっとした転倒…。いざというときに正しく動けるかどうかが、歯の予後を大きく左右します。
私自身も中学生のころに歯列矯正を受け、歯の大切さを身をもって知っています。そして今は一児の母として、また矯正歯科専門医として、子どもの歯を守るための情報をお伝えしたいと思います。この記事では、乳歯・永久歯それぞれの応急処置の方法と、すぐに受診すべきケースを詳しく解説します。
まず確認すること〜状況把握が最初のステップ

焦る気持ちはよくわかります。でも、まず深呼吸してください。
お子さんが歯をぶつけたり欠けたりした場合、最初にすべきことは「状況の正確な把握」です。むやみに触ったり、欠けた歯を捨てたりしてしまうと、後の治療の選択肢が狭まることがあります。
確認すべき項目
- 歯が欠けたのか、それとも抜けたのか
- 欠けた・抜けた歯の有無(破片が残っているか)
- 痛みの有無と強さ
- 出血の有無
- 歯がグラグラしていないか(動揺度)
- 唇・顔面・口の中の粘膜に傷がないか
これらをひとつひとつ確認することで、次に取るべき行動が見えてきます。
特に注意してほしいのは、「痛みがないから大丈夫」と判断しないことです。歯のエナメル質だけが欠けた場合、神経に近くなくても痛みを感じにくいことがあります。また、神経が死んでいる場合も痛みを感じません。痛みがなくても、歯科医院への受診は必要です。
欠けた歯・抜けた歯は捨てないで
これは絶対に覚えておいてください。
欠けた歯や抜けた歯は、状態によっては元の位置に戻せる可能性があります。特に永久歯が完全に抜けてしまった場合(「脱臼」といいます)は、適切に保管して早急に歯科を受診することで、再植できるケースがあります。欠けた破片も、レジンで補う際に使用できる場合があります。
絶対に捨てないこと。これが鉄則です。
歯が欠けた・抜けたときの応急処置〜正しい保管方法
欠けた歯や抜けた歯を見つけたら、次の手順で保管してください。
正しい保管方法
- 牛乳に浸して保管する…牛乳は歯の細胞に近い浸透圧を持ち、歯根の細胞を生かしておくのに適しています。
- 生理食塩水に浸す…牛乳と同様に細胞を保護します。薬局で購入できます。
- 口の中に含む…牛乳も生理食塩水も手元にない場合の緊急手段です。唾液も歯の細胞を保護する効果があります。ただし、小さいお子さんが誤飲しないよう注意が必要です。
やってはいけないこと
- 水道水で洗う…水道水は浸透圧が低く、歯根の細胞を傷めます。
- ゴシゴシこすって洗う…歯根に付着している「歯根膜」という細胞が死んでしまい、再植が難しくなります。
- 乾燥させる…乾燥すると細胞が死滅します。必ず何かに浸しておきましょう。
- ティッシュや布で包む…乾燥してしまいます。
砂などの汚れがついている場合は、水でそっと軽く流す程度にとどめてください。こすらず、優しく扱うことが大切です。
口や唇の出血への対処
口の中や唇から出血がある場合は、清潔なガーゼや布で優しく押さえてください。傷口を直接強くこすることは避けましょう。水で軽く洗い流すことで細菌感染のリスクを下げられます。
出血がなかなか止まらない場合や、傷が深い場合は、歯科だけでなく外科的な処置が必要なこともあります。状況に応じて救急外来への受診も検討してください。
乳歯と永久歯〜それぞれの対処法の違い

乳歯と永久歯では、対処の考え方が異なります。
この違いを知っておくことは、保護者として非常に重要です。
乳歯が欠けた・抜けた場合
乳歯は、いずれ永久歯に生え変わります。そのため、永久歯と比べると対処の優先度が少し異なります。
ただし、乳歯の根の下には永久歯の「歯胚(しはい)」があります。乳歯の外傷が永久歯の発育に影響を与える可能性があるため、「乳歯だから大丈夫」と軽く考えないことが大切です。
- 乳歯が完全に抜けた場合…乳歯の再植は一般的に行わないことが多いです。再植することで永久歯の歯胚を傷つけるリスクがあるためです。ただし、歯科医師が状況を判断しますので、必ず受診してください。
- 乳歯が欠けた場合…欠けた破片を保管しつつ、歯科を受診してください。欠けた部分の大きさや神経への影響を確認する必要があります。
- 乳歯がグラグラしている場合…自然に生え変わる時期であれば様子を見ることもありますが、外傷によるグラつきは別です。必ず受診して確認してもらいましょう。
永久歯が欠けた・抜けた場合
永久歯の外傷は、より緊急性が高いと考えてください。
永久歯は一度失うと二度と生えてきません。特に「完全脱臼」(歯が完全に抜けた状態)の場合、歯を元の位置に戻せるかどうかは時間との勝負です。
- 永久歯が完全に抜けた場合…前述の方法で保管し、できるだけ早く(理想は30分以内)歯科を受診してください。時間が経つほど再植の成功率が下がります。
- 永久歯が欠けた場合…欠けた大きさによって治療法が異なります。小さな欠けであればレジン充填(歯科用プラスチックで補う方法)で対応できます。大きく欠けた場合は被せ物が必要になることもあります。
- 永久歯が折れた・割れた場合…根元まで割れている場合は抜歯になることもあります。状態によって治療法が大きく変わるため、早急な受診が必要です。
すぐに受診すべきケース〜緊急度の見極め方
「今すぐ病院に行くべき?」「明日でも大丈夫?」
迷う保護者の方は多いと思います。以下を参考にしてください。
今すぐ受診が必要なケース
- 永久歯が完全に抜けた(時間が命取りになります)
- 歯がグラグラと大きく揺れている
- 強い痛みが続いている
- 出血が止まらない
- 顔面・顎に強い衝撃を受けた
- 歯が大きく欠けて神経が露出している可能性がある(歯の断面が赤みがかっている、ピンク色に見える場合)
- 意識がぼんやりしている、嘔吐がある(頭部への衝撃が疑われる場合は救急外来へ)
翌日以降でも対応可能なケース(ただし早めに受診を)
- 歯がごく小さく欠けた(痛みなし、出血なし)
- 食事中に歯が欠けた(痛みや違和感が軽い場合)
- 詰め物が外れた
痛みがなくても、欠けた部分から虫歯菌が侵入するリスクがあります。また、鋭利になった歯の断面が口の粘膜を傷つけることもあります。「痛くないから大丈夫」は禁物です。必ず歯科を受診してください。
受診前に電話で状況を伝えておくと安心
歯科医院に向かう前に、電話で現在の状況を伝えておくことをおすすめします。
「永久歯が抜けた」「歯が大きく欠けた」などの緊急性の高いケースでは、受診前に連絡することで、歯科医院側も準備を整えて待ってくれます。スムーズに治療を開始できるため、歯の予後にも良い影響があります。
歯科での治療法〜欠け方・状態別の対応

歯科を受診した後、どのような治療が行われるのでしょうか。
欠け方や状態によって治療法は異なります。代表的なものをご紹介します。
歯が小さく欠けた場合〜レジン充填
「レジン充填」とは、歯科用プラスチック(コンポジットレジン)を使って欠けた部分を補う方法です。
比較的小さな欠けであれば、当日に処置できることもあります。ただし、場所によっては目立ちやすく、長期的な耐久性はセラミックなどの素材に比べると劣ることがあります。
中程度以上の欠けの場合〜被せ物
欠けが大きい場合は、被せ物(クラウン)による治療が必要になります。
保険適用の場合は金属や歯科用プラスチック、自由診療ではセラミックなどの素材が選択できます。審美性や耐久性を重視する場合は、担当の歯科医師と相談しながら選びましょう。
神経に影響がある場合〜抜髄
「抜髄(ばつずい)」とは、歯の神経を取り除く処置のことです。
強い痛みがある場合や、歯の神経に異常が生じている場合に行われます。抜髄後は歯の土台を作り、被せ物を装着します。
歯が完全に抜けた場合〜再植
抜けた歯を元の位置に戻し、固定する処置です。
接着剤やワイヤーを使って歯槽骨に固定します。再植後も定期的な経過観察が必要です。時間が経つほど成功率が下がるため、できるだけ早い受診が重要です。
根元まで割れた場合〜抜歯
歯が根元から割れている場合、歯を保存することが難しく、抜歯になることがあります。
状態が良ければ残った歯根を土台として被せ物を装着できる場合もありますが、抜歯後は入れ歯やインプラントなどの補綴治療が必要になります。
日頃からできる予防と備え〜いざというときのために
「備えあれば憂いなし」という言葉があります。
子どもの歯の外傷は、完全に防ぐことはできません。でも、日頃からの備えで被害を最小限にすることはできます。
スポーツ時のマウスガード活用
スポーツ中の歯の外傷を防ぐために、マウスガードの使用が有効です。
サッカー、バスケットボール、ラグビー、格闘技など、接触の多いスポーツでは特におすすめです。歯科医院でオーダーメイドのマウスガードを作製することもできます。市販品より歯にフィットし、保護効果が高くなります。
保存液の常備
歯の保存に適した専用の保存液が市販されています。
「歯の保存液」として薬局で購入できます。スポーツをするお子さんがいるご家庭や、活発に動き回るお子さんがいるご家庭では、救急箱に入れておくと安心です。
かかりつけ歯科医を持つことの大切さ
緊急時に「どこに行けばいいかわからない」という状況を避けるためにも、日頃からかかりつけの歯科医院を持っておくことが大切です。
定期的に通院していれば、お子さんの歯の状態を把握してもらえます。緊急時にも「いつもの先生に診てもらえる」という安心感があります。また、定期検診を通じて虫歯の早期発見・予防もできます。
外傷後の経過観察も忘れずに
歯の外傷は、治療後も経過観察が必要です。
外傷を受けた歯は、数ヶ月〜数年後に歯の色が変わったり(歯髄壊死のサイン)、根が吸収されたりすることがあります。定期的に歯科でレントゲン撮影を行い、経過を確認することが大切です。「治療が終わったから安心」ではなく、継続的なフォローアップが歯を守ることにつながります。
ライフガーデン茂原歯科〜子どもの歯を守るパートナー

千葉県茂原市にあるライフガーデン茂原歯科は、小児歯科に特化した診療体制を整えています。
「子どもを歯医者嫌いにさせない」ことを軸に、単なる治療にとどまらない体験設計が特徴です。
いきなり治療しない〜慣れのプロセスを大切に
同院では、初めて来院したお子さんにいきなり治療を行いません。
まずは診療台に座ること、器具を見て触れること、スタッフとお話しすることから始めます。小児期に「歯医者=怖い場所」というイメージを持つと、大人になっても歯科受診を避けるようになりがちです。その悪循環を断ち切るための丁寧なアプローチです。
多層的な痛み対策
痛みへの配慮も徹底しています。
- 表面麻酔による前処置で注射の痛みを軽減
- 極細針の使用
- 電動麻酔による一定圧での注入
- 痛点を避ける臨床判断
技術・機器・経験を組み合わせた多層的なアプローチで、お子さんの負担を最小限に抑えます。
保育士常駐のキッズルームで保護者も安心
院内には保育士が常駐するキッズルームがあります。
小さな兄弟を連れてきても安心して預けられます。治療後にはプレゼントもあり、「歯医者に行くのが楽しみ」と感じてもらえる工夫がされています。
予防型矯正とマタニティ歯科
小児矯正では「歯並びを治す」のではなく「悪くなる原因を防ぐ」予防型のアプローチを採用しています。
顎の成長をサポートし、将来の本格矯正の回避・軽減につなげます。また、マタニティ歯科では妊娠期からの口腔管理を行い、赤ちゃんへの虫歯菌の感染予防も支援しています。
アクセス・診療情報
- 所在地…千葉県茂原市
- アクセス…茂原駅より徒歩10分
- 診療日…土日も診療対応
- バリアフリー…車椅子・ベビーカーでの来院も可能
- 診療科目…小児歯科、予防歯科、矯正歯科、一般歯科、ホワイトニング、インプラント、口腔外科、訪問歯科
詳細な診療内容や料金については、公式サイトまたはお電話にてご確認ください。
まとめ〜子どもの歯を守るために今日からできること
子どもの歯が欠けた・ぶつけたときの対応を、改めて整理します。
- まず状況を正確に把握する(欠けたのか抜けたのか、出血・痛みの有無)
- 欠けた歯・抜けた歯は捨てない(牛乳や生理食塩水で保管)
- 水道水でゴシゴシ洗わない(歯根膜を傷めます)
- 永久歯の完全脱臼は時間との勝負(できるだけ早く受診)
- 痛みがなくても受診する(虫歯リスク・粘膜損傷の可能性)
- 受診前に電話で状況を伝える(スムーズな治療につながります)
- 外傷後も定期的な経過観察を続ける
「歯の外傷は初動が肝心。正しい応急処置と早期受診が、子どもの歯を守る最大の武器です。」
日頃からかかりつけの歯科医院を持ち、定期的に通院することが、緊急時の対応力を高めます。スポーツをするお子さんにはマウスガードの活用も検討してみてください。
歯並びのお悩みや、子どもの歯について気になることがあれば、ぜひ一度ご相談ください。笑顔を素敵にするお手伝いができれば、それ以上の喜びはありません。
千葉県茂原市でお子さんの歯のことでお悩みの方は、ライフガーデン茂原歯科へお気軽にご相談ください。土日も診療しており、保育士常駐のキッズルームで保護者の方も安心して通院いただけます。まずはお電話またはWebからご予約ください。






