子どもの食事と歯並びの関係|噛む力を育てる習慣で不正咬合を予防
2026年01月29日
子どもの食事と歯並びの関係|噛む力を育てる習慣で不正咬合を予防

子どもの歯並びは食事習慣で決まる
お子さんの歯並びが気になっている親御さんは少なくありません。
実は、歯並びの良し悪しは遺伝だけで決まるわけではないのです。日常の食事習慣や噛み方が、お子さんの歯並びに大きな影響を与えています。不正咬合の原因のうち、遺伝的な要素は全体の3割程度にすぎず、残りの7割は日常生活における習慣などの後天的な要因とされています。
特に上顎の骨は6歳までに約80%成長するといわれており、この時期の食事習慣が将来の歯並びを左右するのです。現代の食生活では柔らかい食べ物が増え、噛む回数が減少しています。その結果、顎が十分に発達せず、歯が並ぶスペースが不足して不正咬合になりやすくなっています。
噛む力が育つメカニズムとは
噛むという行為は、単に食べ物を砕くだけではありません。
お口周りの筋肉を使うことによって、歯がキレイに並ぶための顎の骨を育てることができます。硬い食べ物を食べる時は顎の上下運動を行うだけでなく、奥歯を横に動かして食べ物をすりつぶし、舌や喉の筋肉を使って飲み込みます。この一連の動作が、顎の成長を促すのです。
一方、柔らかい食べ物ばかりを食べていると、顎の上下運動のみで食べ物を噛み砕くことができてしまいます。そのため、咀嚼や嚥下に必要な筋肉が発達せず、顎の成長も進まなくなります。顎の成長が不十分だと、永久歯が並ぶスペースが不足して、歯が重なり合ったり、傾いて生えたりする「叢生(そうせい)」になる可能性が高まります。

口腔周囲筋の重要性
歯並びが悪くなる原因は「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全です。
普段何もしていない時に、舌が常に歯に触れている状態を「舌癖」といいます。つまり、常に歯に対して一定の力が与えられている状態です。こんな小さな力でも、長期間続くと歯並びは崩れてしまいます。舌先は上の前歯のつけねの少し手前あたりに当たっている状態が正しい位置です。
また、口呼吸も歯並びに悪影響を及ぼします。口呼吸をしていると舌が適切な位置からずれるため、唇や頬から歯にかかる力のバランスが崩れて歯並びが悪くなる原因になります。舌は上顎に密着した状態が正しい位置ですが、口呼吸の場合は舌が下がり、内側から歯を押す力が弱まります。
食事中の姿勢も影響する
食事のときの姿勢は噛む力と密接な関係があります。
足がブラブラしたままで食事をしているとしっかりと噛むことができません。「噛む」ことは顎の発達を促すためにとても大切なので、十分に噛めないことで顎の発育が悪くなる可能性があるのです。顎が小さいために歯が並ぶスペースが不足すると、行き場をなくした歯が傾いて生えるなど、歯並びが悪化するリスクが高まります。
また、背筋が左右どちらかに傾いた状態で食べていると片側の歯ばかりで噛むため、よく使う側の顎が、あまり使わない側の顎よりも発達します。その結果、顎のバランスが崩れ、噛み合わせが悪化するリスクが高まります。
歯並びに良い食べ物と食事の工夫
歯並びに良い影響を与える食べ物として、食感と栄養素の2つのポイントがあります。
よく噛んで食べる必要のあるもの
玄米ご飯や麦ごはん、根菜類や果物、線維性の葉物や豆類など、よく噛んで食べるメニューを積極的にお食事に取り入れましょう。
これらの食材は、噛む回数を自然と増やし、お口周りの筋肉を使うことによって、歯がキレイに並ぶための顎の骨を育てることができます。また、汁ものは水分が多すぎると、具を流し込んで飲むことがクセになりやすいので注意が必要です。具だくさんにして汁気を少なめによそえば、自然に噛む回数も増やせます。

お食事で積極的に摂りたい栄養素
カルシウムは歯の構成成分で、強い歯を作るには必須の栄養素です。
また、虫歯に対抗する「再石灰化」というはたらきを促す作用もあります。乳製品(ヨーグルト、チーズ等)、小魚、大豆、ゴマ、ひじき、卵などに豊富に含まれています。カルシウムを吸収するにはビタミンDが必要です。不足している状態だと、せっかくカルシウムを摂っても体に吸収されないことになるので、カルシウムと合わせて摂りましょう。
ビタミンDは魚類(鮭、イワシ、しらす、ぶり等)、きのこ類(干しシイタケ、マイタケ、エリンギ等)、卵、キクラゲなどに含まれています。また、ビタミンDはアレルギー症状を抑えるはたらきもあります。アレルギー性鼻炎による口呼吸を予防することで、お口周りの成長を促すことができます。
注意が必要な食べ物と食習慣
糖分の多い食品
乳歯の虫歯は進行が速く、治療開始が遅れてしまうとその後の歯並びにも悪影響を及ぼしてしまいます。
ですので、虫歯菌のエサとなる「糖分」の摂り方に気を付けることが重要です。甘いお菓子の中でも、チョコレートやクッキー、ソフトキャンディーなどは歯に付着しやすいため、特に注意が必要です。食べた後は歯磨きをして、食べかすがいつまでもお口に残らないようにしましょう。
酸性の強い飲み物
歯は酸に弱いため、酸性の強い飲み物をダラダラと飲んでしまうことで虫歯になりやすいお口になってしまいます。
特に、夏場になるとスポーツドリンクやジュースなどを飲む機会も増えるかと思います。おやつとして摂る場合は良いのですが、これらは酸性度が強いだけでなく糖分も含まれているため、水分補給目的としての使用はさけましょう。夏場の水分補給も、お水かお茶がベストです。
柔らかいものに偏った食事
柔らかい食べ物ばかりを食べていたり、よく噛まずに飲み込む癖があったりすると、口周りの筋肉が十分に発達しません。
その結果、顎の成長が妨げられ、歯並びに悪影響を及ぼします。現代の食生活の変化により、柔らかい食べ物を好む傾向が強まりました。その結果、顎を十分に使わなくなり、顎が小さく成長することで歯が並びきらず、不正咬合が発生しやすくなっています。

食卓での正しい姿勢をつくる対策
整った歯並びを目指すために意識したい、食卓での姿勢。ポイントは、足をつけて踏ん張れるようにすること、そして、背筋をまっすぐにキープすることです。
子どもの足元はこまめにチェックしよう
背の低い子どもを大人用のイスに座らせると足が地面につきません。
適切な高さの足置き台を用意するか、子ども用のステップ付きのイスに座らせ足元を安定させましょう。また、子どもの成長は早いので「いつの間にか足置き台やステップの高さが合わなくなっていた」ということも。定期的にチェックし、ぴったりの高さになるよう調整することも大切です。
食事中のテレビには気をつけて
食事中にテレビをつけっぱなしにしていると、子どもがテレビに気を取られ、背筋が傾いてしまうことがあります。
横を向いたまま食べ続ける、食事中にしょっちゅう後ろを振り返っている、といった場合、正面を向いて食べられるよう環境設定が必要です。よく噛むことを意識するためにも食事中はテレビを消しておくのが理想ですが、どうしても見せたい場合は、テレビの位置と座る場所を工夫しましょう。
テーブルの高さと距離にも気配りを
テーブルが高すぎたりテーブルまでの距離が遠かったりすると、食べにくさをカバーしようと不自然な姿勢になり、背筋が傾いてしまいます。
テーブルの高さは、ひじが机の上に無理なくのせられる程度が目安です。子どもの座高は低いため、大人と同じイスを使う場合は、クッションなどで座る部分の高さを上げると良いでしょう。また、テーブルと身体の間は、握りこぶし1個分が入る程度の距離をあけます。一人でイスに座れる年齢のお子さんの場合も子ども任せにはせず、大人が確認してあげましょう。

年齢に応じた歯並び予防のアプローチ
お子さんの年齢によって、歯並び予防のアプローチは異なります。
0歳~2歳の時期
歯並びはお口だけの問題ではなく、座り方、姿勢、抱っこの仕方が原因で悪くなってしまうことがあります。
この時期は、親御さんと一緒にお子さんの正しい「姿勢」を獲得する訓練を行います。乳房(母乳)哺育を心がけることも大切です。哺乳ビンを使用する場合は、噛むタイプの乳首を利用することで、お口周りの筋肉の発達を促すことができます。
3歳~5歳の時期
この時期から、より積極的な予防が可能になります。
外遊びや身体を動かし、よく歩かせることで食欲増進につながります。また、噛まないとのみこめないメニュー(和食中心)にすることで、自然と噛む回数を増やすことができます。踏み台つきのイスを用意し、ひとくち30回を心がけることも効果的です。
6歳~9歳の時期
永久歯が生え始めるこの時期は、歯並び予防において特に重要な時期です。
大きな声を出しながら全身運動になるような遊びをすることで、下あごが動き、過蓋咬合の予防になります。例えば、だるまさんがころんだ、鬼ごっこ、潮干狩り、海遊びなど、家族でアウトドアで休日を過ごすと大きな声を出し、身体を動かしてお腹が空くので、歯並び対策になります。
むらせ歯科の小児矯正アプローチ
食事習慣の改善だけでは不十分な場合、専門的な矯正治療が必要になることがあります。
むらせ歯科では、子供の矯正治療を2段階(I期治療とII期治療)で提供しています。I期治療では歯並びが悪くなる原因である「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全に着目し、歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)を使用して改善します。この装置は歯を直接動かすのではなく、悪い歯並びになる原因をオリジナル装置やトレーニングで改善する方法です。
年齢に応じた治療アプローチ
0〜2歳では姿勢の訓練を行います。
3〜5歳ではインファントという取り外し可能なマウスピース型装置を1日2回10〜20分使用します。6〜9歳ではマイオブレーストレーナーという装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。家庭でのトレーニング継続が重要で、専任スタッフの指導とオリジナルアプリケーションによる支援があります。
患者様の負担を抑える治療方針
むらせ歯科では「歯並びを創造」することと同時に「患者様の肉体的負担・経済的負担を抑える」ことを重視しています。
そのため、可能な限りI期治療で完了するよう治療を進めています。I期治療後も必要に応じてII期治療を行い、歯並びの仕上げを行います。矯正治療の費用は症状や治療内容によって異なりますが、約22〜110万円(税込)かかります。
まとめ|今日から始める歯並び予防
子どもの歯並びは、遺伝だけでなく日々の食事習慣や噛み方によって大きく左右されます。
よく噛んで食べる必要のある食材を取り入れ、カルシウムやビタミンDなどの栄養素を積極的に摂ることで、健康な歯と顎の発達を促すことができます。また、食事中の正しい姿勢を保つことも重要です。足をしっかりつけて踏ん張れるようにし、背筋をまっすぐにキープすることで、バランスよく噛む習慣が身につきます。
すでに歯並びが気になる場合は、早めに矯正歯科を受診することをおすすめします。大人の歯(前歯)が生えてきたら、治療するしないにかかわらず一度ご相談にお越しください。プロの目で診断することで、今後どのように歯が動いていくのかを予測でき、治療が必要になるか否か、治療開始時期はいつ頃がいいかなどをお話しさせて頂きます。
お子さんの健やかな成長と美しい歯並びのために、今日から食事習慣を見直してみませんか?






