歯列矯正の痛みはいつまで続く?痛みを減らすコツと受診の目安(セルフケア付き)
2026年01月24日
歯列矯正の痛み、本当のところは?
「矯正治療って、やっぱり痛いんですよね……」
カウンセリングでこの質問をいただくたびに、患者さんの不安な表情が目に浮かびます。歯列矯正を検討している方の多くが、痛みへの恐怖心から治療をためらっているのが現状です。実際、インターネットや友人から「矯正は痛い」という情報を耳にすると、一歩踏み出すのが怖くなってしまいますよね。
しかし、ここで知っておいていただきたいことがあります。現代の矯正治療は、技術の進歩により痛みのコントロールが格段に向上しているということです。確かに痛みがゼロというわけではありませんが、「耐えられないほどの痛み」が続くことはほとんどありません。
東京歯科大学での臨床経験を通じて、私は数多くの患者さんの矯正治療に携わってきました。その経験から言えるのは、痛みの感じ方には個人差があり、適切な対処法を知っていれば快適に治療を続けられるということです。この記事では、矯正治療における痛みのメカニズムから具体的な対処法まで、詳しくお伝えしていきます。
矯正治療で痛みを感じる3つのタイミング
矯正治療中の痛みは、主に3つのタイミングで現れます。それぞれのタイミングで痛みの性質や強さが異なりますので、順番に見ていきましょう。
装置を初めて装着したとき
最も痛みを感じやすいのは、矯正装置を初めて装着した直後です。これまで動かなかった歯に、初めて矯正力が加わる瞬間だからです。
矯正力は20〜100グラム程度の非常に弱い力を持続的にかけます……これは1円玉20〜100枚程度の重さということです。決して強い力ではないのですが、多くの方が「歯が浮くような感覚」や「噛むとジンと響くような痛み」を経験します。これは、歯が動き始めるときに歯の周りの組織が反応しているためです。
痛みのピークは装着から1〜2日目で、多くの方は4〜6時間後あたりから違和感が出始めます。その後は徐々に落ち着き、3日ほどでふだん通りの食事ができるようになる方がほとんどです。初めての経験で不安になる方も多いのですが、これは歯が正常に動いている証拠でもあります。
ワイヤー調整・マウスピース交換のとき
ワイヤー矯正では月に1回程度の調整があります。
ワイヤーを曲げて矯正力を付与すると、3〜4日でその力が消費されていきます。装置による痛みのピークもそれくらいの時期にやってくるため、残りの期間は比較的安静に過ごすことが可能です。厳密には10〜14日くらいまで痛みや違和感が残るものの、不快症状に悩まされるのはワイヤー調整後の数日間に限られます。
マウスピース矯正の場合は、新しいマウスピースに交換するたびに軽い痛みや違和感が出ることがあります。ただし、最初の装着時のように強く痛むことは少なく、「またちょっと来たな」くらいの感覚で済む方が大半です。マウスピース矯正は段階的に歯を動かしていくため、一度に加わる力が比較的小さく、痛みもマイルドになる傾向があります。
食事をするとき
矯正治療中は食事のときに痛みを感じることも多いです。
歯に対して常に圧力がかかっている状態であり、炎症反応が生じています。歯の根の周りに存在している「歯根膜」というセンサーも普段より敏感になっているのです。歯根膜は普段、食べ物の硬さなどを感知して噛む力を精密にコントロールしてくれていますが、矯正装置による圧力で外からの刺激に敏感となっており、少し噛むだけでも強い痛みが生じます。
特に硬いものや弾力のあるものを噛むときに痛みが強くなります。そのため、矯正治療中は食事の内容を工夫することが大切になってきます。
痛みはいつまで続くのか?

「この痛み、いつまで我慢すればいいんだろう……」
矯正中の歯の痛みの感じ方には個人差がありますが、ずっと続くわけではありません。痛みを感じやすいのは、調整日の翌日から3日後ほどです。1週間も経てば、痛みは気にならなくなります。
痛みのピークは「2日〜3日」となるのが一般的です。もちろん個人差はありますが、多くの方は1週間程度で少しずつ落ち着いてきます。万が一、2週間経っても食事が噛めないほどの痛みが継続する場合には、歯科医院に連絡を入れるようにしましょう。何か装置に問題がある可能性や、予想以上に強い力がかかっている可能性があります。
ワイヤー矯正の場合、調整後の数日間が最も痛みが強く、時間が経てば経つほど痛みも和らいでいきます。そのため、痛みが強いとしても一時的なものであり、常に痛いわけではありません。次の調整日までの間は、比較的快適に過ごせる期間が続きます。
装置が当たる痛みについて
歯が動く痛みとは別に、装置が口内に当たる痛みもあります。
ワイヤー矯正では、ブラケットやワイヤーの端が粘膜を刺激して痛みを生じさせることがあります。その状態が長く続くと口内炎ができて、痛みが助長されます。頬の内側が大きく腫れると、今度は誤って粘膜を噛んでしまう「誤咬」が起こりやすくなるため要注意です。
表側矯正の場合は装置が頬の粘膜に当たるため、頬に口内炎ができたりすることがあります。裏側矯正の場合は舌側に装置が付くため舌に口内炎ができたり話すときに当たる感じがあったりします。装置が当たる痛みは、歯が動く痛みとは異なり、装置に慣れるまで続くことがあります。ただし、多くの方は2〜3週間で慣れてきます。
痛みを和らげる7つの対処法

矯正中の痛みは慣れていくものですが、痛すぎて困っている方もいるでしょう。ここでは、痛みを和らげるための具体的な対処法を7つご紹介します。
柔らかいものを選んで食べる
痛みで噛むことが難しい場合は、柔らかい食材を選ぶようにしましょう。例えば、お豆腐やスクランブルエッグ、マッシュポテトやアボカドなどがおすすめです。焼いていない食パンやお粥、スープやヨーグルトなども、歯にかかる負担が少なくて済みます。
また、調理方法を工夫するのも効果的です。リンゴや大根などは、すり下ろすと食べやすくなること間違いなし。大きめの食材は、小さめの「一口サイズ」にカットしてみると良いでしょう。痛みが強い時期は、栄養バランスを保ちながらも食べやすさを優先することが大切です。
矯正用ワックスを使用する
ワイヤー矯正の装置が頬や舌にあたって痛い場合は、歯科医院でもらえる矯正用ワックスで保護すると痛みが和らぎます。ワイヤーが頬に刺さっているときに痛みはそのまま放置していると出血することもあります。
矯正用ワックスは適量をまるめ、痛みがでている箇所の装置にそっと押し付けるようにして使用します。ただし、食事や歯磨きで簡単に外れてしまうので、痛みがでている期間はワックスを付け替える必要があります。常に持ち歩いておくと、外出先でも対応できて安心です。
痛み止めを服用する
どうしても耐えられないほどの痛みが続く場合は、歯科医院に相談して痛み止めを処方してもらうのがおすすめです。
しかし、あまり何度も服用してしまうと「歯の動き」が遅くなってしまったり、正しい位置に動かなかったりする可能性もゼロではありません。必ず、担当の医師に相談した上で、容量を守って服用するようにしましょう。痛み止めは「どうしても必要なとき」の最終手段として考えておくと良いでしょう。
患部を冷やす
痛みが生じる場合は炎症が起きている証拠ですので、冷やすのが効果的です。保冷剤や氷などで、痛い部分を冷やしてください。ただし、冷やしすぎると矯正力が薄れてしまいますので、短時間にしてください。
お風呂上りや寝る前など、身体が温まると痛みがでやすいので、痛みで眠れないときに有効です。冷やす時間は10〜15分程度を目安にし、長時間冷やし続けないように注意しましょう。
お湯を口に含む
逆に、温かいお湯を口に含むことで痛みが和らぐこともあります。血行が良くなることで、炎症が早く治まる場合があるためです。ただし、熱すぎるお湯は避け、人肌程度の温度にしましょう。
冷やすのと温めるのは、どちらが効果的かは個人差があります。両方試してみて、自分に合った方法を見つけることが大切です。
口内炎予防の栄養を摂る
口内炎の影響で噛むことが難しい場合には、ビタミンB2やB6を豊富に含んだ食材を取り入れるのがポイント。
例えば、レバーや納豆、マグロやバナナなどには、口内炎を回復させるための栄養素が多く含まれているのでおすすめです。痛みが出る前に食べることで、口内炎予防にもつながります。矯正治療中は、普段以上に栄養バランスに気を配ることが大切です。
歯科医院で相談する
さまざまな処置を施しても痛みが軽減されない場合や、痛みに不安を覚える場合は、医師に相談するようにしましょう。自己判断せずワイヤーの調整やマウスピースの確認など、適切な処理を受けると痛みの原因もわかり安心です。
遠慮せずに相談することが、快適な矯正治療を続けるための鍵となります。担当医は、患者さんの痛みに寄り添い、最適な対処法を提案してくれます。
ワイヤー矯正とマウスピース矯正、痛みの違いは?

「どっちの方が痛くないですか?」
矯正治療を検討されている方から、よくいただくご質問のひとつです。実際、どちらの治療法にも「歯が動く痛み」はありますが、その出方や感じ方には違いがあります。
ワイヤー矯正の痛みの特徴
ワイヤー矯正では、歯の表面に「ブラケット」という小さな装置を接着し、そこにワイヤーを通して歯を動かしていきます。このワイヤーの調整によって、部位によって局所的に大きな力がかかったり、あまりかからないところに分かれたりするようになっているため、初回装着時や毎月のワイヤー調整後といったタイミングで、特に歯ならびが悪い箇所を中心に「ズキッ」「ジンジン」とした痛みが出やすくなります。
また、ブラケットやワイヤーの端が粘膜に当たって口内炎ができたり、頬や唇の裏に違和感を覚えることもあります。ワイヤー矯正は、比較的強い力で歯を動かすことができるため、治療期間が短くなる傾向がありますが、その分痛みも強く感じることがあります。
マウスピース矯正の痛みの特徴
マウスピース矯正は、透明なプラスチック製のマウスピースを使って歯を少しずつ動かしていく矯正方法です。ワイヤー矯正と比較して、透明で目立たず、取り外しができるという特徴があります。
痛みに関しては、ややマイルドでジワジワした圧を感じることが多いです。マウスピースを変えるごとに痛みを感じることがあると言われていますが、ワイヤー矯正ほど局所的な強い痛みは少ない傾向にあります。段階的に少しずつ歯を動かしていくため、一度に加わる力が小さく、痛みも比較的穏やかです。
また、マウスピース矯正では装置が粘膜に当たる痛みはほとんどありません。ただし、歯茎に当たることがあったり、装着時に頬の粘膜を巻き込んでしまい痛みがあることもあります。全体的には、ワイヤー矯正よりも痛みが少ないと感じる方が多いようです。
むらせ歯科の矯正治療〜痛みに配慮した治療体制

むらせ歯科では、日本矯正歯科学会の有資格者が矯正治療を担当しています。専門教育を受け、しっかり臨床経験を積んだ医師による質の高い治療を提供しているため、痛みのコントロールにも配慮した治療が可能です。
透明で目立ちにくいマウスピース矯正「インビザライン」
むらせ歯科では、透明な装置を口にはめ、何度か新しいものに交換しながら徐々に歯を移動させるマウスピース型矯正装置「インビザライン」を導入しています。取り外し可能ですので、食べたい物がなんでも食べられ、食後の歯磨きや装置の洗浄も簡単に行うことができます。
ワイヤー矯正と比較して、装置が粘膜に当たる痛みが少ないというメリットがあります。ただし、装置を装着する判断は患者様に一任されるため、装置を付ける時間が短く、つけない期間があった場合は、治療期間が長くなってしまうというデメリットも存在します。1日20時間以上の装着が推奨されていますので、しっかりと装着時間を守ることが大切です。
患者さんとのコミュニケーションアプリ
むらせ歯科では、患者さんと医院とのコミュニケーションアプリを導入しています。どのくらい歯が動いているのかなどをスライドショーで確認できたり、マウスピースの交換時期を教えてくれる機能が付与されています。
このアプリにより、患者さんは治療の進捗を視覚的に確認でき、安心して治療を続けることができます。また、痛みや違和感があった際にも、アプリを通じて気軽に相談できる体制が整っています。患者さんと医院とのコミュニケーションを円滑にすることで、サービス精度の向上にもつながっています。
虫歯・歯周病予防の徹底
矯正治療中は「器具」をお口の中に入れますので、汚れが付きやすく、虫歯や歯周病になってしまう可能性が高まります。せっかく歯並びが綺麗になったのに、虫歯や歯周病になってしまい、お口の「審美性」「機能性」がおかしくなってしまったら本末転倒ですよね。
むらせ歯科では、矯正治療を行う前の初期処置(虫歯治療・歯周病治療・抜歯)、矯正治療中の虫歯予防・歯周病予防が適切に対処できます。矯正専門で行っている医院は、これらに対応していないところが多いため、虫歯や歯周病に関しては他の医院で処置する必要があり、患者様への負担が多くなることがあります。歯を綺麗に並べることだけではなく、虫歯や歯周病予防の処置をしっかり行えるかどうかも医院選びの判断基準として重要です。
顎関節症への配慮
不正咬合(悪い歯並び)の多くは顎関節にトラブルを持つ方が多いため、患者さんの希望がある場合は、むらせ歯科では矯正治療に入る前にスプリント療法(別途費用11万円(税込み))を行い、歯並びを綺麗に整えるだけではなく、顎関節症の改善も同時に行っていきます。
これにより、顎関節症に由来する不定愁訴(頭痛/肩こりなど)、顎の痛み/疲れ、歯ぎしり改善、顎の異音などの症状改善が期待できます。歯並びだけでなく、顎関節の健康にも配慮した総合的な治療を提供しています。
受診の目安〜こんなときは歯科医院へ
矯正治療中の痛みは、ある程度は避けられないものです。しかし、以下のような症状がある場合は、すぐに歯科医院に連絡を入れるようにしましょう。
- 2週間経っても食事が噛めないほどの痛みが継続する
- 眠れないほどの強い痛みがある
- 装置が外れたり、ワイヤーが飛び出したりしている
- 口内炎が大きく腫れて出血している
- 歯茎が大きく腫れている
- 発熱や頭痛を伴う痛みがある
これらの症状は、装置の不具合や感染症の可能性があります。自己判断せず、早めに歯科医院を受診することが大切です。
また、痛みが強くて日常生活に支障をきたしている場合も、遠慮せずに相談しましょう。担当医は、患者さんの痛みに寄り添い、適切な対処法を提案してくれます。我慢しすぎることなく、気になることがあればすぐに相談することが、快適な矯正治療を続けるための秘訣です。
まとめ〜痛みと上手に付き合いながら理想の歯並びへ
歯列矯正の痛みは、確かに避けられないものです。
しかし、痛みのピークは2〜3日程度で、1週間も経てば落ち着いてくることがほとんどです。また、柔らかい食事を選ぶ、矯正用ワックスを使用する、痛み止めを服用するなど、適切な対処法を知っていれば、痛みを和らげながら快適に治療を続けることができます。
現代の矯正治療は、技術の進歩により痛みのコントロールが格段に向上しています。特にマウスピース矯正は、ワイヤー矯正と比較して痛みが少ない傾向にあり、装置が粘膜に当たる痛みもほとんどありません。透明で目立ちにくく、取り外しも可能なため、日常生活への影響も最小限に抑えられます。
むらせ歯科では、日本矯正歯科学会の有資格者による専門的な治療、透明で目立ちにくいマウスピース矯正「インビザライン」の導入、虫歯・歯周病予防の徹底、顎関節症への配慮など、総合的なアプローチで患者さんのニーズに応える矯正歯科治療を提供しています。患者さんとのコミュニケーションアプリを活用し、治療の進捗を視覚的に確認できる体制も整えています。
「人前で笑うことにためらってしまう」「こどもの歯並びが気になる」といった方は、ぜひ一度むらせ歯科にご相談ください。痛みへの不安も含めて、丁寧にカウンセリングいたします。理想の歯並びを手に入れて、自信を持って笑える毎日を手に入れましょう。
矯正治療は、人生を変える大きな一歩です。痛みと上手に付き合いながら、一緒に理想の歯並びを目指していきましょう。東京歯科大学での経験を活かし、患者さん一人ひとりに寄り添った治療を提供してまいります。






