マウスピース矯正は子供に効果的?専門医が解説する適応症と治療期間
2025年09月23日
子供のマウスピース矯正とは?基本的な仕組みと効果
子供の歯並びが気になり始めると、どのような矯正方法が適しているのか悩む親御さんは少なくありません。特に近年注目を集めているのが「マウスピース矯正」です。透明で取り外し可能なマウスピースを使った矯正方法は、子供にとって負担が少ないと言われています。
子供のマウスピース矯正は、大人の矯正とは目的が異なります。大人の矯正が既に生えそろった永久歯を動かして歯並びを整えるのに対し、子供の場合は「これから生えてくる永久歯のための土台作り」が主な目的なのです。
歯並びが悪くなる主な原因は「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全にあります。子供のマウスピース矯正では、この原因に直接アプローチします。
子供向けマウスピース矯正の主な効果
子供向けのマウスピース矯正には、いくつかの重要な効果があります。まず第一に、あごの骨の発達を促進することができます。
現代の子供たちは柔らかい食べ物が増えたことで噛む力が弱くなり、あごの発達が不十分になりがちです。マウスピース矯正は適切な刺激を与えることで、あごの健全な成長を促します。これにより、将来的に歯が並ぶためのスペースを確保することができるのです。
また、口呼吸や舌の突き出しなど、歯並びに悪影響を与える癖の改善にも効果的です。こうした悪習癖(あくしゅうへき)は放置すると、歯並びだけでなく顔の成長バランスにも影響を及ぼします。
さらに、顔のバランスを整える効果も期待できます。歯並びと顎の発達は、顔の形成に大きく関わっています。早期に適切な介入を行うことで、調和のとれた顔貌の発達を促すことができるのです。

従来の矯正方法との違い
従来の子供の矯正といえば、金属のワイヤーやブラケットを使用する方法が一般的でした。しかし、マウスピース矯正には以下のようなメリットがあります。
- 透明で目立たない
- 取り外しが可能で食事や歯磨きが通常通り行える
- 金属アレルギーの心配がない
- 口内の傷や痛みが少ない
特に学校生活を送る子供にとって、目立たない矯正装置は精神的な負担を軽減する大きなメリットです。また、取り外しができることで食事制限がなく、歯磨きもしっかりできるため、虫歯や歯周病のリスクを高めません。
あなたのお子さんの歯並びが気になりませんか?
子供のマウスピース矯正の適応年齢と症例
マウスピース矯正は、子供の年齢によって治療アプローチが異なります。歯の生え変わりの段階や顎の成長状況に合わせた治療が必要です。
一般的に、子供の矯正治療は「Ⅰ期治療」と「Ⅱ期治療」の2段階に分けて行われます。Ⅰ期治療は主に乳歯から永久歯への生え変わり時期に行い、Ⅱ期治療は永久歯が生えそろった後に行います。歯並びの状態によっては、Ⅰ期治療のみで完了することも可能です。
年齢別のマウスピース矯正アプローチ
0〜2歳:この時期は直接的な矯正装置は使用せず、正しい姿勢や抱っこの仕方などを指導します。座り方や姿勢が歯並びに影響することがあるため、親御さんと一緒にお子さんの正しい姿勢を獲得する訓練を行います。
3〜5歳:インファントという取り外しできるマウスピース型の装置を1日2回10分〜20分利用します。これにより顎の成長を促し、歯並びが悪くなる原因を除去していきます。
6〜9歳:歯列矯正用咬合誘導装置という取り外し式の装置と、舌・口・呼吸の訓練を行います。口呼吸や舌の突き出し、指しゃぶりなどの悪習癖を改善し、歯並びが悪くなるのを防ぎます。
子供の矯正治療は、年齢に応じた適切なアプローチが重要です。あなたのお子さんの年齢に合った治療法は何でしょうか?
マウスピース矯正が効果的な症例
子供のマウスピース矯正は、以下のような症例に効果的です。
- 叢生(そうせい):歯が重なり合って生えている状態
- 開咬(かいこう):奥歯は噛むけど前歯が閉じない状態
- 反対咬合:横から見た時に下の歯が前に出ている状態
- 上顎前突:いわゆる「出っ歯」の状態
- 過蓋咬合:上の歯が下の歯に深く覆いかぶさっている状態
特に注目すべきは、これらの問題の多くが「口腔周囲筋の機能不全」から生じているという点です。マウスピース矯正はこの根本原因にアプローチするため、単に歯を動かすだけでなく、問題の再発を防ぐ効果も期待できます。
子供のマウスピース矯正の治療期間と流れ
子供のマウスピース矯正の治療期間は、症状の程度や年齢、治療内容によって異なります。一般的には、Ⅰ期治療(予防矯正)が1〜2年程度、Ⅱ期治療(本格矯正)が1〜3年程度かかることが多いです。
歯並びの状態によってはⅠ期治療のみで完了することもあります。この場合、治療期間が短くなり、費用も少なくて済むというメリットがあります。
マウスピース矯正の治療ステップ
マウスピース矯正の治療は、以下のような流れで進みます。
- 矯正相談:歯並びの不安や疑問点について相談し、最適な矯正治療プラン、時期、金額などについて説明を受けます。
- 資料取り(検査):お口の状態や身体の状態を詳しく把握するための検査を行います。写真撮影、レントゲン撮影、口腔内のスキャンなどが含まれます。
- 診断:検査結果に基づいて、現在の歯並びや口の状態について詳しい説明を受け、治療の流れや費用などについて案内されます。
- 治療開始:診断結果を踏まえて、予防矯正または本格矯正を開始します。
- メンテナンス・保定治療:きれいに並んだ歯並びを維持するための治療です。
治療中は定期的な通院が必要です。通院頻度は症状や治療段階によって異なりますが、一般的には1〜3ヶ月に1回程度です。
子供の歯並びは早めに相談することで、より効果的な治療が可能になります。少しでも気になることがあれば、専門医に相談してみてはいかがでしょうか?
予防矯正と本格矯正の違い
予防矯正(Ⅰ期治療)は、永久歯が生えそろう前のお子さんが対象です。主に骨格の不調和を整える治療で、将来的な歯並びの問題を予防することを目的としています。取り外し式の装置を使用することが多く、日常生活への影響は比較的少なめです。
一方、本格矯正(Ⅱ期治療)は、永久歯が生えそろった後に行う治療です。歯の位置を直接動かして理想的な歯並びを目指します。唇側マルチブラケット矯正(ワイヤー型)とマウスピース矯正(インビザライン)の2種類があります。
多くの歯科医院では、できるだけⅠ期治療で矯正を完了させることを目指しています。これは患者さんの身体的・経済的負担を軽減するためです。しかし、必要に応じてⅡ期治療も実施されます。
子供のマウスピース矯正の費用と保険適用
子供のマウスピース矯正にかかる費用は、治療内容や歯科医院によって異なります。一般的な費用の目安をご紹介します。
予防矯正(Ⅰ期治療)の場合、約40〜50万円程度が基本となります。再診料は月に3,300円程度かかることが多いです。装置を紛失・破損した場合には、別途費用がかかる場合があります。
本格矯正の費用相場
本格矯正(Ⅱ期治療)になると、費用は以下のように変わります。
- 唇側マルチブラケット矯正(ワイヤー型):約77〜88万円
- マウスピース矯正(インビザライン):約88〜110万円
再診料はどちらも月に5,500円程度です。予防矯正から移行した場合は、費用が割引されることもあります。
また、治療後のメンテナンス・保定治療の費用として、再診料が月に3,300円程度かかります。リテーナー(保定装置)を紛失・破損した場合の作り替え費用は、6,600円程度です。
矯正治療は自費診療となるため、保険適用外です。ただし、顎変形症など特定の疾患に該当する場合は、保険適用となる可能性があります。詳細は歯科医院での相談時に確認しましょう。
費用を抑えるポイント
矯正治療の費用を抑えるポイントとしては、以下のことが考えられます。
- 早期発見・早期治療で、Ⅰ期治療のみで完了させる
- 複数の歯科医院で相談し、費用や治療内容を比較する
- 分割払いやデンタルローンの利用を検討する
- 医院によっては兄弟割引などの特典がある場合もある
子供の歯並びの問題は、早期に対処することで治療期間が短くなり、結果的に費用も抑えられることがあります。少しでも気になることがあれば、早めに専門医に相談することをおすすめします。
子供のマウスピース矯正のメリットとデメリット
子供のマウスピース矯正には、様々なメリットとデメリットがあります。治療を検討する際には、これらを十分に理解した上で判断することが大切です。
まず、マウスピース矯正の主なメリットを見ていきましょう。
マウスピース矯正の主なメリット
- 見た目が目立たない:透明なマウスピースは装着していてもほとんど目立ちません。特に学校生活を送る子供にとって、見た目を気にせず矯正できるのは大きなメリットです。
- 取り外しが可能:食事や歯磨きの際に取り外せるため、食べ物の制限がなく、口腔衛生も保ちやすいです。
- 痛みや不快感が少ない:従来のワイヤー矯正に比べて、口内の傷や痛みが少ないです。
- 金属アレルギーの心配がない:プラスチック製のため、金属アレルギーの心配がありません。
- 虫歯や歯周病のリスクが低い:取り外して歯磨きができるため、口腔衛生を維持しやすいです。
一方で、以下のようなデメリットもあることを理解しておく必要があります。
考慮すべきデメリットと注意点
- 自己管理が必要:取り外し可能なため、装着時間を守る自己管理能力が求められます。指示通りに使用しないと効果が出ない可能性があります。
- 紛失・破損のリスク:取り外し式のため、紛失や破損のリスクがあります。
- 症例によっては適用できない:重度の歯並びの問題には、従来のワイヤー矯正が必要な場合があります。
- 装置の違和感:慣れるまでは違和感や不快感を感じることがあります。
- 発音への影響:一時的に発音に影響が出ることがあります。
また、矯正治療全般に共通するリスクや副作用として、以下のようなものがあります。
- 歯根吸収(歯の根っこが溶けること)が起こる可能性
- 治療後に「後戻り」が生じる可能性
- 顎関節の問題が生じる可能性
これらのリスクは比較的まれですが、治療前に歯科医師から十分な説明を受け、理解しておくことが大切です。
子供のマウスピース矯正の成功事例と効果的な時期
子供のマウスピース矯正は、適切な時期に始めることで高い効果を発揮します。特に顎の成長が活発な時期に治療を開始することで、より自然な形で歯並びを整えることができるのです。
私の臨床経験では、5歳から9歳の間に治療を始めたケースで特に良い結果が得られることが多いです。この時期は乳歯から永久歯への生え変わりの時期と重なり、顎の成長も活発です。
効果的な治療開始のタイミング
子供の矯正治療を始める最適なタイミングは、個々の発達状況によって異なります。しかし、一般的には以下のようなサインが見られたら、専門医への相談を検討するとよいでしょう。
- 永久歯が生え始める6〜7歳頃
- 明らかな歯並びの問題(出っ歯、受け口など)が見られる
- 口呼吸や舌の突き出しなどの癖がある
- 歯ぎしりや食いしばりがある
- 顎のサイズと歯のサイズのバランスが悪い
早期発見・早期治療のメリットは大きいです。顎の成長を利用することで、抜歯の必要性を減らせる可能性があります。また、Ⅰ期治療で完了すれば、治療期間の短縮や費用の削減にもつながります。
ただし、すべての子供が早期治療の対象になるわけではありません。歯並びの状態によっては、永久歯が生えそろうまで様子を見るケースもあります。専門医の診断に基づいて、最適な治療開始時期を決定することが重要です。
まとめ:子供のマウスピース矯正の可能性
子供のマウスピース矯正は、従来のワイヤー矯正に比べて多くのメリットがあります。透明で目立たず、取り外しが可能なため、子供の日常生活への影響を最小限に抑えながら効果的な治療が可能です。
特に重要なのは、マウスピース矯正が単に歯を動かすだけでなく、顎の成長促進や口腔周囲筋の機能改善にアプローチする点です。これにより、将来的な歯並びの問題を予防し、健全な口腔環境を育むことができます。
子供の歯並びが気になる場合は、早めに専門医に相談することをおすすめします。適切な時期に適切な治療を始めることで、お子さんの健やかな成長をサポートしましょう。
歯並びは見た目だけでなく、咀嚼や発音、全身の健康にも影響します。子供の将来のために、歯並びの健康を大切にしてあげてください。






