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なぜ小児矯正は後戻りしにくい?成長期治療の優位性と保定の秘訣

2025年12月9日

小児矯正が後戻りしにくい理由

お子さんの歯並びを整えたいと考える親御さんにとって、「せっかく矯正したのに元に戻ってしまうのでは?」という不安は大きいものです。

実は、小児矯正は成人矯正と比較して後戻りしにくいという大きな特徴があります。これは成長期ならではの生理学的なメリットによるものです。

成人矯正では、すでに固定され安定した永久歯の位置を力で動かすため、治療後に元の位置に戻ろうとする力が強く働きます。一方、小児矯正では顎の成長を利用しながら歯を適切な位置へ導くため、正しい位置で永久歯を安定させることができ、結果として後戻りの力が小さくなるのです。

さらに、小児期は顎の骨が柔らかく成長途中であるため、顎を広げる処置を行うことができます。

大人の場合、骨の成長が完了しているため十分に顎を広げることは困難です。しかし、小児の場合は成長途中で顎の骨も柔らかいため、これから生えてくる歯が綺麗に並ぶように顎を広げてスペースを作ることが可能なのです。

この「成長を味方につける」という点が、小児矯正の最大の優位性といえるでしょう。

歯周組織の適応力が高い成長期の特性

小児期は、歯を支える組織である歯槽骨や歯根膜、歯茎といった軟組織が未成熟かつ柔軟性に富んでいます。

この時期の歯周組織は、歯の移動に対して適応が早いという特徴があります。特に歯槽骨は骨の再構築能力(リモデリング)が高く、新しい位置に移動した歯を速やかに支持できるように変化するのです。

このため、歯の移動後にその位置を保持しやすく、長期的な安定が得られやすくなります。

逆に成人では、骨の再構築能力が年齢とともに低下しており、歯の移動後も安定するまでに時間を要し、後戻りのリスクが高くなります。また、歯肉の厚みやコラーゲン含有量が多く、炎症に対する耐性も高いため、矯正治療中の歯周トラブルが起こりにくい点も、後戻りの抑制に寄与しています。

骨格レベルでの改善が可能な時期

小児矯正の最大の強みは、顎の成長がまだ活発であるため、骨格自体に働きかけることが可能な点です。

たとえば、上顎の横幅が狭いお子さんには、拡大床や急速拡大装置を使用して上顎の成長を正しい方向へ促し、歯列弓の幅を確保することで将来的な叢生(歯の重なり)を予防できます。

また、上顎前突(いわゆる出っ歯)や下顎前突(反対咬合・受け口)など、骨格性の問題に関しても、成長のタイミングを見極めた矯正的介入により、比較的少ない力で骨の形態そのものを調整することが可能です。

これにより、無理な歯の移動を避け、自然な咬合関係を構築できるため、矯正後の後戻りを起こしにくくなります。

将来の治療負担を軽減できる可能性

成長に合わせた治療を行うことで、将来的に2期治療の必要性を減らしたり、治療期間や歯の移動距離を最小限に抑えられたりする場合もあります。

これは、成人矯正では得られない小児矯正ならではの大きな利点です。可能な限りI期治療で完了するよう治療を進めることで、患者様の肉体的負担・経済的負担を抑えることができるのです。

後戻りを起こす主な原因と注意点

小児矯正は後戻りが少ないと言われていますが、絶対に後戻りしないというわけではありません。

適切なケアや対策を怠ると、せっかく整えた歯並びが元に戻ってしまう可能性があります。後戻りを起こす主な原因を理解しておくことが重要です。

成長に伴う骨格の変化

成人との最も大きな違いは、子どもは成長することです。

成長に伴って、歯並びや顎の形状が変化する可能性があります。子どもの成長は嬉しいものですが、治療が終了した後でも歯や顎の位置、骨格などが変わることがあり、成長による変化が後戻りの原因となることがあるのです。

特に思春期以降、急激な成長によって顎の位置がずれると、歯並びにも影響が出る場合があります。

口腔周囲筋の機能不全と悪習癖

指しゃぶりやおしゃぶり、歯を舌で押すなどの行為は、歯列にとって悪習慣とされています。

指や舌によって歯列が押され続けると、歯が移動することがあるのです。特に舌癖がある場合、舌圧が前歯を持続的に押し出してしまうため、出っ歯や開咬を引き起こします。

悪習癖がある場合は、歯列矯正を始める前、もしくは治療中に改善するのが理想でしょう。また、口呼吸や逆嚥下も歯並びが悪くなる原因となります。これらの習癖を早期に発見・介入することで、骨格と筋肉のバランスを整え、安定した口腔環境を作り出すことが可能です。

親知らずの影響

智歯(ちし)や第3大臼歯とも呼ばれる親知らずは、15歳頃に生えてきます。

日本人の顎は、食生活の変化で小さくなっているので、親知らずが横向きに生えるなどのトラブルも珍しくありません。親知らずが横向きに生えると歯列を後ろから押すので、歯列が乱れるのです。

親知らずが生える時期は個人差が大きく、そもそも生えてこない方もいるので必ず起きるトラブルとはいえません。

保定装置の使用不足

治療後に綺麗な歯列を見ると、安心すると同時に油断する方もいます。

矯正治療で歯を動かした後に保定装置を装着していなかったために歯が後戻りしてしまうケースが多いのです。どうしても動かした歯は元の位置に戻ろうとしてしまうので、動かした直後は、特に歯を固定して戻る力を抑える必要があります。

面倒ですが、この保定装置を装着しない期間があると歯が骨の中にしっかり固まらないので後戻りしてしまうでしょう。

後戻りを防ぐための保定治療の重要性

矯正治療が終了した後、きれいに並んだ歯並びを維持するための治療が保定治療です。

歯並びというのは、永久的なものではありません。歯は、加齢変化で徐々にでこぼこが出てくるものなのです。アンチエイジングの意味でも、きれいに並んだ歯をずっときれいに維持するためには保定装置を用いたメンテナンスが必要になります。

リテーナーの装着時間を守る

リテーナーとは、整った歯並びを安定させるための保定装置です。

ご自身で取り外せるものや取り外せないものなど、いくつか種類があります。取り外せるリテーナーの場合、装着時間は1日に20時間程度と非常に長いです。また、リテーナーの装着期間も矯正期間と同じく数年必要でしょう。

基本的に1日20時間以上の装着が必要です。特に歯を動かして半年程度は最も歯が動きやすいので、食事や歯磨きのタイミング以外は常に装着しておかなくてはなりません。

しかし、慣れてきたり、歯の状態が安定してきたりすると徐々に装着時間を減らしていき、最終的には就寝時以外装着しなくても問題なくなります。

定期的なメンテナンスの受診

歯科検診やメンテナンスの頻度は3~6ヶ月に1回とされることが多いですが、受診を怠ることもあるでしょう。

自身では気がつくことのできない後戻りやトラブルを早期発見してもらうために、きちんと受診することは大切です。メンテナンスのための受診を確実に行っているかどうかによって、後戻りのリスクは大きく変動します。

長期間の治療になるため、虫歯や歯周病、矯正器具の破損などの予期しないようなトラブルが発生する可能性が高いです。トラブルが発生すると歯の後戻り防止にも影響が出るため、定期的に歯科医院に足を運び、検診をすることが重要です。

虫歯や歯周病の予防

歯や歯ぐきの健康が損なわれると、歯が動きやすくなります。

毎日の歯みがきと定期検診を欠かさず行いましょう。治療中は矯正歯科装置が歯の表面に付いているため食物が溜りやすく、また歯が磨きにくくなるため、むし歯や歯周病が生じるリスクが高まります。

したがってハミガキを適切に行い、お口の中を常に清潔に保ち、さらに、かかりつけ歯科医に定期的に受診することが大切です。

舌の癖や口呼吸の改善

「舌トレーニング」や「口の閉じる習慣」を身につけることで、歯列に余計な力がかかるのを防ぎます。

口呼吸していると舌は低位になり、上顎の成長を妨げ歯並び悪化の原因となります。また、病原菌が喉の粘膜から直接取りこまれてしまうため、健康のためにも良いことではありません。

普段何もしていない時に、舌が常に歯に触れている場合は舌癖に該当します。舌先は上の前歯のつけねの少し手前あたりに当たっている状態が正しい位置です。たとえ小さな力でも舌の力によって歯並びは崩れてしまいます。

むらせ歯科のI期治療とII期治療

むらせ歯科では、子供の矯正治療を2段階(I期治療とII期治療)で提供しています。

一般的に子供の矯正治療は2段階で行われます。前半の治療のことをI期治療といい、後半の治療のことをII期治療といいます。矯正治療は一定の期間と費用が掛かりますので、可能であればI期治療で終了した方が好ましいです。期間も短く済み、費用もそれほど掛かりませんので。

I期治療:原因から改善する歯列矯正用咬合誘導装置

I期治療では歯並びが悪くなる原因である「口腔周囲筋(舌・唇・頬の筋肉)」の機能不全に着目し、歯列矯正用咬合誘導装置(マイオブレース)を使用して改善します。

この装置は歯を直接動かすのではなく、悪い歯並びになる原因をオリジナル装置やトレーニングで改善する方法です。年齢に応じたアプローチがあり、0〜2歳では姿勢の訓練、3〜5歳ではインファントという取り外し可能なマウスピース型装置を1日2回10〜20分使用、6〜9歳ではマイオブレーストレーナーという装置と舌・口・呼吸の訓練を行います。

家庭でのトレーニング継続が重要で、専任スタッフの指導とオリジナルアプリケーションによる支援があります。

ご自宅でも精度の高いトレーニングを実施してもらうため、ご自宅のパソコンや携帯で閲覧できるオリジナルアプリケーションをダウンロードし、アニメのキャラクターと一緒に楽しくトレーニングができる環境を整えています。

II期治療:歯並びの仕上げ

I期治療が終わり、顎(アゴ)の補正が完了しても、歯並びそのものがでこぼこしていたり、歯が回転して生えていたり、上下の噛み合わせが良くなかったりすることがあります。

その場合に、仕上げのII期治療を行います。I期治療後も必要に応じてII期治療を行い、歯並びの仕上げを行います。むらせ歯科では「歯並びを創造」することと同時に「患者様の肉体的負担・経済的負担を抑える」ことを重視し、可能な限りI期治療で完了するよう治療を進めています。

どうしてもII期治療まで必要な場合は、しっかりとお子さんと親御さんにご説明させて頂き治療を進めていきます。

適切な治療開始時期の見極め

特にお子様の歯並びの場合、親御さんが「矯正した方がいいかな?」と思った時は、適切な治療開始時期を逃してしまっていることが多々あります。

そのため、大人の歯(前歯)が生えてきたら、治療するしないにかかわらず一度ご相談にお越しください。プロの目で診断することで、今後どのように歯が動いていくのかを予測できますので、治療が必要になるか否か、治療開始時期はいつ頃がいいかなどをお話しさせて頂きます。

まとめ:成長期治療の優位性を活かす

小児矯正は、成長する力を利用して顎のバランスから整えるため、大人の矯正よりも後戻りしにくいという大きな特徴があります。

顎の骨が柔らかく、歯の移動が自然に安定しやすい時期に治療を行うことで、永久歯が生えるスペースを確保し、成長とともに咬み合わせ全体を調整できるのです。歯周組織の適応力が高く、骨の再構築能力も優れているため、長期的な安定が得られやすくなります。

ただし、保定(リテーナー)を怠ったり、悪い癖が残ったままだと、せっかく整えた歯並びも元に戻ってしまうことがあります。

後戻りを防ぐためには、リテーナーを正しく使う、定期的に歯科検診を受ける、悪習慣を改善することが大切です。成長期のうちであれば、再矯正も比較的スムーズに行えますが、まずは後戻りを起こさないための適切なケアを継続することが重要でしょう。

お子さまの歯並びに不安を感じたら、ぜひ専門の歯科医院にご相談ください。成長期を活かした最適な治療で、美しい歯並びを長く保てるようサポートいたします。

 

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